「会計事務所と税理士事務所、名前が違うけれど仕事内容も違うの?」「自分の会社には、税理士と公認会計士のどちらに依頼するのが正解?」
起業したばかりの方や、顧問税理士を探し始めた経営者にとって、似たような名称が並ぶ会計事務所と税理士事務所の違いを理解するのは意外と難しいものです。
結論からお伝えすると、税理士が運営していれば、会計事務所と税理士事務所の業務内容に実質的な違いはありません。「会計事務所」は法律上の用語ではなく、広く使われている呼び名です。ただし、代表者が税理士か公認会計士か、個人の事務所か税理士法人・Big4などの大きな組織かによって、得意分野やサポートの規模、費用は大きく変わります。
この記事では、会計事務所と税理士事務所の違い、公認会計士と税理士の役割分担、個人事務所と税理士法人、Big4の特徴、依頼先の選び方まで、福岡の税理士がわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 会計事務所と税理士事務所の違い(名称・資格・業務)
- 公認会計士と税理士の違いと、どちらに依頼すべきか
- 個人の税理士事務所・税理士法人・Big4の違い
- 自社に合った事務所を見つけるポイントと、税理士と会計士の収入の考え方
会計事務所と税理士事務所の業務内容は同じ

会計事務所と税理士事務所は、名称は違っても、税理士が運営している限り、提供される基本的なサービスは実質的に同じです。どちらの看板でも、中小企業や個人事業主に対する税務申告の代行や、記帳・決算などの経理サポートが中心になります。
実際に街で見かける事務所を比べても、記帳代行、決算・申告書の作成、年末調整、税務相談といった業務メニューに大きな差はありません。代表者が税理士か公認会計士かという違いはあっても、中小企業が求める日常的なサポートの範囲は重なっています。そのため、名称の違いにとらわれず、実際にどのような業務を、誰が担当してくれるのかに注目して選ぶことが大切です。
注意!税理士がいない「会計事務所」もある
ただし、「会計事務所」という言葉には法律上の決まりがないため、税理士が在籍していない記帳代行業者が名乗っている場合もあります。税務申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務で、税理士(または税理士法人)でない人は、無料であっても行うことができません(国税庁「税理士制度」)。
依頼を検討している事務所に税理士がいるかどうかは、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で確認できます。申告まで任せたい場合は、契約前に必ず確認しましょう。

会計事務所と税理士事務所の違いは?
| 項目 | 税理士事務所 | 会計事務所 |
|---|---|---|
| 名称の性質 | 税理士が運営する事務所を指す呼び方 | 法律上の用語ではない通称 |
| 代表者の資格 | 税理士 | 税理士、公認会計士(税理士登録あり・なし)、無資格の場合も |
| 税務申告・税務相談 | できる | 税理士(登録した公認会計士を含む)がいればできる |
| 監査業務 | できない | 公認会計士が代表なら対応できる場合がある |
名称は違っても、日常的なサービス内容に決定的な差はありません。ただし、細かい点では次の3つが異なります。
違い①正式な呼び方か、通称か
税理士は、税理士会を通じて事務所を登録して開業します。この税理士の事務所を指す言葉が「税理士事務所」です。一方、「会計事務所」には法的な定義や縛りがなく、会計や経理のサポートをしていることをわかりやすく伝える通称として広く使われています。
実際には、税理士事務所として登録しながら、看板やホームページでは「〇〇会計事務所」と名乗っている事務所も多くあります。名称だけで事務所の中身を判断することはできません。
違い②代表者が保有している国家資格
代表者が税理士資格だけを持っているか、公認会計士資格も持っているかという違いもあります。公認会計士が税理士登録をして開業した場合、監査や財務のコンサルティングもできることを示すために「会計事務所」という名称を使うことがよくあります。
なお、公認会計士は税理士となる資格を持っていますが、2017年4月以降に公認会計士となる資格を得た人は、国税審議会が指定する税法の研修を修了する必要があります(日本税理士会連合会「税理士制度」)。税務申告を行うには、税理士として登録していることが前提です。
違い③独占業務や対応できる専門分野
税理士事務所の主軸は、確定申告の代理や税務調査の立会いなどの税務の独占業務です。一方、公認会計士が代表を務める会計事務所であれば、会社の決算書が正しいかを第三者の立場でチェックする「監査」を扱える場合があります。日常的な経理サポートは共通していても、代表者の資格によって提供できる専門サービスは異なります。
公認会計士と税理士の違いは?どちらに依頼すべき?
- 独占業務:税務代理・税務書類の作成・税務相談
- 主な顧客:中小企業・個人事業主
- 得意分野:申告・節税・税務調査・資金繰り
- 独占業務:財務書類の監査・証明
- 主な顧客:上場企業・上場準備企業など
- 得意分野:監査・内部統制・M&Aの財務調査
出典:e-Gov法令検索「税理士法」、e-Gov法令検索「公認会計士法」
公認会計士と税理士は、どちらも会計の専門家ですが、法律で認められた独占業務がまったく違います。公認会計士の独占業務は、会社の財務書類(決算書)が正しく作られているかを第三者の立場で確かめる「監査」です。税理士の独占業務は、税金の申告や相談を本人に代わって行う「税務」です。
会計士と税理士ではどちらが上ですか?
会計士と税理士の優劣を単純に比べることはできません。それぞれが担う中心的な業務や、対応できる領域が根本的に違うためです。
公認会計士は監査の独占業務を持ち、税理士登録をすれば税務も扱えるため、「上位の資格」と言われることもあります。一方で、税理士は税務に特化した専門家として、中小企業の申告や節税、税務調査への対応、日々の経営相談で深い経験を持っていることが少なくありません。どちらの専門性が必要かによって、頼りになる相手は変わります。
会計士と税理士はどちらに依頼すればいいですか?
| 会社の状況 | 主な依頼先 |
|---|---|
| 創業期・成長期で、記帳・決算・申告を任せたい | 税理士 |
| 節税や資金繰り、融資の相談をしたい | 税理士 |
| 税務調査への対応を頼みたい | 税理士 |
| 株式上場(IPO)を目指している | 公認会計士(監査法人)+税理士 |
| 会社法・金融商品取引法の監査が必要 | 公認会計士(監査法人) |
| M&Aで相手企業の財務を調べたい | 公認会計士(財務調査)+税理士(税務調査) |
創業期や成長期の中小企業で、日々の経理や税務申告のサポートが必要なら、身近な相談相手になる税理士を選ぶのが一般的です。将来の株式上場を目指したり、会社の合併・買収を検討したりする段階では、監査や高度な財務の調査ができる公認会計士の力が必要になります。自社の今の状況と将来の目標をはっきりさせたうえで、パートナーを選びましょう。
税理士事務所(個人)と税理士法人の違いは?

税理士が運営する組織には、個人の税理士事務所と税理士法人があります。主な違いは次の3つです。
違い①個人事業か法人かという組織形態
個人の税理士事務所は、税理士が一人で開業できる、いわば個人事業です。これに対して税理士法人は、税理士が社員(出資者)となって設立し、法務局で登記をして一つの法人として活動します。
個人の税理士は事務所を1か所しか設けられませんが、税理士法人は支店(従たる事務所)を設けることができます(税理士法第40条、第48条の2以下)。代表者の事業として小回りをきかせるか、法人として組織の基盤を作るかという違いです。
違い②依頼者から見たメリットとデメリット
| 個人の税理士事務所 | 税理士法人 | |
|---|---|---|
| メリット | 所長の税理士が直接担当しやすく、相談しやすい。判断が早い | 複数の専門家の意見を聞ける。担当者が不在・退職しても組織で引き継げる |
| デメリット | 所長に万一のことがあると業務の継続が難しい。対応できる分野が所長の得意分野に偏りやすい | 担当者が交代しやすい。規模によっては料金が割高になる傾向 |
きめ細かい対応と相談のしやすさを重視するなら個人の事務所、長期的な安心感や幅広い分野への対応を重視するなら税理士法人が向いています。ただし、個人事務所でもスタッフが充実していたり、他の専門家と連携していたりする場合も多いため、形態だけでなく実際の体制を確認しましょう。
違い③働く側から見たキャリアや働き方
働く側にとっては、個人の税理士事務所では記帳から決算・申告まで一連の業務を一人で担当することが多く、将来の独立に役立つ実践的な力が身につきやすい環境です。一方、規模の大きい税理士法人では部署が分かれていることが多く、特定の税務分野の専門性を深めたり、管理職を目指したりするキャリアパスが明確です。

大手事務所(Big4など)と一般の税理士法人の違いは?
| 項目 | Big4など大手の税理士法人 | 一般的な税理士法人・税理士事務所 |
|---|---|---|
| 主な顧客 | 上場企業、外資系企業、多国籍に展開するグループ企業 | 地域の中小企業、個人事業主、医療機関など |
| 主な業務 | 国際税務、移転価格、組織再編、M&Aの税務など | 記帳・決算・申告、年末調整、経営相談、相続 |
| 担当の仕方 | 分野ごとの専門チームで対応 | 一人の担当者が顧客の税務全般を担当 |
| 料金 | 時間単価による報酬が多く、高額になりやすい | 月額の顧問料+決算料などが多い |
「Big4」とは、世界的な会計事務所ネットワークに属する4つのグループ(デロイト、KPMG、PwC、EY)のことで、日本ではそれぞれのグループの税理士法人が大手の税理士法人として知られています。多くの専門家がチームを組み、海外進出や国際税務といった複雑で規模の大きい案件を扱うのが特徴です。
違い①担当する顧客の企業規模
大手の税理士法人の主な顧客は、国内外に多くのグループ会社を持つ上場企業や、外資系企業です。一方、一般的な税理士法人や税理士事務所は、地域の飲食店や小売店から中堅の製造業まで、非上場の中小企業や個人事業主を主な顧客としています。大企業向けの高度な案件を扱うか、中小企業の身近なパートナーとして伴走するかという違いです。
違い②経験できる業務の幅と専門性
大手の税理士法人で働く場合、移転価格(海外のグループ会社との取引価格に関する税務)や組織再編など、限られた分野のスペシャリストとして深い知識を身につける働き方が多くなります。一般的な税理士法人では、一人の担当者が顧客の記帳から決算、年末調整まで幅広く担当し、会社全体の数字を見る力が身につきます。
違い③組織の風土や働き方
大手の税理士法人は海外のネットワークと連携した案件が多く、英語力が求められる場面や、成果に応じた評価の仕組みがはっきりしていることが一般的です。比較的小規模な事務所では、代表者との距離が近く、少人数で助け合いながら働く環境が多いでしょう。ただし、風土は事務所ごとに大きく違うため、面接や説明会で確かめることが大切です。

会計事務所・税理士事務所の主な業務内容
会計事務所・税理士事務所の仕事の流れ
会計事務所・税理士事務所の主な業務内容は、どちらもおおよそ同じです。代表的な3つを解説します。
業務①帳簿作成を代行する記帳代行業務
お客様の日々の取引を会計ソフトに入力し、正確な帳簿を作るのが代表的な業務です。毎月の領収書や通帳のコピーを預かり、勘定科目ごとに分類して入力し、試算表(月ごとの成績表)を作ります。最近は、銀行やクレジットカードの明細をクラウド会計ソフトに自動で取り込み、その内容を確認する形も増えています。経理の担当者を置く余裕がない小規模な会社や個人事業主にとって、本業に集中するための大切な外部サービスです。
業務②決算・申告と、月次の巡回監査
定期的にお客様を訪問(またはオンラインで面談)して帳簿が正しいかを確認し、事業年度が終わったら決算書を作り、法人税や消費税などの申告書を作成して提出を代行します。この定期的な確認を「巡回監査」と呼ぶ事務所もあります。なお、ここでいう監査は、公認会計士が行う法定の監査とは別のもので、税理士が帳簿の正確さを確かめる作業のことです。
業務③経営課題を解決する相談・コンサルティング業務
会計データをもとに会社の課題を分析し、解決策を提案するのも大切な仕事です。経費の見直しで利益率の改善を促したり、銀行から融資を受けるための事業計画書づくりを支援したりと、活動は多岐にわたります。単なる計算の代行にとどまらず、社外の財務担当者のような立場で経営者の悩みに寄り添う役割が期待されています。
会計事務所と税理士事務所どこに依頼すればいい?事務所を見つけるポイント

会計事務所・税理士事務所は、長い期間にわたって会社の大切な情報を預けるパートナーです。契約前に無料相談などを活用し、直接話して確かめることが大切です。次のポイントで事務所を選びましょう。
ポイント①担当者とのコミュニケーションが取りやすく相性が良い
話しやすさや連絡の取りやすさは、信頼関係を築くための最も重要なポイントです。専門用語を並べるのではなく、経営者の目線に合わせてわかりやすく説明してくれる担当者が理想的です。メールやチャットの返信が早く、ちょっとした疑問でも気軽に聞ける関係を築けるかどうかで、日々のストレスは大きく変わります。
ポイント②自社の業界や希望する業務に強みを持っている
自社の業種に詳しいか、依頼したい業務が得意かを確認しましょう。たとえば、飲食店の開業や多店舗展開の支援、医療法人の設立、建設業の長期の工事の収益の計上など、業種ごとに特有の会計・税務の論点があります。自社が直面している課題を解決できる具体的なノウハウがあるかどうかが、満足度を大きく左右します。
ポイント③提供されるサービスに対して料金が適切である
報酬の額が、受けられるサポートの内容と見合っているかを冷静に判断しましょう。月額の顧問料が極端に安い場合、記帳代行や定期的な面談、決算料がオプションになっていて、結果的に割高になることもあります。見積書では合計金額だけでなく、どの業務が基本料金に含まれているかの内訳を確認しましょう。
ポイント④クラウド会計やオンライン対応の有無
最近は、クラウド会計ソフトで帳簿のデータを共有し、オンラインで面談する事務所も増えています。移動の手間が省け、毎月の数字をタイムリーに確認できるのがメリットです。自社が使っている会計ソフトに対応しているか、面談の方法や頻度を選べるかも確認しておきましょう。
▶ あわせて読みたい:税理士の選び方|福岡で信頼できる税理士を見極めるポイント
依頼先選びでよくある質問
▶ あわせて読みたい:税理士変更のタイミングと断り方|福岡の税理士
税理士と会計士で儲かるのはどっち?

これから資格の取得を目指す人の中には、税理士と会計士のどちらが儲かるのか気になる人もいるでしょう。結論から言えば、資格の種類よりも、働き方や所属する組織、本人の経営力によって収入は大きく変わるため、一概にどちらが儲かるとは言えません。
公認会計士は、試験に合格した後、監査法人に入って実務経験を積みながらキャリアをスタートする人が多く、若いうちから比較的安定した収入を得やすい傾向があります。その後、監査法人で昇進する、事業会社の財務部門に移る、税理士登録をして独立するなど、進路はさまざまです。
税理士は、税理士事務所や税理士法人で経験を積んだ後、独立開業する人が多い資格です。独立後は、顧問先の数や、経営コンサルティング・相続などの付加価値の高いサービスをどれだけ提供できるかで、収入が大きく変わります。
どちらの資格でも、最終的な収入を決めるのは、専門性をお客様のニーズにどう結びつけるかです。資格の優劣ではなく、自分がどのような仕事をしたいかで選ぶことをおすすめします。
▶ あわせて読みたい:税理士や科目合格者向けのおすすめ転職エージェント14選!選び方やメリット・デメリットも解説
まとめ

会計事務所と税理士事務所は、税理士が運営していれば、日常的に提供される経理や税務のサービス内容に決定的な違いはありません。「会計事務所」は通称のため、申告を任せるなら税理士が在籍しているかを必ず確認しましょう。
代表者が公認会計士であれば監査を扱える場合があり、株式上場を目指す段階では公認会計士の力が必要になります。また、個人の税理士事務所、税理士法人、Big4などの大手では、得意な顧客層や対応の仕方、料金の考え方が違います。
自社の成長段階と課題をはっきりさせ、名前ではなく中身と相性で、最適なパートナーを選びましょう。
福岡で税理士をお探しなら
福岡市の野村税理士事務所は、中小企業・個人事業主の税務顧問、記帳・決算・確定申告を行う税理士事務所です。freee認定アドバイザーとしてクラウド会計の導入をお手伝いし、毎月の数字をAIで分析する「AI月次分析レポート」で、経営の状況をわかりやすくお伝えします。オンラインでのご相談にも対応しています。
参考資料:国税庁「税理士制度」/e-Gov法令検索「税理士法」/e-Gov法令検索「公認会計士法」/日本税理士会連合会「税理士制度」/日本税理士会連合会「税理士情報検索サイト」
※本記事は2026年9月時点の公表情報をもとに作成しています。事務所の体制や料金は事務所ごとに異なります。

税金や資金繰りの課題を解決するなら、野村税理士事務所へご相談ください。
当事務所は、福岡を中心に企業経営者の税務と経営を支援している税理士事務所です。IT・Webにも強く、あらゆる業種の事業者様のクラウド会計の導入サポートを通じ、事業の安定化を図ります。
オンライン相談にも対応しており、遠方からでも専門家のアドバイスを受けることができます。初回のご相談は無料ですので、節税や資金調達でお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

野村税理士事務所代表 野村真一
税理士業界23年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。
YouTube・TikTokでは「税理士のむさん」として、税金・会計のポイントを短い動画で解説しています。
▶ YouTube ▶ TikTok

