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【税理士が解説】個人事業主が車購入で節税するコツ!中古車のメリットや家事按分の設定方法も解説

【税理士が解説】個人事業主が車購入で節税するコツ!中古車のメリットや家事按分の設定方法も解説

「仕事で使う車を買って節税したいけれど、どんな車をいつ買うのが一番お得なの?」「高級車や中古車が節税にいいと聞くけれど、税務署に否認されないか心配……」

個人事業主にとって、車の購入は数ある節税策の中でも金額が大きく、インパクトのあるものです。しかし、車の「買い方」や「選び方」を間違えると、期待したほど経費にならなかったり、税務調査でプライベート利用との区別を厳しく確認されたりするリスクがあります。

結論からお伝えすると、事業で使う車の購入代金は減価償却で、ガソリン代や保険料などの維持費はその都度、経費にできます。特に4年落ちの中古車(普通自動車)は耐用年数が2年になり、定率法を届け出ておけば、1月に買うと1年目にほぼ全額を経費にできます。ただし、個人事業主は届出をしなければ定額法になること、私用と兼用なら事業で使った割合しか経費にできないこと、そして節税額よりも出ていくお金のほうが大きいことを前提に判断しましょう。

この記事では、個人事業主が車を買って節税するときの減価償却のルール、中古車の耐用年数の計算、維持費や家事按分、購入時の会計処理、カーリースとの比較まで、福岡の税理士が2026年9月時点の制度でわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 車の購入費を経費にする仕組み(減価償却・家事按分)
  • 中古車の耐用年数の計算と、4年落ちの車が節税に使われる理由
  • 定額法と定率法の違い、購入時期による経費の差
  • 維持費として経費にできる支出と、購入時の諸費用の処理
  • 2026年4月からの少額減価償却資産40万円未満、環境性能割の廃止
目次

個人事業主は車の購入費用を経費にできる?車購入が節税に直結する仕組み

車の購入費は経費にできる:購入代金は減価償却で、維持費・ローン利息も経費、私用分は家事按分で除く

個人事業主が業務のために買った車は、事業用の資産になります。そのため、適切な会計処理をすれば、購入代金を経費として計上できます。まずは、車の購入がどのような仕組みで税金の軽減につながるのか、基本を確認しましょう。

  • 仕事で使う車は「車両運搬具」として資産に計上し、減価償却費を経費にする
  • ローンの利息やカーリースの料金も事業のコストとして経費にできる
  • 購入代金は一度に経費にならず、耐用年数に応じて数年に分けて経費にする

①仕事で使う車は「車両運搬具」として経費計上が認められる

事業で使う目的で手に入れた車は、「車両運搬具」という勘定科目で資産として扱い、価値が減っていく分を減価償却費として必要経費にします。納品や営業、現場への移動など、業務に必要な車であれば、車種にかかわらず経費化の対象になります。

ただし、仕事専用ではなくプライベートでも使っている場合は、実際に仕事で使っている割合に応じて経費を計算します。これを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。客観的な記録で事業での利用実態を示せることが大前提です。

②カーリースの料金やローンの利息も事業のコストとして経費にできる

車をローンで買った場合は、借入金の利息分を「支払利息」(「利子割引料」などの科目も使われます)として経費にできます。一方、ローンの元本の返済は車の購入代金の支払いそのものなので、返済額を経費にするのではなく、車の取得価額を減価償却で経費にしていきます。

カーリースの場合は、月々のリース料を「賃借料」や「リース料」などの科目で経費にするのが一般的です。自身の事業やお金の流れに合わせて、購入・ローン・リースのどれが合うかを考えましょう。

▶ あわせて読みたい:支払利息の勘定科目とは?仕訳例や借入金との違いを解説

③高額な購入費用は減価償却で数年かけて費用化する

車のように高額で長く使う資産は、「減価償却(げんかしょうきゃく)」のルールが適用されます。減価償却とは、買った年に全額を経費にするのではなく、法律で決められた耐用年数に分けて経費にする方法です。

一見すると初年度の節税効果が小さく感じるかもしれませんが、数年にわたって経費を計上し続けられるため、毎年の所得税・住民税・国民健康保険料を計画的に抑えられます。減価償却の計算は、新車か中古車か、定額法か定率法かで大きく変わるので、次の章から詳しく見ていきます。

個人事業主が車の購入費用を経費にできるのはいくらまで?

経費にできる金額に上限はない:高級車でも事業に必要なら可、説明できる根拠がカギ

個人事業主が経費にできる車の購入費用に、法律上の上限金額はありません。事業に必要な車であれば、高額な外国車であっても、減価償却を通じて経費にできます。

ただし、税務署からの指摘を避けるには、その車が本当に業務に必要であるという理由を、客観的な記録で説明できなければなりません。たとえば、顧客を乗せて移動する機会が多い、長距離の移動が多く安全性の高い車が必要、仕事の道具や商品を積む必要がある、といった事業上の理由です。

一方で、事業の実態とかけ離れた車は、経費としての妥当性を疑われやすくなります。たとえば、仕事でほとんど使っていないスポーツカーや、家族の送迎が中心の車などです。大切なのは価格の高さそのものではなく、その車が事業にどう役立っているかを説明できることです。高級車を経費にするときの考え方は、次の記事でも詳しく解説しています。

▶ あわせて読みたい:車を経費にするのはずるい?個人事業主が高級車で節税する条件と注意点

車の購入費用を減価償却するときの計算ルール!車両の種類によって決まる

普通自動車(法定耐用年数6年)耐用年数計算(簡便法・1年未満の端数切捨て)
新車6年―
1年落ち5年(6-1)+1×0.2=5.2年
2年落ち4年(6-2)+2×0.2=4.4年
3年落ち3年(6-3)+3×0.2=3.6年
4年落ち2年(6-4)+4×0.2=2.8年
5年落ち2年(6-5)+5×0.2=2.0年
6年落ち以上2年6×0.2=1.2年→最低2年

出典:国税庁 タックスアンサーNo.5404「中古資産の耐用年数」(所得税も同じ計算方法)。経過年数は月単位で計算するため、実際の登録年月で確認してください。

減価償却では、車の購入代金をいつ、いくら経費にできるかが、耐用年数と計算方法(定額法・定率法)によって決まります。主なルールは次の3つです。

  • 普通自動車の新車は6年(軽自動車は4年)の法定耐用年数で償却する
  • 中古車は新車登録からの経過年数に応じて短い耐用年数で償却できる
  • 個人事業主は原則として定額法。定率法にするには届出が必要

ルール①普通自動車の新車は6年の法定耐用年数で償却する

普通自動車の新車の法定耐用年数は6年、軽自動車は4年です(国税庁「耐用年数(車両・運搬具)」)。たとえば、600万円の新車を1月に買って定額法(6年の償却率0.167)で償却すると、1年あたりの減価償却費は約100万円(600万円×0.167=100.2万円)です。

新車は故障のリスクが低く、長く乗れるというメリットがありますが、1年目に経費にできる金額は購入代金の6分の1程度です。短期間で大きな節税をしたい場合より、毎年安定して経費を計上したい場合に向いています。

ルール②中古車は経過年数に応じて短い期間で償却できる

中古車は、新車登録からの経過年数に応じて、新車より短い耐用年数を使えます。上の表のとおり、耐用年数は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」で計算し、1年未満の端数は切り捨てます。法定耐用年数をすべて経過した車は「法定耐用年数×20%」で、計算結果が2年未満になる場合は2年とします。

耐用年数が短いほど1年あたりの減価償却費が大きくなるため、中古車は新車よりも早く経費にできます。この計算方法(簡便法)は、中古で取得した車を事業に使い始めたときに使えるもので、事業に使い始めた年分で適用する必要があります。

ルール③個人事業主は原則として定額法。定率法は届出が必要

個人事業主が車を減価償却するとき、届出をしなければ、毎年同じ額を経費にする「定額法」になります(国税庁 タックスアンサーNo.2100)。定額法は計算がシンプルで、将来の経費の見通しが立てやすい方法です。

1年目に多く経費にしたい場合は、税務署に「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を出して「定率法」を選びます。届出の期限は、新たに業務を始めた場合や初めて車両運搬具を取得した場合、その年の翌年3月15日(確定申告期限)までです。すでに定額法で車両を償却している人が定率法に変える場合は、変更したい年の3月15日までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を出して承認を受ける必要があります。

個人事業主が車購入で節税メリットを最大化させる方法!中古車を活用する

300万円の車を1月に買ったときの新車(定額法)、4年落ち中古車(定額法・定率法)の減価償却費の比較グラフ

1年目に大きく経費を計上したいなら、新車よりも、登録から一定期間が経った中古車が向いています。上のグラフは、300万円の車を1月に買い、すべて事業に使った場合の毎年の減価償却費です。新車は6年に分けて約50万円ずつですが、4年落ちの中古車は定額法でも2年で、定率法なら1年目にほぼ全額を経費にできます。ポイントは次の3つです。

  • 4年落ちの中古車を選ぶと、耐用年数は最短の2年になる
  • 買う時期(月)によって1年目の経費は大きく変わる
  • 売却時の価格(リセールバリュー)と税金も考えておく

①4年落ちの中古車を選び、最短の2年で償却する

新車登録から4年が経過した普通自動車は、耐用年数が「(6年-4年)+4年×0.2=2.8年」→端数を切り捨てて2年になります。4年以上経過していれば、何年落ちでも耐用年数は2年です。

耐用年数2年の償却率は、定額法で0.500、定率法で1.000です。つまり、定額法なら2年で半分ずつ、定率法なら1年目に取得価額のほぼ全額(帳簿上1円を残す)を経費にできます。定率法を使うには前の章の届出が必要なので、車を買う前に確認しておきましょう。

②買う月によって1年目の経費は大きく変わる

年の途中で車を買った場合、1年目の減価償却費は、事業に使い始めた月から12月までの月数で月割りします。たとえば、300万円の4年落ちの中古車を定率法で償却する場合、1月に使い始めれば1年目にほぼ300万円を経費にできますが、10月なら3か月分の75万円、12月なら1か月分の25万円にとどまります(残りは翌年の経費)。

「12月に駆け込みで車を買えば大きく節税できる」と考えがちですが、個人事業主の場合は効果が小さくなりやすい点に注意が必要です。利益の見込みを早めに把握し、車が必要なら、年の前半に導入を検討するのが合理的です。

税理士のひとこと:車を買うと税金は減りますが、それ以上にお金が出ていきます。必要な車かどうかを先に考えましょう

③売却時の価格と税金も考えておく

経費を早く計上しても、車の購入代金そのものは戻ってきません。将来手放すときの売却価格(リセールバリュー)が高い車種を選べば、実質的な負担を抑えられます。一般に、中古車市場で人気の高い車種は値下がりしにくい傾向があります。

一方で、減価償却で帳簿上の価額が小さくなった車を売ると、売却益が出ます。個人事業主が事業用の車を売った場合の利益は、事業所得ではなく「譲渡所得」として扱われるのが原則で、特別控除(年50万円)を差し引いたうえで、ほかの所得と合わせて課税されます。早く償却するほど売却時に利益が出やすくなるため、買い替えまで含めて計画しましょう。

「登録済未使用車」は中古車の耐用年数を使える?

ディーラーなどがナンバー登録だけを行った「登録済未使用車」は、新車より安く買えることが多い一方、税務上の耐用年数の扱いには注意が必要です。中古資産の耐用年数(簡便法)は、すでに使用されていた資産を取得した場合の計算方法です。登録はされていても実際には使われていない車について、中古の耐用年数を使えるかどうかは慎重に判断すべきで、新車と同じ6年で償却するのが無難なケースもあります。購入前に税理士に確認しましょう。

車購入後も節税!維持費として経費にできる支出

費用主な勘定科目ポイント
ガソリン代・駐車場代・高速代車両費・旅費交通費・地代家賃私用と兼用なら事業割合で按分。月極駐車場は地代家賃
自動車税・軽自動車税・自動車重量税租税公課按分後の金額を経費に
自賠責保険・任意保険損害保険料複数年分の一括払いは、その年に対応する分だけ経費
車検・点検・オイル交換・タイヤ交換車両費・修繕費車検費用のうち重量税・自賠責・印紙代は別の科目に
ローンの利息支払利息(利子割引料)元本の返済は経費にならない

車の購入代金だけでなく、日々の運用にかかる維持費も、事業に関係するものであれば必要経費にできます。主な費用と勘定科目は上の表のとおりです。勘定科目は、毎年同じ科目で処理していれば、ここに挙げた以外の科目を使ってもかまいません。

①ガソリン代・駐車場代

ガソリン代や、出張先・取引先の近くで使った駐車場代は、業務に使った分を経費にできます。仕事とプライベートで車を兼用している場合は、走行距離などに基づいて家事按分します。キャッシュレス決済やガソリンカードを使うと、利用明細がそのまま記録になり便利です。

自宅の駐車場の賃料も、車を事業に使っていれば、事業割合に応じて経費にできます。持ち家の駐車スペースの場合は、家賃ではなく、固定資産税や建物の減価償却費の按分として考えます。

▶ あわせて読みたい:駐車場代の勘定科目とは?仕訳例や経費計上する際の注意点を解説

②自動車税・自動車重量税

毎年5月ごろに納税通知書が届く自動車税(軽自動車は軽自動車税)や、車検のときに払う自動車重量税も、事業割合に応じて「租税公課」として経費にできます。納付の控えや車検の明細は、ほかの経理書類と一緒に保存しておきましょう。

③自賠責保険・任意保険料

自賠責保険や任意保険の保険料も、事業割合に応じて経費にできます。数年分をまとめて払った場合は、その年に対応する期間の分だけをその年の経費にするのが原則です。任意保険は、使用目的を「業務使用」などの実態に合った区分で契約しておかないと、事故のときに補償を受けられないおそれもあるため、保険会社に確認しておきましょう。

④メンテナンス代・車検費用

オイル交換やタイヤ交換などのメンテナンス費用、車検の整備費用や故障の修理代も、車両費や修繕費として経費にできます。ただし、車検のときに払う費用のうち、自動車重量税は租税公課、自賠責保険料は損害保険料、印紙代は租税公課など、内容に応じて科目を分けると後から確認しやすくなります。

⑤支払利息(ローンで車を購入した場合)

ローンで車を買った場合、利息分はその年の経費になります。ローンの返済予定表を見れば、毎月の返済額のうち利息がいくらかがわかるので、それに基づいて計上しましょう。私用と兼用の車であれば、利息も事業割合で按分します。

個人事業主の私用兼用車でも経費にできる?家事按分を適切に設定するポイント

車の家事按分を決める流れ:走行を記録、1年分を集計、割合を計算、費用に掛ける

仕事とプライベートの両方で同じ車を使っている個人事業主でも、家事按分をすれば車の費用を経費にできます。ただし、按分の割合の根拠があいまいだと、税務調査で指摘される原因になるため、誰が見ても納得できる基準を設けておくことが大切です。ポイントは次の4つです。

  • 走行距離などの実態に基づいて事業割合を計算する
  • 車の名義は原則として本人にしておく
  • 高級車でも事業目的を客観的に説明できれば経費にできる
  • 青色申告なら40万円未満の車は一括で経費にできる(2026年4月以後の取得)

ポイント①走行距離などの実態に基づき事業割合を計算する

家事按分の割合は、走行距離などの実態に基づいて決めましょう。日々の走行距離を記録し、年間の総走行距離に対する仕事での走行距離の割合を計算すると、税務署にも説明しやすくなります。

たとえば、年間の走行距離が1万kmで、そのうち仕事での移動が6,000kmなら、事業割合は60%です。この場合、減価償却費や維持費の60%を経費にできます。300万円の4年落ちの中古車を定額法で償却すると、1年目の減価償却費150万円のうち90万円が経費になります(残りの60万円は私用分で経費にならず、車の帳簿価額はその分も含めて減っていきます)。

走行記録がない場合は、仕事で使う日数などで按分することもありますが、走行記録簿(日付・行き先・目的・距離)があるほうが説得力は格段に上がります。スマートフォンのアプリやドライブレコーダーの記録を活用するのもひとつの方法です。

税理士のひとこと:私用と兼用の車は、走行記録があるかどうかで説明のしやすさが大きく変わります

ポイント②車の名義は原則として本人にしておく

車の購入費用を事業の資産として減価償却するには、原則として事業主本人が所有していることが必要です。友人や別生計の知人の名義の車は、事業の資産として扱えません。

生計を一にする配偶者などの名義の車を事業に使っている場合、ガソリン代などの維持費を事業主が負担していれば、事業割合に応じて経費にできると考えられますが、購入代金の減価償却まで認められるかは状況によって判断が分かれます。これから車を買うなら、本人名義にしておくのが最もシンプルです。ローン中で名義が販売会社やローン会社になっている場合でも、使用者が本人で、実質的に本人が所有していれば問題ありません。

ポイント③事業目的を客観的に説明できれば高級車も経費にできる

メルセデス・ベンツやレクサスといった高級車でも、その車が事業に必要であるという理由を客観的に説明できれば、事業割合に応じて経費にできます。顧客を送迎する機会が多い、ブランドイメージが重要な業種である、といった理由が考えられます。

ただし、スポーツカーのように業務との関係を説明しにくい車は、私的な趣味ではないかと疑われやすいため、日頃から業務での利用実態を記録しておくことが欠かせません。大切なのは価格の高さではなく、その車が事業にどう役立っているかという説明の一貫性です。

ポイント④青色申告なら40万円未満の車は一括で経費にできる

青色申告をしている中小事業者は、「少額減価償却資産の特例」で、一定額未満の資産を買った年に全額経費にできます。この特例の対象は、令和8年度税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられ、2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満が対象です(国税庁 タックスアンサーNo.2100)。年間の合計300万円までという上限は変わりません。

中古の軽自動車などを40万円未満で手に入れた場合、この特例を使えば、その年に全額を経費にできます。なお、取得価額には車両本体のほか、納車費用などの付随費用も含めて判定します。白色申告ではこの特例は使えないため、節税を意識するなら青色申告の承認を受けておきましょう。

個人事業主が確定申告を行うための車両取得時の会計処理のコツ

購入時に支払う費用処理の目安
車両本体価格・オプション・納車費用取得価額に含める(車両運搬具)
自動車税の未経過分の精算金(中古車)取得価額に含める(売主への代金の一部)
自賠責保険の未経過分の精算金(中古車)取得価額に含めるのが一般的
自動車重量税・自賠責保険料(車検時・新規登録時)租税公課・損害保険料として経費にできる
登録や車庫証明の法定費用・代行手数料取得価額に含めず、その年の経費にする処理が一般的
環境性能割2026年3月31日で廃止(2026年4月以後の取得ではかからない)

出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」(環境性能割の廃止)ほか一般的な取扱いをもとに当事務所作成。個別の処理は税理士にご確認ください。

個人事業主が車を買ったときの会計処理のコツとして、次の3つがあります。

  • 購入時の諸費用を、取得価額に含めるものと経費にするものに分ける
  • 自家用車を仕事に使い始めたときは、その時点の価額から減価償却する
  • 消費税の課税事業者は、仕入税額控除の扱いも確認する

①購入時の諸費用を適切に処理する

車を買うときは、車両本体のほかに、納車費用、登録や車庫証明の手数料、税金、保険料などを払います。上の表のように、車を使える状態にするための費用(付随費用)は取得価額に含めて減価償却し、登録の法定費用や代行手数料、自動車重量税などは取得価額に含めずにその年の経費にする処理が一般的です。

注意したいのは、中古車を買ったときの自動車税や自賠責保険の「未経過分」の精算金です。これは税金や保険料を自分で払ったのではなく、売主に払う車の代金の一部と考えられるため、車両の取得価額に含めます。「租税公課」などで一括で経費にすると、税務調査で指摘されるおそれがあります。販売店の明細を確認して、正しく仕訳しましょう。

なお、車を買うときにかかっていた「環境性能割」(自動車税・軽自動車税の一部)は、令和8年度税制改正で2026年3月31日をもって廃止されました。2026年4月以後に取得した車ではかからないため、購入時の諸費用は以前より少なくなります。

②自家用車を仕事用に転用して経費化する

新しく車を買わなくても、プライベートで乗っていた自家用車を事業に使い始めることもあるでしょう。この場合も、事業に使い始めた時点から減価償却費を経費にできます。

個人が自家用で使っていた期間の減価は、法定耐用年数の1.5倍の年数(普通自動車なら9年)で定額法により計算し、購入時の金額から差し引いた「未償却残高」を、事業用に転用した時点の帳簿価額とします。そのうえで、中古資産として耐用年数を見積もり、事業に使い始めた月から減価償却します。購入時の金額がわかる書類と、転用した日付を記録しておきましょう。

③消費税の課税事業者は仕入税額控除も確認する

インボイス登録をしているなど消費税の課税事業者で、原則課税(一般課税)で計算している人は、車の購入代金に含まれる消費税を仕入税額控除できます。私用と兼用の車なら、事業割合の分だけが対象です。販売店から受け取るインボイス(適格請求書)を保存しておきましょう。

インボイス登録をしていない個人から中古車を買った場合は、仕入税額控除の経過措置の割合(2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%)で控除します(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。簡易課税や2割特例を使っている人は、車の購入で消費税の納税額は変わりません。

カーリースを選択するのも個人事業主の節税におすすめ

車を購入する
  • 購入代金は減価償却で数年に分けて経費に
  • 中古車なら短期間で償却できる
  • 売却すれば代金が手元に戻る(売却益は譲渡所得)
  • 税金・保険・車検は自分で手配して仕訳
カーリースを使う
  • 月々のリース料をその年の経費にできる
  • 初期費用を抑え、毎月の支払額が一定
  • 税金・保険・車検が料金に含まれるプランも
  • 中途解約の制限や残価精算に注意

車を所有することにこだわらないなら、カーリースを使うのもひとつの方法です。カーリースは、月々のリース料をその年の経費として処理でき、購入時のような多額の初期費用がかかりません。

リース料に自動車税や保険料、メンテナンス費用などが含まれるプランなら、減価償却の計算や諸費用の仕訳の手間も減らせます。毎月の支払額が一定なので、資金繰りの計画も立てやすくなります。

ただし、家事按分のルールはリース料にも適用されるため、業務で使った割合で計上します。また、カーリースは原則として中途解約ができず、解約すると残りのリース料や違約金がかかる契約が多いほか、契約終了時の車の査定額によって追加の支払い(残価精算)が生じるプランもあります。最終的に車が自分のものになる契約の場合は、購入と同様に減価償却が必要になることもあるため、契約内容を確認しましょう。

数年ごとに新しい車に乗り換えたい人や、突発的な維持費を避けて事業の収支をシンプルにしたい人にはリースが、短期間で大きく経費を計上したい人や長く乗り続けたい人には中古車の購入が向いています。

まとめ

まとめ:車の節税は時期・方法・記録。4年落ちは2年で償却、定率法は届出が必要

個人事業主が車の購入で節税するには、減価償却の仕組み、中古車の耐用年数、定額法と定率法の違い、購入時期による差を組み合わせて考えることが大切です。4年落ちの中古車(普通自動車)は耐用年数が2年になり、定率法を届け出ておけば、年の初めに買うと1年目にほぼ全額を経費にできます。

2026年4月以後は、青色申告の中小事業者なら40万円未満の車を一括で経費にでき、環境性能割もかからなくなりました。一方で、私用と兼用の車は事業割合でしか経費にできず、節税額よりも出ていくお金のほうが大きいことも忘れてはいけません。

最終的には、領収書の保管や走行記録といった地道な記録が、税務署への説明の根拠になり、事業を守る節税の土台になります。車の購入を検討している方は、購入前に一度、税額と資金繰りへの影響を試算しておきましょう。

車を買う前に、節税効果と資金繰りを試算したい方へ

福岡の野村税理士事務所では、個人事業主の方の車の購入・リースの比較、減価償却の方法の届出、家事按分の考え方まで、事業の状況に合わせてアドバイスしています。freee認定アドバイザーとして記帳の仕組みづくりをお手伝いし、毎月の数字をAIで分析する「AI月次分析レポート」で、今年の利益と税額の見込みを早めにお伝えします。

▶ あわせて読みたい:法人で車を買う節税のメリット・デメリットは?節税効果を高める社用車の導入方法を解説

参考資料:国税庁 タックスアンサーNo.5404「中古資産の耐用年数」/国税庁「耐用年数(車両・運搬具)」/国税庁 タックスアンサーNo.2106「定額法と定率法による減価償却」/国税庁 タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」/国税庁 タックスアンサーNo.2210「やさしい必要経費の知識」/財務省「令和8年度税制改正の大綱」/財務省「令和8年度税制改正の大綱(消費課税)」

※本記事は2026年9月時点の法令・公表情報をもとに作成しています。減価償却費の計算例は目安であり、個別の状況によって結果は異なります。具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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執筆者
野村税理士事務所 代表 野村真一
野村 真一

野村税理士事務所代表 野村真一

税理士業界23年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。

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