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領収書の宛名を自分で書くのはNG?宛名の目的や正しい書き方、宛名なしの対処法を解説

領収書の宛名を自分で書くのはNG?宛名の目的や正しい書き方、宛名なしの対処法を解説

「領収書の宛名は自分で書いてもいいの?」
「宛名の正しい書き方や、空欄の場合の対処法を知りたい!」
「上様と記載された領収書は問題ない?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

領収書の宛名は取引の証拠として重要な役割を果たします。

しかし、宛名が空欄の場合や自分で記入することの是非、さらには「上様」と記載された領収書の扱いについて、正確な知識を持っていないと、経理処理や税務上の問題につながる可能性があります。

この記事では、領収書の宛名を自分で書くことの適否、宛名の目的や正しい書き方、そして宛名がない場合の対処法について詳しく解説します。適切な領収書の取り扱いを理解し、トラブルを未然に防ぐために、ぜひ最後までご覧ください。


目次

領収書の宛名とは?

領収書の宛名とは、お金を支払った人や組織の名前のことです。宛名があることで、誰が、いつ、どこで、何に、いくら支払ったのかを明確にできます。

領収書は取引の証拠となる重要な書類であり、宛名はその信憑性を高める役割を果たします。

宛名が適切に記載されていれば、経費精算や税務処理をスムーズに進めることが可能です。しかし、宛名が不適切であったり記載されていなかったりすると、税務調査で指摘を受けるなどのリスクがあります。

領収書の宛名を自分で書くのはNG!文書偽造に該当する可能性がある

領収書の宛名を自分で書く行為は、文書偽造に該当する可能性があるため避けるべきです。

領収書は発行する側が作成するものであり、受取人が自ら記入すると法的に問題となることがあります。

例えば、対面での発行時に宛名が聞き取りにくい場合などに、相手に直接ペンを渡して記入させる行為も適切ではありません。

正しい対処法としては、メモ帳に宛名を書いてもらい、それを発行者が書き写す方法が推奨されます。違反した場合、懲役3ヶ月以上5年以下の刑罰を科される可能性があるため注意が必要です。

発行側の負担を減らすためには補助資料や精算伝票を活用する方法もあるので、会社の規則を確認し、適切な手順で領収書を受け取ることが大切です。

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領収書の宛名はなぜ必要?宛名の目的は3つ

①お金を支払った証拠になる

領収書に宛名が記載されていることで、誰がお金を支払ったのかという証明になります。

宛名があることで、その領収書が誰の支払いによるものなのかが第三者が見ても一目瞭然となり、不正を防ぐことにもつながります。

また、個人事業主が確定申告をする際にも、宛名入りの領収書は必要経費を証明するための重要な書類となります。

②勤務先に渡して経費精算する

会社員が業務に関連する支出をした場合、領収書を勤務先に提出して経費精算を行う必要があります。

領収書の宛名は経費精算の可否を判断するうえで重要なもので、例えば宛名が会社名や部署名になっていることで、その支出が経費として認められやすいです。

一方、宛名が空欄であったり個人名のみが記載されていたりすると、経費としての妥当性を疑われる可能性があります。

そのため、会社員が勤務先に対して経費精算を行うためには、領収書に会社名や部署名などの宛名を正確に記載してもらうことが重要です。

③帳簿書類として扱う

領収書は、会計帳簿を作成するうえで重要な証拠書類となります。

法人や個人事業主は、日々の取引を記録して正確な会計帳簿を作成する義務があり、宛名が記載された領収書は取引の相手先を特定し、帳簿の信憑性を高める役割があります。

そのため、税務調査などが行われた際には、領収書と帳簿の照合が行われ取引の正当性を証明することが可能です。

もし領収書の宛名が不正確であったり記載されていなかったりすると、帳簿との整合性が取れなくなり、税務上の問題が生じる可能性があるため注意が必要です。

また、領収書は7年間の保存義務があるため紛失しないように管理しましょう。

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領収書に宛名を書く義務がない業種

領収書への宛名記載は、一部の業種では宛名なしの領収書が認められています。インボイス制度において、宛名を書く義務がない業種は次の7種です。

  • 小売業
  • 飲食店業
  • 写真業
  • タクシー業
  • 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)
  • その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数のものに資産の譲渡等を行う事業

参照:インボイス制度に関するQ&A目次一覧 – Ⅲ 適格請求書発行事業者の義務等 問24|国税庁

不特定多数の顧客を相手にする業種が該当します。

ただし、駐車場業でも月極駐車場は賃貸借契約を結ぶため、不特定多数に対する事業には該当しません。

よくある領収書の宛名の書き方

領収書の宛名の書き方には次のものが一般的です。

  • 〇〇 様
  • 〇〇株式会社 〇〇 様
  • 〇〇株式会社 御中
  • 上様

状況に合わせて、適切な宛名を使用することが大切です。

例えば、飲食業など対面で金銭をやり取りする場面においては、相手の要望に応じて正しく宛名を書く必要があります。一方、郵送などで領収書を発送する場合、相手の氏名や会社名などの正式名称を書くことが重要です。

ただし、「上様」は誰に宛てたものなのかが不明確になるため、上様という宛名は原則として避けるべきです。

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領収書の宛名の正しい書き方

①会社名や部署名が宛先なら「御中」をつける

会社や部署宛に領収書を発行する場合、「御中」を付けるのが一般的です。御中は、その会社や部署に所属する全ての人に対する敬称として用いられます。

例えば、「〇〇株式会社 御中」や「〇〇株式会社 経理部 御中」のように記載します。

担当者の個人名を記載する必要はありませんが、特定の担当者に宛てて領収書を発行したい場合は、「〇〇株式会社 〇〇 様」のように個人名を記載することも可能です。

また、個人名に対して御中を使用するのは誤りなので注意しましょう。例えば、「〇〇株式会社 御中 〇〇 様」という書き方はしません。

②個人名なら「様」、個人事業主なら屋号をつける

個人宛に領収書を発行する場合は「様」、個人事業主の場合は屋号を併記して宛名を記載します。

例えば、「〇〇 様」や「〇〇(屋号) 〇〇 様」と書きます。

個人事業主に対して屋号がある場合は、屋号を記載することで事業に関する支出であることを明確にすることが可能です。また、屋号のみを記載して「〇〇(屋号) 御中」と書くこともできます。

③基本的に「上様」をつけてはいけない

領収書を受け取る人によっては、名前を伝える手間や書く手間を減らすため、個人情報を渡すのを避けるために上様を指定してくることがあります。

しかし、「上様」という宛名は、誰に宛てたものなのかが不明確になるため原則として避けるべきです。

税務調査などで指摘を受ける可能性があり、経費として認められない場合があります。

上様は宛先を特定できない場合に便宜的に使用されることがありますが、可能な限り会社名や個人名を具体的に記載するようにしましょう。

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④宛名の訂正は二重線と印鑑で対応する

領収書の宛名に誤りがあった場合、二重線を引き、訂正印を押すのが正しい訂正方法です。修正テープや修正液の使用は避けましょう。

二重線は誤った文字を消すのではなく見やすさを保つことが目的であり、訂正印は訂正者が誰であるかを明確にすることが目的です。

また、訂正印は領収書を発行する人が押すことが望ましいですが、受領者が訂正する場合は受領者の印鑑を押して対応することもできます。

訂正箇所が複数ある場合は全ての箇所に訂正印を押す必要があり、もし訂正箇所が多く二重線と訂正印での修正が難しい場合は、再発行を依頼することが望ましいです。

⑤前株・後株を正しく記入する

会社名を記載する際、株式会社などの表記が会社名の前にあるか後にあるか(前株・後株)を正確に記載することが重要です。

例えば、「株式会社〇〇」と「〇〇株式会社」では、正式な会社名が異なります。

領収書に記載する際は、登記簿謄本などで正式な会社名を確認して正確に記載するようにしましょう。

また、会社名が長い場合でも略称を使用せず、正式名称を記載することが望ましいです。もし略称を使用する場合は、相手に誤解を与えないように事前に確認を取ることが大切です。

前株・後株を間違えて記載した場合でも領収書が無効になることはありませんが、相手に失礼な印象を与える可能性があるため注意しましょう。

領収書の宛名が空欄だったときの対処法

①発行元へ宛名の記入を依頼する

領収書の宛名が空欄だったとき、領収書の発行元へ宛名の記入を依頼しましょう。その場で記入してもらうか、後日郵送してもらうなどの方法があります。

また、発行元に依頼する際は会社名や個人名を正確に伝え、誤りのないように記載してもらうことが重要です。

その際、二重線と訂正印による修正ではなく新しい領収書を発行してもらうほうが望ましいです。

②宛名なしでも経費として認められることがある

宛名が空欄の領収書でも、状況によっては経費として認められることがあります。

例えば、公共交通機関の利用料金や自動販売機での購入など、宛名を記載することが難しい場合は宛名なしでも経費として認められることがあります。

ただし、宛名なしで経費として計上する場合、領収書に加えて支出の内容を証明できる書類(出張報告書や会議の議事録など)をあわせて保管しておくことが望ましいです。

③宛名なしは第三者による架空計上のリスクがある

宛名なし(空欄)の領収書は、第三者によって架空計上のリスクがあるため注意が必要です。

例えば、領収書を紛失してしまい、拾った人が自身の事業経費として架空計上されると、関係各所に迷惑がかかる可能性があります。脱税として扱われる可能性があり、領収書の発行業者が罪に問われる可能性もゼロではありません。

また、宛名なしの領収書ばかり取り扱っている場合も関係各所に迷惑がかかることがあります。

税務調査が入った際、確認事項が多くなるため、取引先や取引銀行に対して踏み込み調査が行われるリスクもあるので、宛名が空欄の領収書はできる限り避けましょう。

インボイス制度開始後も宛名の書き方自体は変更されていない

2023年10月からインボイス制度が開始されました。しかし、領収書の宛名の書き方自体は基本的に変わっていません。

インボイス(適格請求書)には、記載事項として「適格請求書発行事業者の登録番号」が追加されますが、宛名の記載方法は従来通りです。

ただし、インボイス制度では仕入税額控除を受けるために、一定の要件を満たしたインボイスが必要となるため、領収書を受け取る際にはインボイスの要件を満たしているかどうかを確認することが大切です。

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まとめ

領収書の宛名は取引の証拠として重要な役割をもっています。正確な宛名が記載された領収書を取り扱うことで、誰が支払いを行ったのかが明確になり、税務上の証拠としての信頼性を高めることができます。

領収書の宛名は発行者が記入することが原則で、受領者が自分で宛名を記入すると文書偽造とみなされる可能性があるため避けるべきです。

宛名が空欄の場合は、発行者に依頼して正しい宛名を記入してもらいましょう。

執筆者
野村 真一

野村税理士事務所代表 野村真一

税理士業界20年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー日本税理士会連合会九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。

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