請求書を1つずつ手作業で作成している場合、請求書アプリを使うと、能率が大きく向上します。しかし、効果が判然としないものにお金を出すのは気が進まない、という人もいるでしょう。
そういう人におすすめなのが、基本無料のわりに高機能な請求書アプリである「INVOY」です。
この記事では、INVOYがどういったアプリであり、どんなメリットとデメリットがあるのかを詳しく解説していきます。
INVOYとはどんなもの?

INVOYというのは、請求書に関するサービスが使えるアプリです。FINUX株式会社が提供しているクラウド型アプリで、すでに登録者が10万人を超えています。FINUX株式会社は、オンラインファクタリングの大手であるOLTA株式会社の子会社のため、提供するアプリの信頼性は低くありません。
INVOYは、2020年に正式ローンチされました(ベータ版は2018年)。それから数年で、ユーザーが10万人オーバーになっていることを考えると、会計関連のアプリとしてはかなり人気があるサービスだと言えるでしょう。正式ローンチから、次々と新機能が追加されており、アプリとしての今後の発展も期待できます。
INVOYには、「請求書発行機能」「請求書をメールで共有する機能」「取引先からの請求書をデータ化する機能」など、さまざまな機能がありますが、基本無料で利用可能です。そのため、まだ請求書アプリを導入していない人や、使用料金が高い請求書ソフトを使っている人に、特におすすめします。
INVOYを使う5つのメリット

INVOYを使うメリットとしては、次のようなものがあります。
- 知識がなくても簡単にインボイス対応の請求書を作成できる
- 請求書に関係する業務を効率化できる
- 請求書作成にかかるコストを減らせる
- 請求書の管理が簡単になる
- 受け取った請求書を5秒でデータ化して支払いをカードにできる
では、INVOYの長所について、詳しく見ていきましょう。
1.知識がなくても簡単にインボイス対応の請求書を作成できる
INVOYの大きなメリットは、会計知識がない人でも簡単に請求書を作成できる点です。未経験者が請求書を作るのはそう簡単ではありませんが、INVOYを使う場合は、必要事項を上から入力していくだけで請求書を作れます。
ユーザーインターフェイスもよくできていて、説明書を読み込まなくても、感覚的に請求書作成の作業をすることできるのも大きなメリットです。
さらにINVOYは、インボイス制度もカバーしています。そのため、このアプリを使えば、少ない労力でインボイスに対応した請求書を作成可能です。
請求書以外に見積書や納品書なども作成できる
INVOYの主な機能は請求書作成ですが、それ以外の帳票も作成可能です。INVOYを使って、次のような書類を作れます。
- 見積書
- 納品書
- 発注書
- 領収書
このように、INVOYだけでかなりの書類をカバーでき便利です。作成した書類はデータとして保存しておけるため、これらの書類を一括してINVOYで作成すれば、書類管理の面でも役に立ちます。
2.請求書に関係する業務を効率化できる
INVOYは請求書を作成できるだけでなく、請求書に関係した作業に役立つ、次のような機能を持っています。
- 請求書の発行を自動化できる
- スマートフォンからも作業できる
- 会計ソフトとデータを連携できる
INVOYの請求書関連で役立つ機能について、詳しく見ていきましょう。
請求書の発行を自動化できる
INVOYは、普通に請求書を作るだけでなく、請求書発行の自動化が可能です。定期的に同じ取引がある場合は、請求書自動化を使うことによって作業を大幅に効率化できます。
さらに、請求書を同じ内容で作成してくれるため、人力で毎回請求書を作成する場合のような記帳ミスや、そもそも請求書の作成自体を忘れてしまうといった事態が発生しません。
INVOYの自動化は、繰り返し間隔も「毎月」「2カ月ごと」「3カ月ごと」「6カ月ごと」「12カ月ごと」と細かく設定できますし、作成する日にちも「月初」「5日」「10日」「15日」「20日」「25日」「月末」から好きなものを選択可能です。
スマートフォンからも作業できる
INVOYは、スマートフォンにもインストール可能なアプリです。そのため、社外にいてもスマホを使って請求書を作れます。
打ち合わせなどで外にでると、どうしても待ち時間が発生してしまいますが、そういったちょっとしたスキマ時間でも、INVOYなら会計作業を実行可能です。また、出先で急に請求書対応をしなくてはいけなくなった場合にも、INVOYとスマホがあれば対処できるようになります。
さらに、実際に請求書の作成などをしなくても、空いた時間にスマホで請求書や見積書などの確認をするだけでも、業務を円滑に進める役に立つでしょう。
会計ソフトとデータを連携できる
INVOYは会計ソフトとデータを連携可能で、下記の会計ソフトが連携に対応しています。
- freee
- Money Forward
- 弥生会計
請求書のメニューの「その他」から、「CSVダウンロード」を選べば、CSVファイルを保存できます。ダウンロードしたCSVファイルを会計ソフトにアップロードすれば、会計ソフトの方でINVOYのデータを利用可能です。
3.請求書作成にかかるコストを減らせる
INVOYには、請求書に関するさまざまな機能があるため、このアプリを使うと、経理処理の手間を省けます。請求書関連にかかる時間が減れば、余ったマンパワーをほかの業務に振り分けることが可能です。
また、INVOYを利用すると、請求書の作成ミスや作成忘れで時間をロスすることも減らせます。その結果、INVOY導入でコスト削減目標を期待できます。
また、作成した請求書はINVOYからダウンロードしたりせずとも、アプリ上でそのまま取引先へワンクリックでメール送信することが可能です。
基本機能は無料で利用できる
INVOYは便利なアプリですが、次のような機能を無料で利用可能です。
- 請求書作成する
- 見積書、発注書、納品書、領収書を作成する
- 請求書発行する
- 取引先を管理して2回目以降の請求書作成を簡略化する
- 請求書を自動で作成する
- 請求書をメールで共有する
- 請求書を自動でデータ化する
- 請求書をクラウドで管理する
- 請求書をカードで支払う
- 口座の入出金明細をCSVでアップロードする
- メンバー招待機能を使って複数人で書類作成作業ができる
請求書作成で必要な機能は一通り揃っているため、INVOYだけでも不自由はありません。ちなみに、無料プランで使えない機能は、「銀行口座との自動連携機能」と「資金繰り表機能」です。
ほかに、「郵送代行サービス」を使う場合は、1通161円(税込)かかります。郵送代行サービスとは、INVOYで発行した請求書を取引先に郵送するサービスです。
また、INVOYには作成した支払いデータを「カードで支払う機能」もありますが、こちらも利用料金がかかります。決済手数料は利用金額(請求額)が10万円以下の場合だと一律3,000円、10万円超えの場合は利用金額の3%です。
4.請求書の管理が簡単になる
INVOYで請求書や発注書などを作成すれば、各データをまとめて保存できます。後で書類を確認したい場合、すぐにデータを呼び出せるため、非常に便利です。また、保存している書類は、PDFファイルとしてダウンロードしたり、プリンターで印刷したりすることもできます。
また、INVOYにはバックアップ機能もついているため、書類データを紛失するリスクも軽減可能です。さらにINVOYは、請求書をクラウドで一元管理できるため、電子帳簿保存法にも対応できます。
法人口座とオンライン提携して自動で情報を取得できる
INVOYには、法人口座との連携機能も付いています。口座連携を使うと、以下のことが可能です。
- 入金確認・入金消込
- 口座残高の確認
- 入出金明細の確認
ただし、口座連携を使うには、口座がある銀行のインターネットバンキングが利用可能でなくてはいけません。
また、自動連携機能は有料サービスのため、月額980円(税込)のスタンダードプランに加入する必要があります。ちなみに、会員費を年払いにすると年額9,800円(税込)となり、2カ月分お得です。
5.受け取った請求書をデータ化して支払いをカードにできる
INVOYは、取引先から受け取った請求書を、データ化して保存することもできます。請求書のデータ化作業には、5秒程度しかかかりません。
そして、データ化した請求書を、カードでそのまま支払うことも可能です。請求書のデータ化からのカード払いを利用すれば、会計業務の負担を大きく減らせます。
ただし、カード払いを利用するためには手数料が必要です。そのため、取引先の請求書の管理目的で、データ化機能だけを使うという方法もあります。
INVOYを使う4つのデメリット

INVOYのデメリットとしては、次のようなものがあります。
- 会計ソフトと直接連携できずデータ取り込み作業が必要
- 請求書のカード払いには手数料がかかる
- カード払いの振込日指定ができない
- 一部の機能は有料会員しか利用できない
では、INVOYの弱点について、詳しく見ていきましょう。
1.会計ソフトと直接連携できずデータ取り込み作業が必要
INVOYで発行した請求書を、CSVファイルにすることはできます。CSVファイルさえあれば、ほかの会計ソフトとデータを共有可能です。しかしこのデータ連携をするためには、「INVOYでCSVファイルを保存」「会計ソフトでCSVファイルをインポート」という2つのステップが必要です。
もちろん、これ自体は大変な作業ではありません。しかし請求書の数が増えてくると、作業量も増え、かなり面倒です。
ほかの有料の請求書ソフトの中には、INVOYのようによけいな手間をかけずに、直接会計ソフトと連携できるものも存在します。そのため、無料でなくてもよいなら、そういったソフトを使ったほうが便利です。
2.請求書のカード払いには手数料がかかる
受け取った請求書を、データ化してすぐにカード払いできるというのがINVOYのメリットです。しかし、請求額が10万円以下の場合だと一律3,000円、それ以上だと請求額の3%の手数料がかかってしまいます。この手数料の割合自体は、業界でも最安水準で、高くはありません。しかしカードを使わずに支払いをおこなえば、手数料は不要です。
ただし、カード手数料は経費として処理できます。そのため、手数料を支払っても、業務の効率化を優先したほうが、結果的には会社の収益アップにつながるケースも少なくありません。
3.カード払いの振込日指定ができない
INVOYのカード払いは便利ですが、「振込日」の指定ができないという弱点があります。カード払い申し込みの後、3営業日程度で勝手に振込がおこなわれてしまうため、タイミング調整ができず不便です。
基本的には、請求書の支払いは期限ギリギリにおこないたいはずですが、そうするためには、自分でINVOYのカード払い申し込み日を調整しなくてはいけません。しかもカード払い申し込みから即日で振込がおこなわれるわけでもないため、余裕を持って申し込まなくてはならず、不便です。
4.一部の機能は有料会員しか利用できない
Freeプラン(無料会員)は、銀行口座との自動連携機能と、資金繰り表機能が利用できません。口座連携機能は、会計業務の手間を省けるため、Standardプラン(有料会員)にならないと使えないのは残念なところです。
資金繰り表機能というのは、データ取得した入出金明細を、「収入(売上・その他収入・借入金)」「支出(仕入・人件費・その他支出・借入金返済)」に自動で分類するもの。
作成した資金繰り表は、収入と支出を一目で確認でき便利です。さらに、各項目をクリックすると、明細一覧が表示されるため、細かいチェックも簡単にできます。また、資金繰り表は、Excel形式でダウンロードすることも可能です。資金繰り表も利便性の高い機能ですが、有料になってしまうのはINVOYのデメリットだと言えます。
INVOYに関してよくある質問
- どういった帳票が作成できる?
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INVOYでは、「請求書」「見積書」「納品書」「発注書」「領収書」が作成可能です。
また、INVOYには変換ボタンがあり、見積書→納品書や請求書、納品書→請求書、請求書→見積書、納品書、領収書の変換データを簡単に作成できます。ただし、見積書→領収書、納品書→見積書、領収書の変換と、発注書や領収書からの変換には対応していません。
- 請求書のレイアウトは選べる?
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INVOYには、請求書のレイアウトが複数用意されており、自分に合ったものを選択できます。ただし、項目の位置を変えるといった細かいレイアウト調整はできません。また現時点では、レイアウトを選べるのは請求書だけです。そのほかの見積書などには、レイアウト変更機能は付いていません。
- 会社のロゴや印鑑は設定できる?
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INVOYでは、画像ファイルをアップロードすることにより、会社のロゴや印鑑を設定可能です。