「社労士試験って実務経験がないと受けられないの?」
「受験資格を得るためには何をすればいい?」
「未経験から社労士として働くにはどうしたらいいの?」
こんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
社労士試験は国家資格試験のひとつですが、受験資格を得るためには一定の条件を満たす必要があります。
実務経験も受験資格のひとつではありますが、実務経験がなくてもその他の受験資格を満たしていれば、社労士試験を受験することは可能です。
また、実務経験がなくても未経験から社労士資格を取得し、社労士として活躍するキャリアパスも存在します。
こちらの記事では、社労士試験の受験資格に関する詳細や実務経験がない場合の資格獲得方法をわかりやすく解説します。未経験から社労士を目指すキャリアパスについても紹介していますので、これから社労士を目指す方はぜひ最後までご覧ください。
社労士試験は実務経験なしでも受験資格はある?
結論から言うと、社労士試験は実務経験がなくても受験可能です。
社労士試験は、いくつかの条件のうちひとつを満たしていれば受験資格を得られます。
ここからは、社労士試験の受験資格や実務経験の詳細について解説します。
社労士試験の試験日やスケジュール、試験会場などの試験概要について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もチェックしてください。

社労士試験の受験資格
社労士試験の受験資格は、大きく分けて「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の3つに分類されます。以下のいずれかの条件を満たしていれば、受験資格を得ることができます。
- 大学、短期大学、高等専門学校(5年制)を卒業している
- 労務関係の実務経験が通算3年以上ある
- 国家資格(行政書士など)を有している
実務経験なしの場合は、学歴または他の国家試験合格で受験資格を得る必要があります。
具体的に言えば大学、短期大学、高等専門学校を卒業した人、または大学等で62単位以上を修得した人は、学歴によって受験資格が得られます。
そのほか、行政書士や公認会計士試験など特定の国家試験に合格している場合も受験資格が付与されます。
試験の受験資格が得られる実務経験とは?
社労士試験における実務経験とは、労働社会保険諸法令に関する業務、またはこれに準ずる業務に従事した経験を指します。
具体的には、社会保険手続きの業務や労働保険手続きの業務、給与計算業務、労務管理業務、人事評価や採用業務も実務経験として認められます。
これらの業務に従事できる仕事には、たとえば以下があります。
- 国や地方公共団体の公務員
- 健康保険組合や労働保険事務組合など従業員
- 社会保険労務士事務所や弁護士事務所の補助者
- 労働組合の専従役員
- 企業の労務担当役員や人事労務担当者
など
ただし、単なる事務作業や人事・労務関連の業務でも、直接的に労働社会保険諸法令に関する業務でなければ実務経験とは認められないため注意が必要です。
実際の業務内容が電話対応や自動車運転手、用務員など、特別な判断を要しない単純な事務は実務経験の対象外です。
実務経験として認められるかどうかの判断は、個別のケースによって異なります。自分の経験が実務経験年認められるか心配な方は、事前に確認することをおすすめします。
公務員でも実務経験なしになる可能性がある
国または地方公共団体の公務員として、通算して3年以上従事していれば基本的に社労士試験の受験資格を得られます。
しかし、公務員として働いているからといって、必ずしも実務経験として認められるわけではありません。
人事、給与、福利厚生などの業務に携わっていたとしても、たとえば採用や研修業務だけを行っていた場合など、労働社会保険諸法令に直接関わる業務を行っていない場合は、実務経験として認められない可能性が高いです。
公務員の方で実務経験に該当するかどうか不安な場合は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターに問い合わせて確認するのが確実です。
試験を受験するには証明書が必要
社労士試験を受験するためには、受験資格を証明する書類が必要です。受験申し込み時に証明書を一緒に提出しなければなりません。
たとえば、実務経験を証明する場合は「実務経験証明書」、学歴を証明する場合は「卒業証明書」などが必要です。
実務経験証明書は、実際に働いていた職場に発行してもらう必要があるため、試験申し込みの締切から余裕を持って準備しておきましょう。
また、所定の実務経験がある人は社労士試験で一部科目が免除される可能性があり、実務証明書は免除資格を証明する役割もあります。
提出書類の内容に不備があると受験資格が認められない可能性もあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
実務経験なしの人が受験資格を獲得する方法
実務経験なしの人が社労士試験の受験資格を獲得する方法として、たとえば以下があります。
- 大学を卒業する
- 短大を卒業する
- 行政書士試験の資格を取得する
- 社労士事務所などで実務経験を積む
学歴や他の国家試験の合格、実務経験を積むことで、社労士試験に受験できるようになります。学歴や国家資格を持たない方は、社労士事務所などでこれから実務経験を積むのがおすすめです。
なぜなら、成人して改めて大学や短大に入学・卒業するのはハードルが高く、またゼロから社労士以外の国家資格を取得するのは遠回りになりやすいためです。
行政書士など国家資格を取得すれば、社労士とのダブルライセンスという肩書きで活躍できるメリットもありますが、社労士の試験合格を第一目標とする場合は最適な選択肢とは言えません。
実務経験なしの人が受験資格の獲得を目指す際は、どの方法で受験資格を得るのか検討する必要があります。
以下の記事では、社労士と相性のいいダブルライセンスを10個紹介しています。将来的に社労士として活躍したい方、キャリアアップを目指している方はぜひ参考にしてください。

社労士試験で実務経験があると有利になるケース
社労士試験において、実務経験は以下の点で有利に働くことがあります。
- 受験資格の取得
- 試験科目の一部免除
- 学習の効率化
- 資格登録の迅速化
まず、実務経験が3年以上あれば学歴や他の国家資格がなくても受験資格を得ることができます。
さらに、一定条件を満たすと試験科目の一部が免除される制度もあり、たとえば、国や地方公共団体で労働社会保険法令に関する業務に10年以上従事した人は特定科目の免除対象となります。
また、実務経験者は労働社会保険諸法令や業務フローを既に理解しているため、試験範囲の学習を効率的に進められるのもメリットです。実務での経験や知識を活かして学習に取り組めば、理解が速く知識も定着しやすいためスムーズに学習を進められます。
そのほか、試験合格後の資格登録に必要な「2年以上の実務経験」を既に満たしていれば、試験合格後に登録手続きがスムーズで、社労士としての活動を早期に開始できます。
現在、実務経験や学歴などの受験資格を満たしていないのであれば、今から社労士事務所などに就職・転職して実務経験を積むのもおすすめです。
資格試験に合格しただけでは社労士として働けない
社労士試験に合格しただけでは、すぐに社労士として働くことはできません。
社労士として業務を行うためには、全国社会保険労務士会連合会に登録する必要があります。登録には労働社会保険諸法令に関する実務経験が2年以上あること、あるいは指定の講習を修了していなければいけません。
登録要件を満たしていない場合は、実務経験を積むか講習を受講して連合会に登録しましょう。
\割引・合格特典あり!サポート体制の強さも魅力/
実務経験なしで社労士に登録する方法は?講習を修了する
実務経験がない場合、厚生労働大臣が指定する「事務指定講習」を修了することで、社労士として登録することが可能です。
講習の全課程を修了すると修了証が交付され、2年以上の実務経験と同等以上と認められ、社会保険労務士としての登録が可能となります。
事務指定講習とは?講習の種類と内容
事務指定講習は、4カ月の「通信指導課程」と4日間の「eラーニング講習(または面接指導課程)」の2ステップで行われます。
通信指導課程は教材を用いて自己学習を行い、所定の課題を提出して添削指導を受けるものです。eラーニング講習では各科目3時間の動画学習を行い、効果測定の試験も実施されます。
面接指導の場合は、会場に集まって講師から直接指導を受けたり、グループワークに取り組んだりします。
事務指定講習の受講料は77,000円(税込)です。
事務指定講習を受講するときの注意点
事務指定講習を受講する際には、いくつかの注意点があります。
- 受講料がかかる
- 受講修了まで数カ月かかる
- 通信指導は自宅学習のため計画的な学習が必要
事務指定講習の期間は数カ月に及ぶほか、通信指導は自宅で自己学習する必要があるため、スケジュールをしっかりと立てて計画的に学習を進めることが大切です。
実務経験なしで社労士に登録するまでの流れ
実務経験がない状態で社労士に登録するまでの流れは次のとおりです。
- 社労士試験に合格
- 事務指定講習の受講
- 修了証の取得
- 都道府県の社会保険労務士会に入会
- 全国社会保険労務士会連合会へ登録
社労士試験に合格したら、全国社会保険労務士会連合会が実施する事務指定講習に申し込んで受講します。講習は実務経験が2年未満の方が対象です。
4カ月間の通信教育と4日間のeラーニング講習を終え、全過程を修了したら事務指定講習修了証が交付されます。
その後、修了書を持参し、所属を希望する都道府県の社会保険労務士会に入会申請を行い、連合会に登録申請を行うことで正式に社労士として業務を開始できます。
登録には登録手数料や会費が必要となるので注意が必要です。登録に必要な書類や手続きについては、所属する社会保険労務士会に問い合わせて確認する必要があります。
\割引・合格特典あり!サポート体制の強さも魅力/
実務経験なしからの社労士のキャリアパス
実務経験がない状態から社労士としてキャリアをスタートする場合、いくつかの選択肢があります。主なキャリアパスとして以下があります。
- 社労士事務所に勤める
- 企業の人事・労務部門に勤める
- 独立開業する
どのキャリアを選ぶかは自身の希望や適性、キャリアプランによって異なります。以下に、それぞれのキャリアパスについて詳しく説明します。
①社労士事務所に勤める
社労士事務所に勤務することは、実務経験がない状態から社労士としての経験を積む際におすすめです。
社労士事務所では、さまざまな業種の企業の労務管理や社会保険手続きを代行するため、幅広い業務経験を積むことができます。
また、先輩社労士から実務指導を受けることができるため、実践的な知識やスキルを習得することができます。
将来的に独立開業を考えている方は、社労士事務所での経験は非常に役に立つでしょう。
以下の記事では、社労士事務所の事務仕事がきついと言われる理由やブラック事務所の特徴について解説しています。どのようなキャリアパスを選ぶべきか迷っている方は、ぜひあわせてご覧ください。

②企業の人事・労務部門に勤める
企業の人事・労務部門で働くことも、社労士としてのキャリアパスのひとつです。
企業では自社の従業員の労務管理や社会保険手続き、給与計算などを行います。社労士の資格を持っていることで、専門的な知識を活かして、企業の労務管理体制の構築や改善に貢献することができます。
また、企業内社労士として、従業員からの相談対応や労働法規の遵守を推進する役割を担うことも多いです。
社労士事務所に勤める場合よりも、業務内容が限定的なため幅広い知識・スキルが身につきにくいですが、給与水準は事務所で働くよりも高い傾向にあります。
以下の記事では、社会保険労務士の今後の需要について解説しています。社労士事務所と企業内社労士、それぞれ勤務先としてのメリット・デメリットも解説しているのでぜひあわせてご覧ください。

③独立開業する
実務経験を積んだ後、独立開業することも可能です。
独立開業すれば自分のペースで仕事ができ、自分の得意な分野に特化したサービスを提供することができます。
独立開業には集客、営業、事務作業など、さまざまな業務を自分で行う必要があり責任も大きくなります。しかし、顧客から感謝されたり、自分の裁量で仕事を進められたりすることに大きなやりがいを感じやすいです。
独立開業をする場合は、しっかりとした事業計画を立てて準備を進めることが重要です。
\割引・合格特典あり!サポート体制の強さも魅力/
実務経験なしでも社労士として就職や転職できる
実務経験がない場合でも、社労士の資格を持っていることで社労士事務所や企業の人事・労務部門への就職や転職が有利になる場合があります。
社労士の資格は、専門的な知識を持っていることの証明となり、採用担当者からの信頼を得やすくなります。
また、未経験者歓迎の求人も多く働きながら実務経験を積むことが可能です。就職活動の際には、自己PRや志望動機をしっかりと準備し社労士としての意欲をアピールしましょう。
以下の記事では、社労士の仕事内容や将来性、平均年収について解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

社労士試験の合格を目指すなら通信講座・予備校がおすすめ
社労士試験は難易度が高い試験です。合格するためには効率的な学習方法で、計画的に学習を進める必要があります。
独学での学習も可能ですが、より試験合格を目指すなら通信講座や予備校を利用するのがおすすめです。専門講師の指導を受けたり、効率的な教材を使用したりできるため、合格の可能性を高められます。
また、通信講座は自分のペースで学習を進めることができ、予備校は集中的に学習を進められると同時に仲間とコミュニケーションをとってモチベーションを高められるのがメリットです。
通信講座・予備校にはさまざまな講座があるので、自分の学習スタイルや予算、ライフスタイルに合わせて選びましょう。
以下の記事では、社労士の通信講座・予備校の料金やカリキュラムを比較しています。通信講座や予備校の選び方がわからない、おすすめの学校が知りたいという方はぜひあわせてご覧ください。

まとめ
社労士試験は実務経験がなくても受験できます。
しかし、学歴や国家資格保有の受験資格を満たしていない方は、これから実務経験を積んで受験資格を満たすのがおすすめです。
社労士試験の学習にも役立ちますし、試験合格後の社労士登録の際にも実務経験の要件を満たせるためです。
社労士の資格は人事や労務の専門家として活躍するための強力な武器となります。ぜひ、社労士試験の合格を目指して、計画的に学習を進めていきましょう。
\割引・合格特典あり!サポート体制の強さも魅力/