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確定申告の申告漏れは少額でもバレる?バレる理由とペナルティ、修正申告の流れを解説

確定申告の申告漏れは少額でもバレる?バレる理由とのペナルティ、修正申告の流れを解説

「副業の利益が数万円程度なら、確定申告しなくてもバレないだろう」「わざとじゃない、うっかりミスの申告漏れでも罰金を取られるの?」

確定申告の時期が近づくと、こうした不安や疑問を抱く方は少なくありません。申告を終えたあとに「あの収入を入れ忘れていた」と気づいて、どうすればよいか迷う方もいるでしょう。

結論からお伝えすると、少額の申告漏れでも、税務署に把握される可能性は十分にあります。国税庁は申告書や支払調書などの資料情報をシステムで照合し、調査先の選定にはAIも活用しています。一方で、税務署から調査の連絡が来る前に自分から修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。気づいた時点ですぐに直すことが、負担をいちばん小さくする方法です。

この記事では、少額の申告漏れが見つかる理由、申告漏れ・所得隠し・脱税の違い、加算税と延滞税のしくみ(2026年の割合)、気づいたときの修正申告の流れまでを、福岡の税理士がわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 少額の申告漏れでも税務署に把握される4つの理由
  • 申告漏れ・所得隠し・脱税の違いと、課される加算税の重さ
  • 過少申告加算税・無申告加算税・重加算税の割合と、2026年の延滞税の割合
  • 訂正申告・修正申告・期限後申告・更正の請求の使い分けと、さかのぼれる期間
目次

確定申告で少額の申告漏れはバレない?少額でもバレる4つの理由

少額の申告漏れでも見つかる4つの理由:申告データの分析、口座・取引先・資料情報、SNSや情報提供

「数万円なら税務署も気づかないだろう」と考えがちですが、金額の大小と見つかりやすさは必ずしも比例しません。税務署は、納税者本人が出した申告書だけでなく、取引先や金融機関などから集まるさまざまな資料と突き合わせて申告内容を確認しているからです。

国税庁の公表資料によると、令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の所得税の調査等による追徴税額は1,431億円、文書や電話で申告内容を確認する「簡易な接触」は68万9千件にのぼります(国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」)。実地調査に来なくても、書面や電話で「この収入について確認させてください」と連絡が来るケースは珍しくありません。主な理由は次の4つです。

理由①申告データをシステムで分析している

税務署は「国税総合管理(KSK)システム」で、全国の納税者の申告内容や納税の状況を一元的に管理しています。提出された確定申告書は、過去の申告内容や同業者の傾向と比べられ、売上や経費の大きな変化など、確認が必要な点が洗い出されます。

さらに国税庁は、調査先の選定にAIを活用していることを公表しています。「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」では、さまざまな分析手法で申告漏れの可能性が高い納税者を判定する取り組みが掲げられています(国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」)。調査の要否を最終的に判断するのは調査官ですが、「目立たないから大丈夫」という前提は成り立たなくなっています。

▶ あわせて読みたい:税務調査の対象はAIが選ぶ時代へ|国税庁の最新発表と、経営者がいま備えるべきこと

理由②銀行口座の入出金や高額な資産の購入が手がかりになる

税務署は、調査に必要な範囲で金融機関に口座の取引内容を照会できます。定期的な入金があるのに申告がない、申告された所得に比べて入金額が大きい、といった場合は、事業所得や雑所得の申告漏れを疑われるきっかけになります。

不動産や高額な車などを購入したときも、購入資金をどうやって用意したのかが確認されることがあります。不動産を取得すると、税務署から「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」という文書が届くこともあります。収入に見合わない買い物は、過去の申告を見直されるきっかけになりえます。

理由③取引先への調査(反面調査)や支払調書から発覚する

自分の申告に問題がないと思っていても、取引先が税務調査を受けたことで申告漏れが見つかる場合があります。調査対象者の取引の裏付けをとるために、その取引相手に対して行う調査を「反面調査」といいます。取引先の帳簿に「外注費○万円」と支払いの記録があれば、受け取った側がその収入を申告しているかはすぐに確認できます。

また、一定の報酬や料金を支払った会社は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などの法定調書を税務署に提出しています。副業の原稿料やデザイン料なども、支払った側の資料として税務署に届いていることがある、と考えておきましょう。

理由④SNSの発信や第三者からの情報提供

SNSに投稿した事業の宣伝や売上の報告、豪華な暮らしぶりが、申告内容と合っていないとして確認のきっかけになることもあります。インターネット上の情報は誰でも見られるため、当然、税務署も見ることができます。

国税庁のホームページには、課税漏れなどに関する情報を受け付ける窓口もあります。元従業員や取引先、知人など事情をよく知る人からの情報は、調査の手がかりのひとつになります。見つからないことを期待するよりも、最初から正しく申告しておく方が、結果的に安心で負担も小さく済みます。

確定申告の申告漏れ・所得隠し・脱税の違い

区分どんな状態か主なペナルティ
申告漏れ計算ミスや知識不足など、意図せず所得や税額が少なくなっていた過少申告加算税・無申告加算税+延滞税(自主的な修正なら軽くなる)
所得隠し売上を抜く、架空の経費を計上するなど、隠ぺい・仮装して所得を少なく見せた重加算税(35%または40%)+延滞税
脱税偽りその他不正の行為で税を免れ、金額が大きいなど悪質なもの重加算税に加え、刑事罰(懲役・罰金)の対象

出典:e-Gov法令検索「国税通則法」、所得税法をもとに当事務所作成。「申告漏れ」「所得隠し」は法律上の用語ではなく、報道や実務で使われる区分です

申告内容に誤りがあった場合、その性質や悪質さによって「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」という言葉で区別されます。どれも本来の税金を納める必要がある点は同じですが、上乗せされるペナルティの重さは大きく違います。

①申告漏れ|うっかりミスや知識不足による申告不足

申告漏れとは、計算の間違い、経費のルールの勘違い、収入の書き忘れなど、意図しないミスで所得や税額が少なくなっていた状態です。副業の収入を1か所入れ忘れた、年の途中でもらった一時金を申告し忘れた、といったケースが典型です。

悪質性は低いと判断されますが、不足していた本税は必ず納めなければなりません。税務署から調査の連絡が来る前に自分で修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。同じような申告漏れを繰り返すと、帳簿の管理体制を疑われて確認を受けやすくなるため、原因を突き止めて再発を防ぐことが大切です。

②所得隠し|隠ぺい・仮装で意図的に所得を少なく見せる

所得隠しは、売上の一部を帳簿から除く、架空の領収書で経費を水増しする、二重帳簿をつくるなど、事実を隠したり偽ったりして所得を少なく見せる行為です。単なるミスとは明確に区別されます。

隠ぺい・仮装が認定されると、過少申告加算税や無申告加算税の代わりに、より重い「重加算税」が課されます。さらに、青色申告の承認を取り消されることもあり、翌年以後の税負担にも影響が及びます。

③脱税|刑事罰の対象になる犯罪行為

脱税は、偽りその他不正の行為によって税を免れることで、所得隠しのうち金額が大きいなど特に悪質なものは、国税局査察部(いわゆるマルサ)の強制調査を受け、検察庁に告発されることがあります。

起訴されて有罪になれば、懲役や罰金といった刑事罰が科されます。追徴される税金や重加算税に加えて前科がつくことになり、その後の事業や融資にも大きな影響が残ります。少額の申告漏れがいきなり脱税として扱われることは通常ありませんが、「ばれなければいい」と意図的に隠し続ければ、話はまったく変わってきます。

申告漏れはいくらまでなら大丈夫?少額でも修正申告が原則

計算の段階端数の処理ポイント
課税される所得金額1,000円未満を切り捨て所得が数百円違っても、税額が変わらないことがある
申告納税額(本税)100円未満を切り捨て最終的な税額が増えるなら修正申告が必要
延滞税1,000円未満は納付不要計算のもとになる本税は1万円未満を切り捨て

出典:e-Gov法令検索「国税通則法」(第118条・第119条)、国税庁「延滞税について」

「いくらまでなら申告し直さなくていい」という金額の基準はありません。確定申告の内容に誤りがあり、正しく計算すると税額が増えるなら、金額が小さくても修正申告をするのが原則です。

ただし、税金の計算には端数の切り捨てがあります。課税される所得金額は1,000円未満、申告納税額は100円未満が切り捨てられるため、所得が数百円違っていても、最終的な税額が変わらないことがあります。修正申告は税額が増える場合に行う手続きなので、税額が変わらない場合は修正申告書を出す必要はありません。

計算例:所得3万円の書き忘れに気づいた場合

たとえば、会社員が確定申告で医療費控除を受けたあと、副業の雑所得3万円を書き忘れていたことに気づいたとします。所得税の税率が10%の人なら、追加の所得税は3万円×10%=3,000円、これに復興特別所得税(2.1%)63円を加えた3,063円の100円未満を切り捨てて、3,000円の税額が増える計算です。

金額は小さくても税額は増えるため、修正申告が必要です。調査の連絡が来る前に自分で修正申告をすれば過少申告加算税はかからず、本税が1万円未満なので延滞税もかかりません。「少額だから放置」ではなく、「少額のうちに自分で直す」のがいちばん負担の小さい対応です。

反対に、経費の計上漏れなどで税金を多く納めすぎていた場合は、修正申告ではなく「更正の請求」という手続きで税金を返してもらいます(手続きの違いは後ほど解説します)。

確定申告が必要なケースとは?申告漏れが起きやすい所得

申告漏れが起きやすい所得:副業・ネットの収入、一時所得・株・暗号資産、退職した年・パート収入

申告漏れは、「そもそも申告が必要だと知らなかった」ことから起こるケースが多くあります。確定申告が必要かどうかは所得の種類や金額、働き方によって決まるため、給与以外の収入がある方は特に注意しましょう。

そもそも基準は「収入」ではなく「所得」

確定申告が必要かどうかを判断するときは、収入ではなく「所得」で考えます。収入は売上や報酬の総額、所得は収入から必要経費を差し引いた、いわば利益の金額です。売上が30万円あっても、仕入れや機材代に15万円かかっていれば、所得は15万円になります。

また、所得から基礎控除などの所得控除を差し引いて、所得税がかかる場合に確定申告が必要になります。2026年分(令和8年分)は、令和8年度税制改正で基礎控除が引き上げられ、合計所得金額が489万円以下の人は基礎控除が104万円(本則62万円+特例42万円)になります(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。青色申告をしている事業所得者は、さらに青色申告特別控除(2026年分は最大65万円)を差し引けます。

▶ あわせて読みたい:【2026年度税制改正】基礎控除・給与所得控除の引上げと「178万円」を解説

ケース①会社員の副業所得が年間20万円を超える

給与を1か所から受けていて年末調整を受けている会社員は、給与以外の所得(副業の所得など)の合計が年20万円を超えると、確定申告が必要です。たとえば、副業の収入が30万円でも経費が12万円かかっていれば、所得は18万円なので所得税の確定申告は不要です。

ただし、この「20万円以下なら申告不要」は所得税だけのルールです。住民税にはこの特例がないため、所得税の確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要です。また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告しなければなりません。ここが申告漏れの落とし穴になりやすいポイントです。

ケース②クラウドソーシングやSNSなどで収入を得ている

クラウドソーシングで受けた仕事の報酬や、SNS・ブログの広告収入、アフィリエイト報酬なども申告の対象です。事業として継続的に行っていれば事業所得、そうでなければ雑所得として扱われます。源泉徴収されていないことが多いため、自分で集計して申告する必要があります。

プラットフォーム上の報酬の履歴はデータとして残っており、支払元への調査などから受け取った人は特定できます。企業から無償で提供された商品も、内容によっては所得に含まれることがあります。インターネット上の取引は匿名性が高いと誤解されがちですが、記録が残りやすい分、むしろ把握されやすいと考えましょう。

ケース③公営ギャンブルの払戻金・株・暗号資産の利益がある

競馬や競輪などの払戻金は、原則として「一時所得」になります。1年間の一時所得の総収入から、その収入を得るために支出した金額(当たり馬券の購入代金など)を差し引き、さらに特別控除(最高50万円)を引いた金額の2分の1が、ほかの所得と合算して課税されます。

株式の売却益は、源泉徴収ありの特定口座なら原則として申告不要ですが、一般口座や源泉徴収なしの特定口座で利益が出た場合は申告が必要です。暗号資産の売却益は、現在は原則として雑所得として給与などと合算され、所得税の税率は最大45%です。なお、令和8年度税制改正で、一定の暗号資産の取引は20%の申告分離課税にする方針が示されましたが、始まるのは金融商品取引法等の改正法の施行日が属する年の翌年からで、2026年分はまだ従来どおりです。

▶ あわせて読みたい:一時所得を確定申告しないとどうなるの?一時所得のチェックリストと計算方法を紹介

ケース④年の途中で退職した・パート収入がある

年の途中で退職して再就職しなかった人は、年末調整を受けていないため、確定申告で税額を精算します。多くの場合、給与から天引きされた所得税が多めになっているため、申告すれば還付を受けられます。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。

パート収入だけの人は、勤務先で年末調整を受けていれば、原則として本人の確定申告は不要です。ただし、2か所以上から給与をもらっている、年末調整を受けていない、給与以外の所得がある、といった場合は申告が必要になることがあります。

また、配偶者や親の扶養に入っている場合は、扶養している側の申告にも影響します。2026年分は、配偶者控除や扶養控除の対象になる所得要件が合計所得金額62万円以下(給与収入だけなら136万円以下)に引き上げられました。この目安を超えたのに家族の勤務先に申告していないと、家族の年末調整で控除を受けすぎることになり、修正が必要になります。

▶ あわせて読みたい:【2026年度税制改正】扶養の所得要件が62万円に|配偶者・学生・ひとり親

申告漏れが発覚したときに課されるペナルティ

加算税の種類かかる場面割合(調査を受ける前)割合(調査を受けた後)
過少申告加算税期限内に申告したが税額が少なかった調査通知前:0%/通知後:5%(一部10%)10%(一部15%)
無申告加算税期限までに申告しなかった調査通知前:5%/通知後:10%(段階的に15%・25%)15%(段階的に20%・30%)
重加算税隠ぺい・仮装があった―過少申告の代わり35%、無申告の代わり40%

出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」、国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」、e-Gov法令検索「国税通則法」(第65条〜第68条)

申告漏れが見つかると、本来納めるべき本税に加えて、「加算税」と「延滞税」がかかります。加算税は申告の誤りや遅れに対するペナルティ、延滞税は納付が遅れたことに対する利息のようなものです。どちらも、自分から早く直すほど軽くなります。

①過少申告加算税|期限内の申告で税額が少なかった場合

期限内に確定申告をしていたものの、税額が少なかった場合にかかるのが過少申告加算税です。割合は、いつ修正したかによって変わります。

  • 税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告した場合:かからない
  • 調査の通知を受けた後、調査による更正を予知する前に修正申告した場合:追加の税額の5%(当初の申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)
  • 調査を受けた後に修正申告した場合や、税務署から更正を受けた場合:追加の税額の10%(同じく超える部分は15%)

つまり、税務署から連絡が来る前に自分で気づいて直せば、過少申告加算税はゼロです。「申告漏れには10%の加算税」とよくいわれますが、これは調査を受けた後の割合です。いつ直したかで負担が大きく変わる点を押さえておきましょう。

本税20万円の申告漏れで加算税がどう変わるかのグラフ(自主的な修正なら0円、重加算税なら7万円)

上のグラフは、期限内に申告していた人に、あとから本税20万円の申告漏れが見つかった場合の加算税を比べたものです。自主的に修正すれば加算税は0円ですが、調査を受けてからだと2万円、隠ぺい・仮装と判断されれば重加算税7万円に増えます。延滞税や、あとから通知される住民税の増加分は別にかかります。

②無申告加算税|期限までに申告しなかった場合

確定申告の期限までに申告しなかった場合は、期限後申告や税務署の決定にともなって無申告加算税がかかります。国税庁によると、割合は次のとおりです(国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」)。

  • 調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合:納める税額の5%
  • 調査の通知を受けた後、決定を予知する前に申告した場合:10%(50万円を超え300万円以下の部分は15%、300万円を超える部分は25%)
  • 調査を受けた後の申告や、税務署の決定を受けた場合:15%(50万円を超え300万円以下の部分は20%、300万円を超える部分は30%)

さらに、期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われ、納める税金の全額を法定納期限までに納付しているなど、期限内に申告する意思があったと認められる一定の要件を満たせば、無申告加算税はかかりません(過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていないことなども要件です)。うっかり期限を過ぎてしまったら、1日でも早く申告と納付を済ませましょう。

③延滞税|納付が遅れた日数に応じてかかる

延滞税の割合の推移(2026年は2か月以内が年2.8%、2か月超が年9.1%)

延滞税は、法定納期限(確定申告の場合は原則3月15日)の翌日から、実際に納付した日までの日数に応じてかかります。割合は毎年見直され、2026年(令和8年)1月1日から12月31日までの期間は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎた期間が年9.1%です(国税庁「延滞税について」)。2025年の年2.4%・年8.7%から引き上げられています。

修正申告や期限後申告で新たに納める税金は、その申告書を提出した日が納期限です。提出したその日に納付すれば、延滞税は低いほうの割合(2026年なら年2.8%)で計算されますが、提出後に納付を先延ばしにして2か月を過ぎると、年9.1%の高い割合がかかります。

たとえば、2025年分の所得税で本税20万円の申告漏れに気づき、2026年9月30日に修正申告をして同じ日に納付したとします。2025年分の法定納期限は2026年3月16日(3月15日が日曜日のため)なので、延滞税は、20万円×2.8%×198日(3月17日〜9月30日)÷365日=約3,037円で、100円未満を切り捨てて3,000円が目安です。なお、期限内に申告していて、法定納期限から1年を過ぎてから修正申告をした場合は、一定の期間を延滞税の計算期間に含めない特例があります(隠ぺい・仮装がある場合を除く)。

④重加算税|隠ぺい・仮装があった場合の最も重い加算税

重加算税は、売上を除外する、帳簿を改ざんするなど、事実を隠ぺい・仮装して申告していた場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課されるものです。割合は、過少申告加算税に代わる場合が35%、無申告加算税に代わる場合が40%です。

さらに、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、割合が10%上乗せされます。重加算税を課されたという記録は、その後の申告の確認や調査で厳しく見られる原因にもなります。一時的に税金を少なくしようとした結果、本来の税額を大きく上回る負担を背負うことになるため、隠ぺい・仮装は絶対に避けましょう。

ペナルティ以外にもある!申告漏れによるデメリット

申告漏れのお金以外のデメリット:所得を証明できずローンに影響、行政サービスの判定がずれる、青色申告の取消しリスク

申告漏れの影響は、加算税や延滞税といったお金の負担だけではありません。特に個人事業主やフリーランスにとって、確定申告書やそれをもとにした所得証明書は、自分の収入と事業の実態を示す大切な書類です。

①所得を証明できず、ローン審査や行政サービスで不利になる

住宅ローンや自動車ローン、事業資金の融資を申し込むときは、確定申告書の控えや納税証明書、所得証明書などの提出を求められるのが一般的です。所得を実際より少なく申告していると、その少ない所得で返済能力を判断されるため、借りられる金額が小さくなったり、審査が通りにくくなったりします。

副業で数万円を申告し忘れた会社員であれば影響は限られますが、事業所得が主な収入のフリーランスにとっては大きなデメリットです。また、保育園の利用調整、児童手当や高校の就学支援金などの所得判定、国民健康保険料の計算にも、申告した所得が使われます。申告漏れがあとで修正されると、保険料や負担額が見直され、さかのぼって追加の支払いを求められることもあります。

②青色申告の承認が取り消されるおそれがある

青色申告をしている人は、帳簿の備付けや記録・保存が法令どおりに行われていない場合や、取引の全部または一部を隠ぺい・仮装して記録していた場合などに、青色申告の承認を取り消されることがあります。うっかりの申告漏れがあっただけで直ちに取り消されるわけではありませんが、帳簿の不備や隠ぺいがともなうと、そのリスクは現実のものになります。

承認が取り消されると、青色申告特別控除(2026年分は最大65万円)、青色事業専従者給与、純損失の繰越控除といった特典が使えなくなります。取消しは、その事実があった年分までさかのぼって行われるため、過去の年分の税額が増えることもあります。また、取消しの通知を受けてから1年以内に再申請しても、承認されないことがあります。

税理士のひとこと:申告漏れに気づいたら、税務署から連絡が来る前に自分から直すのがいちばん得です

申告漏れに気づいたときの手続きと、さかのぼれる期間

申告漏れに気づいたときの手順:状況を確認、手続きを選ぶ、申告書を提出、その日に納付

申告漏れや計算間違いにあとから気づいても、正しい手続きをすれば過去の申告を直せます。どの手続きを使うかは、「申告期限の前か後か」「税額が増えるか減るか」「期限内に申告していたか」で決まります。

状況使う手続き期限・ポイント
申告期限内に誤りに気づいた訂正申告(申告書を出し直す)期限内ならペナルティなし。最後に出したものが有効
期限後に税額が少なかったと気づいた修正申告提出日が納期限。調査通知前なら過少申告加算税0%
期限後に税額が多すぎたと気づいた更正の請求原則として法定申告期限から5年以内
期限までに申告していなかった期限後申告1日でも早く。自主的なら無申告加算税5%

出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」、国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

申告期限内なら「訂正申告」で何度でも出し直せる

確定申告の期限(原則3月15日)までであれば、提出した申告書に誤りがあっても、正しい内容で作り直した申告書を提出し直せます。これを実務上「訂正申告」といい、期限内に最後に提出したものが正式な申告として扱われます。期限内の出し直しであれば、加算税や延滞税はかかりません。

e-Taxで提出した場合も、同じように正しい内容で送信し直すだけです。ただし、期限を1日でも過ぎると、修正申告や更正の請求の手続きに切り替わります。提出後に書類を見直す時間をとり、期限に余裕をもって作業を終えましょう。

税額が少なかったときは「修正申告」をしてその日に納付

期限後に、申告した税額が本来より少なかったと気づいた場合は「修正申告」をします。修正申告書を作成して税務署に提出し、新たに納める税金はその提出日が納期限になるため、同じ日に延滞税とあわせて納付しましょう。修正申告書はe-Taxでも作成・提出できます。

税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。所得税の修正申告をすると、その情報は市区町村にも伝わり、住民税(事業をしている人は個人事業税も)があらためて計算されて通知が届きます。住民税の追加分も用意しておきましょう。

税額が多すぎたときは「更正の請求」で取り戻す

反対に、経費や控除の入れ忘れで税金を多く納めすぎていた場合は、「更正の請求」をします。更正の請求ができるのは、原則として法定申告期限から5年以内です。税務署が内容を確認し、正しいと認められれば税金が還付されます。

期限までに申告していなかったときは「期限後申告」

確定申告の期限を過ぎてから申告することを「期限後申告」といいます。期限を過ぎても申告はできるので、気づいた時点ですぐに提出しましょう。自主的に期限後申告をすれば無申告加算税は5%で済み、期限から1か月以内などの要件を満たせばかからない場合もあります。

なお、青色申告をしている人でも、期限後申告になると青色申告特別控除は最大65万円(55万円)ではなく10万円になります。期限を守ることは、それだけで節税にもつながります。

さかのぼれる期間は原則5年、悪質な場合は7年

内容期間
税務署が更正・決定できる期間(通常)法定申告期限から5年
偽りその他不正の行為(隠ぺい・仮装など)がある場合法定申告期限から7年
更正の請求ができる期間法定申告期限から5年
還付申告ができる期間その年の翌年1月1日から5年

税務署が税額を正しく直す「更正」や、申告がない人の税額を決める「決定」ができる期間は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為で税を免れていた場合は、7年に延びます。

「5年たてば時効だから待てばいい」と考えるのは危険です。その間も延滞税は増え続けますし、調査で見つかれば5年分をまとめて、加算税と延滞税を上乗せして納めることになります。数年分の申告漏れがある場合は、古い年分から順に修正申告や期限後申告を進めるのが現実的です。どの年分から手をつけるべきか迷う場合は、税理士に相談してください。

申告漏れを防ぎ、正確な確定申告を行うための4つの対策

申告漏れを防ぐ4つの対策:e-Taxで計算ミスを防ぐ、帳簿と領収書を毎月整理、会計ソフト・税理士を活用

申告漏れの多くは、年度末にまとめて作業をすることで起こります。記憶に頼った作業には限界があるため、日頃から「漏れない仕組み」をつくっておくことが大切です。

対策①e-Taxで計算ミスや入力漏れを防ぐ

e-Tax(国税電子申告・納税システム)や国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に沿って金額を入れるだけで税額が自動で計算されるため、手計算のミスを防げます。

マイナポータルと連携すれば、医療費の通知情報、ふるさと納税の寄附金、公的年金、株式の特定口座の年間取引報告書などのデータを申告書に自動で取り込めます。自宅から24時間提出できるうえ(メンテナンス時間を除く)、還付も書面より早く受けられる傾向があります。

対策②帳簿付けと領収書の整理を毎月の習慣にする

申告漏れの大きな原因は、1年分をまとめて処理しようとして、取引や書類を忘れてしまうことです。毎月決まった日に帳簿をつけ、領収書や請求書を整理する習慣をつけるだけで、漏れは大きく減らせます。

副業の場合は、報酬の入金口座を1つにまとめておくと、年末に通帳やネットバンキングの履歴を見るだけで収入を集計できます。支払調書や支払明細が届かない取引先もあるため、自分で記録を残すことが基本です。

対策③会計ソフトを導入して取引を自動で取り込む

手書きの帳簿や表計算ソフトでの管理に限界を感じたら、クラウド会計ソフトを導入しましょう。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引の明細が自動で取り込まれるため、入力の手間と漏れを同時に減らせます。

多くの会計ソフトは、毎月の所得の見込みを確認でき、そのまま確定申告書の作成やe-Taxでの提出まで進められます。2027年分以後は、e-Taxでの申告と、仕訳帳・総勘定元帳の電子保存などの要件を満たすと、青色申告特別控除が最大75万円に引き上げられます。会計ソフトでの電子帳簿は、節税の面でも有利になっていきます。

▶ あわせて読みたい:個人事業主の会計ソフトおすすめ11選!料金やサービス、無料ソフトを徹底比較

対策④税理士に相談・依頼する

事業の規模が大きくなったり、取引が複雑になったりしたら、税理士への依頼を検討しましょう。日々の記帳のチェックから申告書の作成、税務調査の立会いまで任せられるため、申告漏れのリスクを大きく下げられます。

税理士が申告書の作成にあたって確認した内容を書面で添付する「書面添付制度」を利用すると、税務署が調査の事前通知をする前に、税理士の意見を聴く機会(意見聴取)が設けられます。「まだ規模が小さいから」と遠慮せず、スポットの相談から専門家の目を取り入れるのもひとつの方法です。税務調査への備えについては、税務調査のサポートのページもご覧ください。

税理士のひとこと:数字が大きく動いた理由を説明できる状態にしておけば、調査を過度に恐れる必要はありません

まとめ

まとめ:少額でも見つかる前提で、調査通知前なら加算税0円、期限内の訂正はペナルティなし

確定申告の少額の申告漏れも、申告データの分析や支払調書、取引先への調査などを通じて、税務署に把握される可能性は十分にあります。「少額だから大丈夫」ではなく、「少額のうちに自分で直す」のが、負担をいちばん小さくする方法です。

期限内なら訂正申告でペナルティはなく、期限後でも税務署から調査の連絡が来る前に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。修正申告や期限後申告をしたら、その日のうちに納付しましょう。2026年の延滞税は、2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です。

一方で、隠ぺいや仮装があれば35%〜40%の重加算税がかかり、悪質な場合は刑事罰の対象にもなります。日々の帳簿付けやe-Tax、会計ソフトを活用して、そもそも申告漏れが起きない仕組みをつくっておきましょう。

申告漏れや修正申告のことで迷ったら

福岡の野村税理士事務所では、個人事業主・副業の方の確定申告や、過去の申告の見直し・修正申告のご相談をお受けしています。freee認定アドバイザーとして、申告漏れが起きにくい記帳の仕組みづくりをお手伝いし、毎月の数字をAIで分析する「AI月次分析レポート」で、数字の動きとその理由をいつでも説明できる状態を一緒につくります。

参考資料:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」/国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」/国税庁「No.9205 延滞税について」/e-Gov法令検索「国税通則法」/国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」/国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」/財務省「令和8年度税制改正の大綱(個人所得課税)」

※本記事は2026年9月時点の公表情報をもとに作成しています。税額や延滞税の計算例は目安であり、個別の状況によって結果は異なります。具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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執筆者
野村税理士事務所 代表 野村真一
野村 真一

野村税理士事務所代表 野村真一

税理士業界23年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。

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