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個人事業主ができる節税対策!経費・控除の仕組みや税金を抑える工夫を解説

個人事業主ができる節税対策!経費・控除の仕組みや税金を抑える工夫を解説

「売上は上がっているのに、手元にお金が残らない…」
「経費や控除を上手く使って節税する方法を知りたい」
「個人事業主でもできる節税対策ってあるの?」

そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

個人事業主は、会社員と異なり自分で税金を計算・申告する必要があります。

そのため、経費の正しい計上や所得控除の活用が節税のカギです。制度を理解せずに申告してしまうと、本来払わなくてよい税金まで負担してしまうことも。

この記事では、個人事業主が知っておくべき節税の基本から、経費・控除の仕組み、さらに実践しやすい節税の工夫までわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

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目次

節税とは?まずは節税の仕組みを理解する

節税とは、法律で認められている方法を用いて、納める税金の額を抑えるための対策のことです。

決して違法な手段で税金を逃れる「脱税」とは異なります。

個人事業主の所得税は、「収入 – 必要経費 – 各種控除 = 課税所得」という計算式で算出された課税所得に、所定の税率を掛けて決まります。

つまり、節税のポイントは「必要経費を漏れなく計上する」「適用できる控除を最大限活用する」ことの2点です。

経費や控除の金額が大きくなるほど課税所得は減り、結果として納める税金の額も少なくなります。

どのような支出が経費になり、どのような制度が控除の対象になるのかを正しく理解し、計画的に実践することが賢い節税への第一歩です。

控除とは?うまく利用することで節税につながる

そもそも控除とは、「差し引く」という意味を持つ言葉で、税金の計算において特定の金額を差し引くことができる制度を指します。

控除をうまく活用することで、税金の算出元となる課税所得を減らし、結果的に納税額を抑える効果があります。

個人事業主が利用できる控除は、大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類です。

所得控除は、所得税を計算する前の所得金額から差し引くもので、基礎控除や社会保険料控除、医療費控除などが該当します。

一方、税額控除は、計算された所得税額から直接差し引くことができる制度で、住宅ローン控除などが代表例です。税額から直接引かれるため、税額控除は節税効果が非常に高いといえます。

確定申告の際に、自分がどの控除を受けられるのかを正確に把握し、忘れずに申告することが節税において大切です。

個人事業主が支払う主な税金

個人事業主が事業を行う上で支払う税金は、主に次の4種類です。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税

所得税は、1年間の事業で得た所得に対して課される国税で、所得が多くなるほど税率が上がる累進課税が採用されています。

住民税は、住んでいる都道府県および市区町村に納める地方税で、所得に応じて課税される「所得割」と、所得にかかわらず定額が課される「均等割」から構成されます。

個人事業税は、法律で定められた特定の事業(法定業種)を行っている場合に、事業所得が290万円を超えると課される地方税です。

最後に消費税は、課税売上高が1,000万円を超えた場合に納税義務が発生する税金です。(適格請求書発行事業者は、消費税の免税なし)

これらの税金の種類と仕組みを理解しておくことは、適切な資金繰りと節税対策を考える上での基礎知識となります。

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個人事業主が押さえておきたい節税の基本

個人事業主が節税に取り組むためには、まず基本的な仕組みを理解することが不可欠です。

節税の土台となるのは、「経費の計上」「所得控除の活用」「申告方法の選択」という3つの柱です。

事業活動にかかった費用を漏れなく経費として計上すれば、課税対象となる所得を圧縮できます。

また、生命保険料控除や医療費控除といった所得控除を適用することで、さらに課税所得を減らすことが可能です。

さらに、確定申告の方法を白色申告から青色申告へ切り替えることで、要件を満たせば最大65万円の特別控除を受けられるなど、大きな節税効果が期待できます。

それぞれ詳しく解説します。

経費として計上できる支出

個人事業主が節税を考える上で最も基本となるのが、事業に関連する支出を「経費」として漏れなく計上することです。

経費とは、売上を得るために直接的または間接的に必要となった費用のことを指します。

具体的には、商品の仕入れ代金や原材料費、事務所の家賃、水道光熱費、従業員への給与などが挙げられます。

他にも、取引先への移動で使った電車代やタクシー代などの旅費交通費、インターネット回線や携帯電話の料金といった通信費、文房具やコピー用紙などの消耗品費も経費の一部です。

重要なのは、支出が事業の遂行に必要であったと客観的に説明できることです。

そのため、領収書やレシートは必ず保管し、いつ、何のために支払った費用なのかを明確にしておく習慣が大切です。経費を正しく計上することが、課税所得を抑える第一歩となります。

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経費にできる税金

個人事業主が支払う税金の中には、経費として計上できるものとできないものが存在します。

経費として計上できる税金は「租税公課」という勘定科目で処理します。

例えば、以下の税金は経費として計上可能です。

  • 個人事業税
  • 事業用の固定資産にかかる固定資産税
  • 事業用車両の自動車税
  • 契約書などに貼る印紙税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
    など

※不動産取得税や登録免許税など、取得による税負担は「取得価額算入」か「必要経費算入」の選択対象が必要となります

これらの税金は、事業を運営する上で必要不可欠なコストと見なされるため、経費計上が認められています。

一方で、所得税や住民税は経費にできません。

所得税や住民税は、事業で得た利益に対して個人として納める税金であり、事業上の費用とは性質が異なるためです。

どの税金が経費になるのかを正確に把握し、忘れずに計上することで、課税所得を適切に圧縮し、節税につながります。

所得控除を適用する方法

所得控除は、納税者個人の事情を考慮して税負担を軽減するための制度です。課税所得を算出する際に所得金額から差し引かれます。

個人事業主が所得控除を適用するためには、確定申告書に必要事項を記入し、関連する証明書類を添付して提出する必要があります。(e-Tax申告では多くが添付省略できる)

例えば、社会保険料控除を受ける場合は、国民年金や国民健康保険の支払額を証明する書類が必要です。

生命保険料控除や地震保険料控除を利用する際は、保険会社から送付される控除証明書を添付します。

また、医療費控除では医療費の明細書を作成して申告書に添付します。(詳しくは後述

これらの所得控除を一つでも多く適用することで課税所得が減り、結果的に所得税や住民税の節税につなげることが可能です。

青色申告と白色申告の違い

個人事業主の確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類の方法があります。

白色申告は、簡易な帳簿付けで済むため手間がかからない点がメリットですが、税制上の特典はほとんどありません。

一方、青色申告は、複式簿記という正規の簿記原則に従って帳簿を作成する必要があり、手続きは複雑になりますが、節税面で非常に大きなメリットがあります。

最大の特典は、一定の条件を満たすことで最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられる点です。(詳細は後述

さらに、赤字が出た場合に翌年以降3年間にわたって損失を繰り越せる「純損失の繰越控除」や、家族への給与を全額経費にできる「青色事業専従者給与」などの制度も利用できます。

節税を真剣に考えるのであれば、手間をかけてでも青色申告を選択する価値は非常に高いと言えるでしょう。

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個人事業主ができる具体的な節税方法

個人事業主ができる具体的な節税方法として、次の方法があります。

  • 青色申告特別控除
  • 事業専従者給与(家族への給与を経費にする)
  • 小規模企業共済
  • 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • NISA(少額投資非課税制度)
  • 消費税の計算方式の選択
  • 法人化

それぞれ詳しく解説します。

①青色申告特別控除

青色申告特別控除は、青色申告を行う個人事業主が受けられる大きな税制上の特典です。

正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って記帳し、確定申告時に貸借対照表と損益計算書を添付することで、最大55万円の所得控除が適用されます。

さらに、e-Taxによる電子申告を行うか、電子帳簿保存を行うことで、控除額は最大65万円に引き上げられます。

例えば、課税所得が500万円の場合、65万円の控除を受けることで課税所得は435万円に減り、所得税率20%とすると約13万円の節税につながります。

ただし、青色申告を行うためには、事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

手間はかかりますが、得られる節税効果は非常に大きいため、個人事業主にとって必須の節税策と言えるでしょう。

②事業専従者給与(家族への給与を経費にする)

生計を同一にする配偶者や親族に事業を手伝ってもらっている場合、支払った給与を経費として計上できる制度があります。

青色申告者の場合は「青色事業専従者給与」、白色申告者の場合は「事業専従者控除」と呼ばれます。

青色事業専従者給与では、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出し、仕事内容に見合った妥当な金額であれば、支払った給与を全額経費にできます。

一方、白色申告の事業専従者控除は、配偶者で最大86万円、その他の親族で最大50万円と控除額に上限が設けられているため注意が必要です。

家族への給与を経費化することで、事業主の所得を分散させ、世帯全体での納税額を抑えることが可能です。

ただし、給与を受け取る家族は配偶者控除や扶養控除の対象から外れるため、どちらが節税的に有効かをシミュレーションしておきましょう。

③小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が、事業をやめたり退職したりした際に備えるための退職金制度です。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

最大のメリットは、掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になる点です。

掛金は月々1,000円〜70,000円の範囲で自由に設定でき、例えば年間上限の84万円を拠出すれば、課税所得から84万円をまるごと差し引くことができます。

これにより、所得税や住民税の負担を大幅に軽減することが可能です。

将来の生活資金を準備しながら、同時に高い節税効果を得られるため、多くの個人事業主にとって非常に魅力的な制度です。

ただし、加入期間が20年未満で任意解約した場合は元本割れするリスクもあるため、長期的な視点で加入を検討する必要があります。

④中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)/課税の繰延効果

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥るのを防ぐための制度です。

独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営されています。

中小企業倒産防止共済の大きな特徴は、支払った掛金を全額、事業上の経費として計上できる点にあります。

掛金は月額5,000円〜20万円の範囲で設定可能で、最大で年間240万円、総額800万円まで積み立てることが可能です。

掛金を全額経費にできるため、利益が多く出た年度に掛金を増額することで、効果的に課税所得を圧縮できます。

また、原則として40ヶ月以上掛金を積み立てていれば、解約時に掛金が全額戻ってくるため、将来のリスクへの備えにもなります。

ただし、解約時に戻ってきた金額は収入に計上する必要があるため、あくまで課税の繰延効果であるという点に注意しましょう。

⑤iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)は、個人が任意で加入する私的年金制度で、老後資金の形成を目的としています。

個人事業主にとっても、将来への備えと節税を両立できる非常に有効な手段です。

iDeCoの最大のメリットは、税制上の優遇措置が手厚い点にあります。

まず、拠出した掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。個人事業主の場合、国民年金基金の掛金と合算して月額最大68,000円まで拠出可能です。

さらに、投資信託などで運用して得た利益は非課税となります。

通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは税金がかからず、効率的な資産形成が期待できます。

また、60歳以降に年金や一時金として受け取る際にも、公的年金等控除や退職所得控除が適用され、税負担が軽くなるように設計されています。

⑥NISA(少額投資非課税制度)

NISA(ニーサ)は、個人投資家のための税制優遇制度であり、専用の口座内で購入した金融商品から得られる利益(配当金、分配金、譲渡益)が非課税になる仕組みです。

iDeCoのように掛金が所得控除になるわけではないため、直接的な所得税の節税にはなりませんが、資産形成の過程で発生する税金をゼロにできるという大きなメリットがあります。

2024年から新NISA制度がスタートし、非課税で投資できる上限額が大幅に拡大されました。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があり、年間最大360万円まで投資が可能です。

事業で得た資金を将来のために運用する際、NISAを活用することで税金の負担なく効率的に資産を増やせる可能性があります。

事業の節税とは別に、個人としての資産形成戦略の一環として非常に有効な制度です。

⑦消費税の計算方式の選択

課税売上高が1,000万円を超え、消費税の課税事業者となった個人事業主は、消費税の計算方法を選択することで節税が可能です。

計算方法には「原則課税」と「簡易課税」の2種類があります。

原則課税は、顧客から預かった消費税額から、仕入れや経費で支払った消費税額を差し引いて納付額を計算する方法です。

一方、簡易課税は、預かった消費税額に業種ごとに定められた「みなし仕入率」を掛けて、支払った消費税額を概算で計算する方法です。

設備投資などで大きな支出があった年や、仕入れが多い業種の場合は、原則課税の方が有利になることがあります。

逆に、サービス業など経費に占める消費税が少ない業種では、簡易課税を選択した方が納税額を抑えられるケースが多いです。

自社の事業内容や経費構造を分析し、有利な計算方式を選択することが重要です。

⑧法人化

個人事業主として事業が成長し、所得が一定額を超えた場合、「法人化(法人成り)」を検討することも有力な節税策となります。

個人事業主の所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税(最大45%)ですが、法人税の税率は一定の範囲内ではほぼ固定されています。

一般的に、課税所得が800万円〜1,000万円を超えてくると、法人化した方が税率面で有利になりやすいです。

法人化すると、経営者自身に役員報酬を支払う形になり、給与所得控除を適用できるため、課税対象額を下げることが可能です。

また、経費として認められる範囲が広がったり、社会的信用が高まったりするメリットもあります。

ただし、法人設立には費用がかかり、社会保険への加入義務が発生するなど負担も増えるため、メリットとデメリットを総合的に比較して慎重に判断する必要があります。

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経費を活用した節税の工夫/節税or課税の繰延

一般的な節税対策のほかに、経費を工夫して節税につなげる方法もあります。

  • 自宅兼事務所は「家事按分」を活用する
  • 30万円未満の備品は一括経費にする(少額減価償却資産の特例)
  • 短期前払費用の特例を利用する

単に領収書を集めるだけでなく、制度を理解し活用することで、同じ支出でも節税又は課税の繰延を行うことが可能です。

それぞれ詳しく解説します。

①自宅兼事務所は「家事按分」を活用する

自宅を事務所としても利用している個人事業主は、「家事按分(かじあんぶん)」という方法を用いて、生活費と事業費が混在する支出の一部を経費として計上できます。

対象となるのは、家賃、水道光熱費、通信費、火災保険料などです。

経費として計上できる金額は、事業で使っている割合に応じて算出する必要があり、その割合を決める際には、客観的で合理的な基準を用いる必要があります。

例えば、家賃であれば、自宅の総面積に対する事業用スペースの面積の割合で計算するのが一般的です。

また、電気代であれば、使用時間やコンセントの数などを基準に按分します。

どの支出を、どのような基準で按分したのかを明確に説明できるようにしておくことが重要です。

②30万円未満の備品は一括経費にする(少額減価償却資産の特例)

通常、パソコンや机、応接セットなど、10万円以上の備品(減価償却資産)を購入した場合、一度に全額を経費にすることはできません。

耐用年数に応じて数年間にわたって分割して経費計上(減価償却)する必要があります。

しかし、青色申告を行っている個人事業主には「少額減価償却資産の特例」が用意されています。

この特例を利用すると、取得価額が30万円未満の減価償却資産であれば、購入したその年に全額を経費として一括で計上することが可能です。

例えば、25万円の高性能なパソコンを購入した場合でも、全額を経費にできるため、利益が多く出た年度の税金対策として非常に有効です。(将来の減価償却費が減少するため、課税の繰延効果)

ただし、この特例を適用できるのは年間合計300万円までという上限があるため、計画的に利用することが求められます。

③短期前払費用の特例を利用する

短期前払費用の特例とは、本来翌年以降のサービスに対して支払う費用であっても、一定の要件を満たせば支払った年の経費として計上できる制度です。

この特例を適用できるのは、家賃やサーバー代、保険料など、継続的にサービスの提供を受けるために支払う費用です。

要件としては以下のとおりです。

  • 支払った日から1年以内にサービスの提供を受けること
  • 毎年継続して同じように処理すること
  • 契約に基づいて支払っていること
    など

例えば、決算月である12月に、翌年1年分の事務所の家賃を前払いした場合、通常は翌年の経費となるところを、この特例を使えば当年の経費として処理できます。

利益が多く出て納税額が高くなりそうな年に活用することで、課税所得を前倒しで圧縮し、その年の税負担を軽減する効果が期待できます。(課税の繰延効果)

控除を活用した節税の方法

経費の計上と並行して、節税効果を高めるために重要なのが「控除」の活用です。控除を活用した節税対策には以下があります。

  • 医療費控除を適用する
  • 生命保険料控除を使う
  • 地震保険料控除を活用する
  • 住宅ローン控除を利用する
  • ふるさと納税(寄附金控除)で節税する
  • 配偶者控除・扶養控除を適用する

それぞれ詳しく解説します。

①医療費控除を適用する

医療費控除は、その年の1月1日〜12月31日までの1年間で支払った医療費が、一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。

控除金額は『(実際の医療費 – 保険金等) – 10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)』で計算され、上限200万円までです。

医療費控除のポイントは、納税者本人だけでなく、生計を同一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も合算できることです。

対象となる医療費には、病院での治療費や薬代はもちろん、通院のための交通費(公共交通機関利用の場合)、市販の風邪薬の購入費、歯科でのインプラント治療費なども含まれます。

領収書をしっかりと保管し、年間の合計額を計算して、忘れずに確定申告で手続きを行いましょう。

②生命保険料控除を使う

生命保険や介護医療保険、個人年金保険に加入している場合、支払った保険料に応じて一定額の所得控除を受けられるのが生命保険料控除です。

大きく分けて、

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

の3つに区分されています。

それぞれで控除額が計算され、3つを合計した最大12万円(所得税の場合)が、所得控除額として課税所得計算時に差し引かれます。

控除を受けるためには、毎年秋頃に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」が必要です。

個人事業主は年末調整がないため、確定申告の際に、申告書に控除額を記入し、控除証明書を添付または保管して手続きを行います。(e-Taxでの申告では添付は不要です)

将来の万が一に備える保険が、同時に節税にもつながる制度であるため、加入している方は忘れずに申告することが重要です。

③地震保険料控除を活用する

地震保険料控除は、自宅や家財などを対象とする地震保険の保険料を支払った場合に適用できる所得控除です。

日本は地震が多い国であるため、地震による損害に備えることを奨励する目的で設けられています。

控除の対象となるのは、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害を補償する保険契約の保険料です。

火災保険とセットで加入することが多いですが、控除の対象は地震保険料の部分のみである点に注意が必要です。

控除額は、年間に支払った保険料の全額で、上限は50,000円です。

生命保険料控除と同様に、保険会社から送付される控除証明書をもとに、確定申告で手続きを行うことで、所得税および住民税の負担を軽減できます。

④住宅ローン控除を利用する

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームの新築、購入、または増改築を行った場合に、年末のローン残高の一定割合が所得税から直接差し引かれる「税額控除」制度です。

所得から差し引く所得控除と比べて、税額から直接引かれるため、非常に節税効果が高いのが特徴です。

適用を受けるためには、居住を開始した年、合計所得金額、床面積、ローンの返済期間など、細かな要件を満たす必要があります。

個人事業主がこの控除を受ける場合、最初の年は税務署で確定申告を行う必要があり、2年目以降も年末調整がないため毎年確定申告での手続きが必須です。

事業用の資金ではなく、個人の居住用住宅に対するローンが対象ですが、個人事業主にとっても大きな節税につながる重要な制度の一つです。

⑤ふるさと納税(寄附金控除)で節税する

ふるさと納税は、自分が選んだ都道府県や市区町村に寄付ができる制度です。

寄付を行うと、寄付額のうち2,000円を超える部分について、所得税および住民税から控除(還付)される仕組みになっています。

実質的な自己負担額2,000円で、各地の特産品などの返礼品を受け取れるため、人気の税対策です。

厳密には、税金が安くなる節税というよりも、納めるべき税金を好きな自治体に前払いする「納税先の選択」に近い制度ですが、結果として税負担が軽減されます。

控除される金額には、所得や家族構成に応じた上限額が設定されています。

上限を超えて寄付した分は自己負担となるため、事前にシミュレーションサイトなどで自身の上限額を確認しておくことが重要です。

⑥配偶者控除・扶養控除を適用する

配偶者控除や扶養控除は、納税者に所得の少ない配偶者や親族がいる場合に、税負担を軽減するために設けられた所得控除です。

配偶者控除は、配偶者の年間合計所得金額が48万円以下であるなどの要件を満たす場合に適用されます。

配偶者の所得が48万円を超えていても、133万円以下であれば、所得に応じて段階的に控除が受けられる「配偶者特別控除」の対象となる可能性があります。

一方、扶養控除は、16歳以上で生計を同一にする親族(子供や両親など)で、年間の合計所得金額が48万円以下の人がいる場合の適用です。
※学生など、条件により控除額が変動(一般扶養・特定扶養・老人扶養)します

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個人事業主が節税を行う際の注意点

個人事業主が節税を行う際の注意点として、次の3つが挙げられます。

  • 脱税と節税の違いを理解する
  • お金が残らない節税に注意する
  • 節税には期限や準備が必要なものがある

それぞれ詳しく解説します。

注意点①脱税と節税の違いを理解する

節税と脱税は、言葉は似ていますが、その意味は全く異なります。

節税は、法律で認められた範囲内で、税制上の特例や控除などを活用し、正当な手続きを経て納税額を抑える行為です。

例えば、青色申告特別控除を利用したり、小規模企業共済に加入したりすることは、すべて合法的な節税策です。

一方、脱税は意図的に事実を偽って税金の支払いを免れようとする違法行為です。

具体的には、売上の一部を申告しなかったり、存在しない経費を計上したりする行為が該当します。

脱税が発覚した場合、本来納めるべき税金に加えて延滞税や過少申告加算税、場合によっては重加算税といった重いペナルティが課されます。

悪質なケースでは刑事罰の対象となる可能性もあるため、正しい知識を持ち、ルールを守って節税に取り組むことが大前提です。

注意点②お金が残らない節税に注意する

節税を意識するあまり、本来必要のない経費を使ってしまう行き過ぎた節税にも注意が必要です。

例えば、「税金を払うくらいなら経費で使ってしまおう」と考え、高価な車や不要な備品を購入するケースが挙げられます。

確かに経費を増やせば課税所得は減り、納税額も少なくなります。

しかし、税金の減少額以上に、手元から出ていく現金の方がはるかに大きいことを忘れてはいけません。

仮に所得税率が20%の場合、100万円の経費を使っても節税できるのは20万円であり、残りの80万円は手元から失われます。

事業の最も重要な目的は、利益を確保し、事業を継続・成長させるための資金(キャッシュ)を増やすことです。

節税はあくまで手段であり、目的ではありません。

手元にお金を残すという視点を常に持ち、本当に事業に必要な支出かどうかを冷静に判断することが重要です。

注意点③節税には期限や準備が必要なものがある

個人事業主が利用できる節税策の中には、思い立ったときにすぐに実行できるものばかりではありません。

多くの制度では、事前に申請書や届出書を税務署に提出する必要があり、提出には期限が設けられています。

例えば、青色申告の特別控除を受けるためには、原則としてその年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

また、家族への給与を経費にする「青色事業専従者給与」を利用する場合も、同様に事前の届出が必要です。

これらの期限を1日でも過ぎてしまうと、その年は特典を受けられなくなってしまいます。

節税効果の高い制度ほど、事前の計画と準備が不可欠です。

どのような節税策があり、それぞれにどのような手続きと期限があるのかを事前に把握し、計画的に行動することが求められます。

税理士に相談した方がよいケースとは?

個人事業主として事業を運営していると、節税対策や確定申告をはじめ、税務に関する悩みや不安は尽きないものです。

特に、事業規模が大きくなったり、取引が複雑になったりすると、自分一人で対応するのが難しくなる場面も出てきます。

税理士に相談するかどうかは自由ですが、一般的に相談した方がよいケースとして以下が挙げられます。

  • 事業規模が大きい場合のリスク対策をしたいとき
  • 税務調査に備えるためのサポートを必要とする場合
  • 節税効果を最大化するための専門知識が必要な場合

それぞれのケースについて詳しく紹介します。

①事業規模が大きい場合のリスク対策をしたいとき

事業規模が大きくなった時のリスク回避として税理士を利用するのは選択肢のひとつです。

事業の売上が数千万円規模に達するなど、事業規模が大きくなるにつれて、経理処理は格段に複雑化します。

取引件数が増え、扱う勘定科目も多岐にわたるため、記帳や申告のミスが発生するリスクが高まります。

もし申告内容に誤りがあれば、税務調査で指摘され、過少申告加算税や重加算税等の加算税(追徴課税)、および延滞税が課されることがあるため十分注意しなければなりません。

税理士に顧問を依頼すれば、日々の記帳から決算、確定申告までを正確に行ってくれるため、こうしたミスを未然に防ぐことができます。

また、専門家の視点から会計データを分析し、経営状況に関する的確なアドバイスを受けられることも大きなメリットです。

②税務調査に備えるためのサポートを必要とする場合

税務調査に備えるためのサポートを必要とする場合にも、税理士に相談するのがおすすめです。

税務調査は、どの事業者にも行われる可能性があるもので、特に事業が順調に成長している個人事業主は対象になりやすいと言われています。

税務調査の連絡が突然来ると、多くの人は動揺し、何を準備すればよいかわからなくなってしまいます。

税理士と契約していれば、調査の連絡があった時点から専門的なサポートを受けることが可能です。

事前準備として、想定される質問への対策や、帳簿・書類の最終チェックを行ってくれます。

調査当日には立ち会い、調査官との専門的なやり取りを代行するため、事業主は精神的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

万が一、申告内容に不備を指摘された場合でも、法律や判例に基づいて納税者にとって不利にならないよう交渉を行うのも税理士の仕事です。

③節税効果を最大化するための専門知識が必要な場合

税法は非常に複雑で、毎年のように改正が行われます。

個人事業主が本業の傍ら、最新の税制をすべて把握し、自分にとって最も有利な節税策を見つけ出すのは至難の業です。

税理士は、税務に関する最新の知識と豊富な実務経験を持つ専門家です。

個々の事業内容や財務状況、家族構成などを詳細にヒアリングした上で、適用漏れになっている控除の指摘や、小規模企業共済やiDeCo、法人化のタイミングなど、中長期的な視点に立った最適な節税プランを提案します。

自分では気づかなかったような節税方法を活用できる可能性も高く、結果として税理士に支払う報酬以上の節税効果が得られるケースも少なくありません。

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個人事業主をやめたほうがいい年収はある?

個人事業主を続けるべきかどうか判断する際に、明確な「年収いくら」という基準は存在しません。

しかし、いくつかの目安を参考に判断することは可能です。

例えば、年収が400万円程度までの場合、給与所得控除や社会保険料の会社負担分を考慮すると、会社員の方が手取り額で有利になるケースがあります。

一方で、個人事業主は経費や控除をうまく活用することで、所得効率を高めることができます。

一般的に、課税所得が800万円を超えてくると、所得税率が法人税率を上回る可能性が高くなるため、法人化(法人成り)を検討する一つの目安とされています。

最終的には年収だけでなく、事業の将来性、社会的信用、個人のライフプランなどを総合的に考慮して判断することが重要です。

まとめ

個人事業主にとって、節税は事業の利益を最大化し、手元資金を確保するための重要な経営活動です。

節税の基本は、事業にかかった費用を経費として漏れなく計上し、適用できる所得控除や税額控除を最大限活用することにあります。

ただし、節税を意識するあまり不要な支出を増やし、キャッシュフローを悪化させては本末転倒です。

あくまで事業の成長に必要な支出かどうかを冷静に判断する視点が欠かせません。

税務は専門性が高く複雑なため、事業規模が大きくなった場合や判断に迷う場合は、専門家である税理士に相談することも賢明な選択です。正しい知識を身につけ、計画的に節税に取り組みましょう。

執筆者
野村 真一

野村税理士事務所代表 野村真一

税理士業界20年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー日本税理士会連合会九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。

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