「社労士事務所の事務仕事は大変って聞くけど、実際どんな感じなの?」
「ブラックな事務所に入らないためにはどうしたらいいの?」
「働きやすい環境で社労士事務所の仕事を続けたい!」
こんな不安や疑問を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
社労士事務所の事務仕事は、手続き業務の多さや締め切りの厳守、クライアント対応のプレッシャーなど、さまざまな負担が伴うことがあります。
特に「ブラック」と言われる事務所では、過酷な労働環境が問題になるケースも少なくありません。その一方で、適切な対策や事務所選びを行うことで、働きやすい環境を見つけることも可能です。
この記事では、社労士事務所の事務仕事が「きつい」と言われる5つの理由を詳しく解説するとともに、ブラック事務所の特徴、対策についても紹介します。
これから社労士事務所で働こうと考えている方や、現在の職場環境に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
社労士事務所の事務仕事がきついと言われる理由5つ
業務量が多く専門性も高い
社労士事務所の事務仕事は、業務量が多く専門性も高いです。
顧問先企業の給与計算、社会保険手続き、労働保険手続き、助成金申請、労務相談対応など多岐にわたる業務を同時進行する必要があり、業務量が多くなりがちです。各業務は専門知識が求められるため常に学習し続ける必要があります。
また、複数の顧問先を担当する場合、それぞれの企業の状況を把握し締め切りを守りながら正確に業務を遂行する必要があります。
繁忙期には残業時間が長くなる傾向があり、体力的な負担も大きくなるのもきついと言われる理由です。特に、年末調整や年度更新の時期は業務量が集中し、残業を避けられないこともあります。
ミスが許されない
社労士事務所の事務は、顧客企業の給与、社会保険、労働保険など、お金や従業員の生活に関わる重要な情報を扱うためミスが許されません。
たとえば、給与計算のミスは従業員の生活に直接的な影響を与えますし、社会保険や労働保険の手続きミスは企業に不利益をもたらす可能性があります。そのため、常に高い注意力を維持し正確な業務遂行が求められます。
ミスが発生した場合、顧客からの信頼を損なうだけでなく企業が損害賠償責任を負う可能性もあります。さらにミスの原因を究明し再発防止策を講じるために時間がかかるため業務量が増えるのもリスクです。
そのため、担当者は常にプレッシャーを感じながら業務に取り組むことになり、精神的な負担も大きくなりがちです。
仕事が単調で退屈に感じる
社労士事務所の事務の仕事は、ルーティンワークが中心となる場合も少なくありません。
たとえば、毎月の給与計算や社会保険手続き、労働保険手続きなどは基本的に同じ作業の繰り返しとなります。このような状況が続くと、仕事に飽きてしまったり、モチベーションを維持するのが難しくなったりすることがあります。
顧客に振り回される
社労士事務所の事務は、多くの顧客企業と関わるため顧客の都合に振り回されることがあります。
たとえば、急な依頼や期日直前の問い合わせに対応する必要があったり、顧客によって対応方法を変える必要があったりします。顧客の中には社会保険や労働保険に関する知識が乏しい人もいるため、顧客に合わせて丁寧な説明も必要です。
このような状況が続くと、ストレスを感じてしまう人もいるでしょう。
常に最新情報を把握しておく必要がある
社会保険や労働保険に関する法改正は頻繁に行われるため、常に最新情報を把握しておく必要があります。
法律改正や制度変更に対応するためには、常に学習し続ける必要があり、そのための時間も確保しなければなりません。また、法律や制度を正しく理解し、顧問先企業に正確な情報を提供する能力も必要です。
そのため、社労士は常にアンテナを張り最新情報をキャッチアップする必要があります。
ただし、常に最新情報を把握しておく必要があるのは企業内社労士として働く場合も同様なため、社労士事務所だからきついというわけない点に注意しましょう。
社労士の仕事の詳細について、以下の記事で解説しているのでぜひあわせてご覧ください。

ブラック社労士事務所の特徴とは?
残業時間が不透明
ブラック社労士事務所では、残業時間が不透明なケースが多く見られます。
残業代が支払われない、または固定残業代が設定されているにもかかわらず、それを大幅に超える残業を強いられることがあります。タイムカードや勤怠管理が適切に行われておらず、実際の労働時間が把握できないことも少なくありません。
このような状況では、サービス残業が常態化し労働者の健康を害するリスクがあります。
結果的に過労によって体調を崩したり、精神的なストレスを抱えたりするリスクが高まります。
労働条件通知書が渡されない
労働条件通知書は、労働契約の内容を明確にするための重要な書類です。
しかし、ブラック社労士事務所では労働条件通知書が渡されない、または記載内容が曖昧なケースが見られます。
労働条件通知書が交付されない場合、給与、労働時間、休日などの労働条件が不明確なまま働くことになり、後々トラブルに発展する可能性があります。
また、記載内容が曖昧な場合、残業代や休日出勤手当などの支払いをめぐって、使用者と労働者との間で意見の相違が生じる可能性もゼロではありません。
労働条件通知書が交付されない場合は労働基準法違反にあたるため注意が必要です。
ハラスメントが横行している
ブラック社労士事務所では、ハラスメントが横行している場合があります。
パワハラ、セクハラ、モラハラなどのハラスメントは労働者の意欲を低下させるだけでなく、職場全体の雰囲気を悪化させる要因にもなります。
事務所社労士と企業内社労士の違い
事務所社労士と企業内社労士の事務仕事には、次のような違いがあります。
事務所社労士 | 企業内社労士 | |
---|---|---|
業務範囲 | 労働法や社会保険に関わる業務が多い | 自社の労務や社会保険に関わる業務 |
対象企業 | 幅広い業界・規模の企業 | 自社 |
待遇 | 残業が長くなりやすい 事務所内での出世が難しい | 正社員なら収入や労働条件が安定しやすい |
労働環境 | 顧問先に振り回されやすい | 知識やスキルを活かせない部署に配属されることがある |
給与 | 低め | やや高め |
人間関係 | 職場による | 職場による |
それぞれ詳しく解説します。
業務範囲と対象企業の違い
事務所社労士は、複数の企業の労務管理を請け負います。そのため、さまざまな業種や規模の企業と関わることができ、幅広い知識や経験を積むことができます。
顧問先企業のニーズに合わせて、労働法や社会保険に関わる業務が多いです。
一方、企業内社労士は特定の企業に所属し、その企業の労務管理を担当します。そのため、特定の企業の労務管理に深く携わることができ、企業の一員として貢献することが可能です。
業務範囲はやや限定的ではありますが、自社に特化した専門性を深められるのが特徴です。
待遇や労働環境の違い
事務所社労士は、企業内社労士よりも残業時間が長くなる傾向があります。なぜなら複数の顧問先を抱えているため、それぞれの締め切りに合わせて業務を遂行する必要があるためです。
そのうえ、事務所内で出世するのは難しいでしょう。
一方、企業内社労士は所属する企業の労働時間や制度に従って働くため、比較的労働時間が安定している傾向があります。さらに、福利厚生も比較的充実しているケースが多いです。
ただし、いずれにしても待遇や労働環境は、働く場所によって大きく異なります。
給与面の違い
企業内社労士の方が給与水準が高い傾向があります。
企業内社労士は特定の企業に貢献し、その企業にとって重要な存在であると認識されているためです。
労務管理だけでなく人事制度の構築や人材育成など、幅広い業務を担当する場合があるため、より高い給与が期待できます。
一方、事務所社労士は、企業内社労士と比べると給与は低い傾向にあります。ただし、事務所の規模や個人の実績・スキルなどにより異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
人間関係のきつさは職場による
事務所社労士と企業内社労士のどちらが人間関係がきついかは、職場によって異なります。企業の社風や文化、上司や同僚との相性は、その職場で大きく変わるためです。
また、事務所社労士の場合は、複数の顧問先企業と関わるため、事務所以外のさまざまな人とコミュニケーションをとる必要があります。
一方、企業内社労士の場合は、自社の従業員との人間関係が重要になります。
どちらの働き方を選ぶ場合でも、良好な人間関係を築けるように意識することが大切です。
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社労士事務所で気持ちよく働くための対策
労働条件の確認を徹底する
社労士事務所で働く際には、労働条件の確認を徹底することが重要です。給与、労働時間、休日、残業代、福利厚生などについて、事前にしっかりと確認しましょう。
そのうえで、必ず労働条件通知書を交付してもらって内容を確認し、不明な点や納得できない点があればはじめに申し出ることが重要です。
また、労働条件は入社後に変更される場合もあるため、定期的に労働条件を確認し、もし変更があった場合はその内容をしっかりと確認するようにしましょう。
労働条件について曖昧なままにしておくと、後々トラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。
事務所の評判を調べる
社労士事務所で働く前に、その事務所の評判を調べておくことも重要です。
インターネット上の口コミサイトや転職エージェントなどから情報を収集しましょう。可能であれば、実際に働いている人や過去に勤めていた人に職場の実情について聞くことも重要です。
評判が悪い事務所は労働環境が劣悪な場合があるため注意が必要です。事務所の評判を調べる際には、良い評判だけでなく、悪い評判も確認しましょう。
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労働環境が整っている事務所を選ぶ
社労士事務所を選ぶ際には、労働環境が整っている事務所を選ぶようにしましょう。
具体的なチェックポイントには以下があります。
- 残業時間が少ない
- 休日がきちんと確保されている
- 有給休暇が取得しやすい
- ハラスメント対策が実施されている
など
労働環境が整っている事務所は、従業員が働きやすく長く働くことができる可能性が高いです。
また、労働環境だけでなく、教育制度やキャリアアップ支援制度が充実している事務所を選ぶのもおすすめです。これらの制度が充実している事務所は、従業員の成長をサポートしてくれるためやりがいを持って働くことができます。
以下の記事では、「社労士はやめとけ」と言われる理由について解説しているので、社労士として働くか迷っている方はぜひあわせてご覧ください。

今働いている社労士事務所がきついときの対処法
仕事と職場どちらが嫌なのかを考える
今働いている社労士事務所がきついと感じている場合、まずは仕事自体が嫌なのか、それとも職場環境が嫌なのかを冷静に考えてみましょう。
仕事内容自体に不満がある場合は、配置転換や職種変更などの異動、あるいは転職を検討する必要があります。一方、職場環境に問題がある場合は、上司や同僚に相談したり転職を検討したりする必要があります。
仕事と職場のどちらが嫌か曖昧のまま転職してしまうと、また同じことを繰り返す可能性が高いです。仕事が嫌になっているのに、他の社労士事務所に転職してもまたきついと感じてしまうでしょう。
そのため、仕事と職場のどちらが問題なのかを明確にしたうえで、次のアクションを起こす必要があります。
転職を視野に入れる
今の社労士事務所での仕事がきついと感じており、改善の見込みがない場合は転職を視野に入れるのも一つの選択肢です。
転職活動を始める前は、まず自分の希望する働き方やキャリアプランを明確にしておきましょう。
転職エージェントを活用すると、キャリアアドバイザーが相談に乗ってくれるので自分の希望やキャリアプランを固めやすく、さらに効率的に情報収集を行えます。
また、転職する際は必ず複数の求人を比較検討し、自分に合った職場を選ぶようにしましょう。
独立開業を検討する
社労士事務所で社労士としての経験を積んだ後は、独立開業を検討するのも良いでしょう
独立開業すれば自分のペースで仕事を進めることができ、より自由な働き方が可能になります。
ただし、独立開業には経営能力や営業力、顧客開拓などが必要となるため十分な準備が必要です。独立開業する際には、事業計画をしっかりと立て資金計画を綿密に立てるようにしましょう。
また、専門家のアドバイスを受けながら開業準備を進めのも大切です。独立開業は大きなチャレンジとなりリスクも伴いますが、成功すれば大きなやりがいを得ることができます
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これから就職するなら事務所社労士と企業内社労士どっちがいい?
事務所社労士と企業内社労士のどちらを選ぶかは、目指すキャリアや希望する働き方により異なります。
事務所社労士は、多様な業種のクライアントと関わり幅広い経験を積めることが特徴です。一方、企業内社労士は特定の企業に深く関与し、内部から労務管理や組織改善に取り組むことが可能です。
給与面では、企業内社労士の方が高い傾向がありますが、業務の裁量や柔軟性は事務所社労士の方が大きい場合もあります。
また、まだ社労士の資格を有していない場合は、社労士事務所に就職して実務経験を積むとともに、並行して試験勉強を行うのもおすすめです。
以下の記事では、社労士の通信講座・予備校の料金やカリキュラムについて比較解説しています。これから社労士を目指そうと考えている方、通信講座や予備校の選び方がわからないという方はぜひチェックしてください。

まとめ
社労士事務所の事務は、専門知識や正確性が求められる仕事であり、決して楽な仕事ではありません。業務量が多く、ミスが許されないため精神的な負担も大きい場合があります。
しかし、労働条件や職場環境の良い事務所を選べば、気持ちよく働くことも可能です。
もし、今の職場がきついと感じている場合は、一度、仕事内容や職場環境について冷静に考えてみましょう。必要であれば転職や独立開業を検討することも視野に入れましょう。
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