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【2026年度税制改正】こどもNISAとは?0〜17歳のつみたて枠と払出しルール

「子どもでもNISAが使えるようになるって本当?」
「いくらまで積み立てられて、いつ引き出せるの?」

2026年度(令和8年度)の税制改正で、いわゆる「こどもNISA」が話題になっています。お子さんやお孫さんの教育資金を考えている経営者・会社員の方から、こうしたご質問をいただく機会が増えてきました。

結論からお伝えすると、NISAの「つみたて投資枠」が0〜17歳でも使えるようになり、年60万円・非課税保有限度額600万円の枠が2027年(令和9年)以後に始まります。一方で、原則として18歳になる年(基準年)の前年12月31日までは払い出せないという、成人向けのNISAにはないルールがある点が大きな違いです。

この記事では、財務省の「令和8年度税制改正の大綱」にもとづいて、こどもNISAの仕組みと払出しルール、枠の使い方のイメージ、成人向けNISAとの違い、そして経営者がお子さんのために考えておきたい資金計画のポイントを、税理士の立場から整理します。

この記事でわかること

  • こどもNISA(0〜17歳のつみたて投資枠)の基本:年60万円・600万円・令和9年から
  • 払出しのルール:いつから引き出せるのか、例外と20%の源泉徴収
  • 毎月5万円で10年、という枠の埋まり方のイメージ
  • 成人向けNISAとの違い(比較表)
  • 経営者が子どものために考えておきたい資金計画と注意点
目次

結論:こどもNISAは「0〜17歳が使えるつみたて投資枠」

こどもNISAは0〜17歳が使えるつみたて投資枠。年60万円・非課税保有限度額600万円、2027年以後に開始、原則18歳前は払出しできない

NISAは、投資で得た運用益が非課税になる制度です。これまでは口座を開ける年齢に下限があり、未成年のお子さんは現行のNISAを利用できませんでした。今回の改正では、この口座開設年齢の下限が撤廃され、0〜17歳のお子さんも「つみたて投資枠」を使えるようになります。

ポイントを先にまとめると、次のとおりです。

✓ こどもNISAのポイント
  • 0〜17歳もNISAのつみたて投資枠が利用できるようになる
  • 年間の投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円
  • 対象商品は、積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託
  • 開始は2027年(令和9年)以後(開始月などの詳細は今後の公表待ち)
  • 原則、基準年(その年の3月31日に18歳である年)の前年12月31日まで払出し不可
  • 18歳になると成人向けの制度に移行する

「教育資金を少しずつ、長い時間をかけて積み立てる」という使い方を想定した制度設計になっています。その分、途中で自由に引き出せないという制約がある点は、最初に押さえておきたいところです。

▶ あわせて読みたい:【総まとめ】2026年度税制改正のポイント

こどもNISAの基本(年60万円・600万円・令和9年から)

項目内容
対象年齢0〜17歳(口座開設年齢の下限を撤廃)
使える枠つみたて投資枠
年間の投資枠60万円
非課税保有限度額600万円
対象商品積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託
開始時期2027年(令和9年)以後
払出し原則、基準年の前年12月31日まで不可(例外あり)
18歳以後成人向けの制度に移行

出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」、財務省パンフレット「令和8年度税制改正」をもとに作成

制度の骨格は、上の表のとおりです。

「つみたて投資枠」とは

つみたて投資枠は、長期の積立・分散投資に向いた投資信託を、定期的にコツコツ買っていくための枠です。個別の株式を自由に売買する枠ではありません。こどもNISAで使えるのは、このつみたて投資枠です。対象となる商品も「積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託」とされており、短期の売買で増やすというより、時間を味方につけて育てていくことを前提にした制度といえます。

まだ決まっていないこと

大綱の段階では、制度の開始は「令和9年以後」とされていますが、何月から利用できるのか、口座開設の具体的な手続き、金融機関ごとの取扱い商品などは、まだ明らかになっていません。こうした細かな点は、今後公表される政省令や金融庁・金融機関の案内で確認が必要です。

また、非課税保有限度額600万円の管理方法(売却した場合に枠がどう扱われるか等)についても、本記事では断定を避けます。以下の図や計算例は、あくまで「積み立てた元本の合計」で考えたイメージとしてご覧ください。

払出しのルール:原則「18歳になる年の前年末」まで引き出せない

こどもNISAの払出しルールの流れ

STEP 01
0歳〜 口座開設・積立
つみたて投資枠で年60万円まで積み立て
STEP 02
〜11歳
原則として払出し不可(災害等で税務署長の確認を受けた場合は可)
STEP 03
12歳以後
子の同意を得て、親権者等が一定の事由で払出し可
STEP 04
基準年の1月1日〜
基準年の前年12月31日を過ぎると払出しの制限がなくなる
STEP 05
18歳〜
成人向けの制度に移行

こどもNISAで最も注意したいのが、払出し(お金を引き出すこと)のルールです。成人向けのNISAは、必要なときに売却して引き出すことができますが、こどもNISAには上の図のような制限があります。

ここでいう基準年とは、「その年の3月31日時点で18歳である年」のことです。払出しができないのは、この基準年の前年の12月31日までとされています。

学年に当てはめると、3月31日時点で18歳になっている年は、おおむね高校を卒業する年にあたります。つまり、払出しの制限がなくなるのはおおむね高校3年生の1月以降というイメージです。大学の入学金など、進学のタイミングで必要になるお金に合わせた設計といえるでしょう(実際の判定は生年月日ごとに確認してください)。

例外として払い出せるケースと、20%の源泉徴収

原則のルールには、次のような例外があります。

ケース払出し税金の扱い
基準年の前年12月31日を過ぎた後可能制限なし
12歳以後に、子の同意を得て親権者等が一定の事由で払い出す可能一定の事由に該当すれば制限の対象外
災害等で、税務署長の確認を受けた場合可能制限の対象外
上記以外で払い出す場合―20%の源泉徴収

出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」、財務省パンフレット「令和8年度税制改正」をもとに作成。「一定の事由」の具体的な内容は今後公表される政省令等で確認が必要です

つまり、ルールの外で途中解約のように引き出すと、20%の源泉徴収が行われ、非課税のメリットが失われてしまうということです。NISAは「非課税で増やす」ための制度ですから、この点は大きな違いです。

12歳以後の払出しについて定められている「一定の事由」が具体的に何を指すのかは、現時点では明らかになっていません。「中学受験の費用に使えるのか」「習い事の費用はどうか」といった疑問をお持ちの方も多いと思いますが、ここは今後の政省令等を確認してから判断するのが安全です。

✓ 払出しルールで押さえること
  • こどもNISAのお金は「すぐに使うお金」ではなく「進学期に使うお金」と考える
  • 12歳以後の払出しは子の同意が前提。親の判断だけでは引き出せない
  • ルール外の払出しは20%の源泉徴収。非課税の意味がなくなる
こどもNISA 0〜17歳もつみたて投資枠が利用可能に 年60万円・令和9年から

年60万円・600万円の枠はどう埋まる?

積立期間毎月5万円を積み立てた場合の元本の累計
1年60万円(年間の投資枠の上限)
3年180万円
5年300万円
10年600万円(非課税保有限度額)

※元本の単純計算です。運用による増減や手数料は含みません。

次に、年60万円と600万円という2つの数字の関係を見てみましょう。ここでは将来の運用成績を予測するのではなく、積み立てた元本(自分が入れたお金)だけで考えます。

計算例:毎月5万円を積み立てた場合

毎月同じ金額を積み立てる場合、年60万円の枠をちょうど使い切る金額は月5万円です。

モデルケース:毎月5万円を積み立てる

  • 1年間の積立額:5万円×12か月=60万円(年間の投資枠の上限)
  • 10年間の積立額:60万円×10年=600万円(非課税保有限度額)
  • → 毎月5万円なら、10年で600万円の枠が埋まる計算
毎月5万円を積み立てると1年目60万円、10年目に非課税保有限度額600万円に到達する元本の累計グラフ

このように、年間の上限いっぱいまで積み立てても、600万円に届くまでには10年かかります。0歳から始められるお子さんであれば、上限まで積み立てたとしても、18歳の手前には十分な期間があることになります。

反対に、年60万円を超えて積み立てることはできません。「まとまった資金を一度に入れたい」と考える場合でも、年ごとの枠の範囲で少しずつ入れていくことになります。

毎月の積立額ごとの10年間の元本合計

月5万円は、家計によっては大きな金額です。積立額を変えた場合の10年間の元本合計を並べると、次のようになります。

毎月1万円なら10年で120万円、2万円なら240万円、3万円なら360万円、5万円なら600万円になる元本合計の横棒グラフ
毎月の積立額1年間の元本10年間の元本
1万円12万円120万円
2万円24万円240万円
3万円36万円360万円
5万円60万円(年間の上限)600万円(保有限度額)

※元本の単純計算です。運用による増減や手数料は含みません

枠を使い切ることが目的ではありません。大切なのは、「いつ・いくら必要になるか」から逆算して、無理なく続けられる金額を決めることです。月1万円でも、10年続ければ120万円の元本になります。途中で積立額を見直すことも含めて、家計に合わせて考えていきましょう。

成人向けNISAとの違い

項目成人向けNISA(現行)こどもNISA(改正後)
対象年齢18歳以上0〜17歳
使える枠つみたて投資枠・成長投資枠つみたて投資枠
年間の投資枠枠ごとに年間の上限あり60万円
非課税保有限度額生涯の上限あり600万円
対象商品枠によって異なる積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託
払出しいつでも可能原則、基準年の前年12月31日まで不可
ルール外の払出し―20%の源泉徴収
開始時期実施中2027年(令和9年)以後
18歳になると―成人向けの制度に移行

※成人向けNISAの具体的な投資枠の金額は、金融庁のNISA特設ウェブサイト等でご確認ください

こどもNISAは、現行のNISA(成人向け)の仕組みをベースに、0〜17歳向けのルールを加えたものといえます。主な違いは上の表のとおりです。

成人向けNISA
  • 自分の資産形成のための制度
  • 必要なときに売却・払出しができる
  • つみたて投資枠と成長投資枠の2本立て
こどもNISA
  • 子どもの将来のための積立に特化
  • 払出しは原則、基準年の前年末まで不可
  • つみたて投資枠のみ・年60万円・600万円

いちばんの違いは、やはりお金の自由度です。成人向けNISAは「非課税の投資口座」として柔軟に使えますが、こどもNISAは「子どもの進学期まで育てる口座」という性格が強くなっています。

18歳になると成人向けの制度に移行するとされていますが、移行時にこどもNISAで積み立てた分が成人向けの枠とどのように扱われるかなど、細かな点は今後の公表を待つ必要があります。

経営者が子どものために考えたい資金計画

経営者が考えたい子どもの資金計画:贈与と名義の整理、会社と個人のお金の区分、引き出せない期間を織り込む

ここからは、経営者・個人事業主の方ならではの視点で、こどもNISAを使う前に考えておきたいことを整理します。

1. 資金の出どころを決める(贈与と名義の問題)

こどもNISAは子ども本人の口座として開設し、実際の積立資金は親や祖父母が出すケースがほとんどだと思います。このとき、親から子へお金が移ることは、税金の世界では贈与(財産を無償で渡すこと)にあたる可能性があります。

また、子どもの名義であっても、実態として親が管理し、親の財産と変わらない状態だと、将来の相続の場面で「名義預金」(名義だけ家族で、実質は本人の財産とみなされるもの)として扱われるおそれがあります。贈与として整理するなら、贈与の事実がわかる記録を残しておくことが大切です。贈与税がかかるかどうかは、同じ年のほかの贈与も含めて判断することになるため、個別にご相談ください。

2. 会社のお金と個人のお金を分ける

経営者の方で注意したいのが、会社の口座から直接、家族の口座へお金を動かさないことです。会社のお金を家族の積立に回すと、役員への給与や貸付金として扱われるなど、法人税・所得税の両面で問題になりえます。こどもNISAの資金は、役員報酬などを受け取った後の「個人のお金」から出すのが基本です。

そのため、こどもNISAを始めるなら、役員報酬の金額や家計の資金繰りとあわせて考えるのがおすすめです。役員報酬は期中に自由に変えにくいため、決算期や定時株主総会のタイミングで、教育資金の積立も含めた個人の手取り計画を立てておくと安心です。

3. 「引き出せない期間」を資金計画に織り込む

経営者の個人資金は、会社の運転資金の不足を補うために使われることも少なくありません。こどもNISAに入れたお金は原則として長期間引き出せないため、事業や家計のいざというときの資金とは分けて考える必要があります。

「非課税だから上限まで」と考えるのではなく、手元に残す生活防衛資金、事業のための予備資金を確保したうえで、残りの範囲で積立額を決めるのが現実的です。

4. 兄弟姉妹がいる場合は家計全体で

こどもNISAは子ども一人ひとりの口座で考えることになります。たとえばお子さんが2人いて、それぞれ年60万円ずつ積み立てると、家計からは年120万円が出ていく計算です。成人向けNISAで親自身が積み立てている場合は、その金額も合わせて、家計全体として無理がないかを確認しましょう。

5. ほかの教育資金の制度との関係

教育資金の準備では、祖父母などからの教育資金の一括贈与の非課税措置を検討していた方もいるかもしれません。この措置は2026年(令和8年)3月31日で新規の適用が終了しています(同日までに拠出した分は従前どおり)。今後の教育資金づくりの選択肢として、こどもNISAの位置づけはより大きくなりそうです。

✓ 資金計画を考える順番
  • ① 生活防衛資金と、事業のための予備資金を先に確保する
  • ② お子さんの進学時期から、いつ・いくら必要かを逆算する
  • ③ 無理なく続けられる月額でこどもNISAを積み立てる(年60万円=月5万円が上限の目安)

▶ あわせて読みたい:暗号資産の分離課税・青色申告特別控除の見直し・教育資金贈与の終了ほか

経営者・個人事業主がいまやっておくこと

こどもNISAの開始までにやること:進学時期の書き出し、月額の決定、資金の出どころの決定、会社と個人のお金の区分、公表情報の確認

こどもNISAの開始は2027年(令和9年)以後です。まだ時間があるいまのうちに、次の点を確認しておきましょう。

  • ☑ お子さんの進学時期(高校・大学など)と、必要になりそうな時期を書き出す
  • ☑ 毎月いくらなら無理なく積み立てられるかを決める(年60万円=月5万円が上限の目安)
  • ☑ 積立資金の出どころ(親・祖父母)を決め、贈与として整理する場合は記録の残し方を考える
  • ☑ 会社の口座から家族の口座へ直接お金を動かさない運用を徹底する
  • ☑ 役員報酬の見直し時期に、教育資金の積立も含めた手取り計画を立てる
  • ☑ 生活防衛資金・事業の予備資金を別に確保しておく
  • ☑ 開始月や手続き、「一定の事由」の中身など、今後の公表情報をチェックする

とくに経営者の方は、会社の数字と個人の家計がつながっています。会社の業績見通しがわかっていれば、役員報酬の水準や個人でどれだけ積立に回せるかも判断しやすくなります。

✓ こどもNISAでよくいただく質問
  • Q. 祖父母が積立資金を出してもいい? → 出どころは親・祖父母いずれも考えられます。贈与にあたる可能性があるため記録を残し、贈与税がかかるかどうかは同じ年のほかの贈与も含めて個別に確認を
  • Q. 中学受験の費用に使える? → 12歳以後は子の同意を得て一定の事由で払い出せるとされていますが、「一定の事由」の中身はまだ公表されていません
  • Q. 18歳になったらどうなる? → 成人向けの制度に移行します。移行時の枠の扱いなど細かな点は今後の公表を待つ必要があります

▶ あわせて読みたい:扶養の所得要件62万円へ/配偶者特別控除・特定親族特別控除・勤労学生・ひとり親控除の拡充

まとめ

こどもNISAのまとめ:0〜17歳もつみたて投資枠、年60万円・600万円、払出しルールと20%の源泉徴収に注意
  • こどもNISAは、NISAのつみたて投資枠が0〜17歳でも使えるようになる改正
  • 年間の投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円。開始は2027年(令和9年)以後
  • 払出しは原則、基準年(3月31日に18歳である年)の前年12月31日まで不可。12歳以後は子の同意を得て一定の事由で払出し可、災害等は税務署長の確認で可
  • それ以外の払出しは20%の源泉徴収の対象
  • 毎月5万円(年60万円)なら、10年で600万円の枠が埋まる計算(元本ベース)
  • 経営者は、資金の出どころ(贈与・名義)、会社と個人のお金の区分、引き出せない期間を織り込んだ資金計画がポイント

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参考資料

財務省「令和8年度税制改正の大綱」https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/index.html
財務省「令和8年度税制改正の大綱」個人所得課税 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm
財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf
財務省パンフレット「令和8年度税制改正」https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei26.html

※本記事は2026年9月時点の公表資料にもとづく一般的な解説です。制度の詳細は今後公表される政省令等で変わる可能性があります。個別の判断は専門家にご相談ください。

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執筆者
野村税理士事務所 代表 野村真一
野村 真一

野村税理士事務所代表 野村真一

税理士業界23年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。

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