「社労士試験の合格点って何点?」
「毎年合格基準が変わるのはなぜ?」
「合格率の推移を見て合格ラインが知りたい」
こんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
社労士試験は、毎年多くの受験者が挑戦する国家資格試験ですが、合格ラインや基準が年度ごとに変動するため、受験生にとっては不安要素の一つです。
試験合格を目指すには、例年の傾向や合格率の推移を踏まえた学習計画を立てることが重要です。
こちらの記事では、社労士試験における合格ラインや基準の決め方を詳しく解説するとともに、これまでの合格率の推移をデータを基に分析します。受験準備を進めるうえでの参考になる情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
社労士試験の合格基準点とは?
社会保険労務士(社労士)試験の合格基準点とは、試験に合格するために必要な最低得点のことです。
試験は労働や社会保険に関する法律、人事労務管理など幅広い知識が問われるため、 一定の基準点をクリアしなければ合格できません。
社労士試験の合格基準点は、受験者全体のレベルや試験の難易度によって変動します。
試験は選択式試験と択一式試験で構成されており、いずれの出題形式でも、各科目および総得点で合格基準点を満たさなくてはいけません。
そのため、社労士試験の合格を目指す際は、過去の合格基準点を参考にしつつも試験対策をしっかりと行う必要があります。

令和6年度の合格基準点
令和6年度の社労士試験における合格基準点は以下の通りです。
【選択式試験】
総得点:25点以上
各科目:3点以上
(ただし、「労務管理その他の労働に関する一般常識」は2点以上)
【択一式試験】
総得点:44点以上
各科目:4点以上
ただし、試験の難易度や受験者の得点状況によって補正が行われる場合があります。
令和6年度の合格率・合格者数
令和6年度の社労士試験の合格率・合格者数は次のとおりです。
第56回 | 前年度比 | |
---|---|---|
受験者数 | 43,174人 | +433人 |
合格者数 | 2,974人 | +254人 |
合格率 | 6.9% | +0.5% |
参照:第56回(令和6年度)社会保険労務士試験の合格者発表|社会保険労務士試験オフィシャルサイト
合格率は年度によって変動しますが、社労士試験の合格率は一桁代と非常に低い水準で推移しています。
社労士試験は難易度の高い試験であるため、試験に合格するためには十分な準備と対策が不可欠です。
令和6年度の試験科目免除者の配点
社労士試験は特定の条件を満たすことで、一部の科目が免除される制度があります。
令和6年度の社会保険労務士試験における科目免除者の配点は、以下の計算式に基づいて算出されました。
【計算式】
- 選択式試験:(総得点の合格基準点 ÷ 40点) × 各科目の満点
→ 免除1科目につき3.1点を加算 - 択一式試験:(総得点の合格基準点 ÷ 70点) × 各科目の満点
→ 免除1科目につき6.3点を加算
※小数第2位は四捨五入して計算
この計算により、各免除科目の配点は以下のとおりです。
試験区分 | 科目名 | 満点 | 免除科目の配点 |
---|---|---|---|
選択式試験 | 全科目共通 | 5点 | 3.1点 |
択一式試験 | 一般科目 | 10点 | 6.3点 |
労災保険法・雇用保険法 | 7点 | 4.4点 | |
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 | 6点 (労災/雇用は各3点) | 3.8点 |
これらの配点は、試験の合格基準点に基づいて毎年調整されます。
また、科目免除者の配点は免除された科目の配点がほかの科目に加算されるわけではなく、免除された科目は合否判定の対象外となります。
そのため、科目免除者もほかの受験者と同様に合格基準点を満たさなければなりません。
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社労士試験の合格ラインは?過去の合格基準点・合格率の推移

過去の合格基準点・合格率の推移は次のとおりです。
年度 | 択一式合格基準点 | 択一式科目最低点 | 選択式合格基準点 | 選択式科目最低点 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|
令和6年度(2024年) | 44点 | 4点 | 25点 | 3点 | 6.9% |
令和5年度(2023年) | 45点 | 4点 | 26点 | 3点 | 6.4% |
令和4年度(2022年) | 44点 | 4点 | 27点 | 3点 | 5.3% |
令和3年度(2021年) | 45点 | 4点 | 24点 | 3点 | 7.9% |
令和2年度(2020年) | 44点 | 4点 | 25点 | 3点 | 6.4% |
令和元年度(2019年) | 43点 | 4点 | 26点 | 3点 | 6.6% |
択一式の合格基準点は43点〜45点、選択式の合格基準点は24点〜27点で推移しており、試験実施回により合格基準点が変動していることがわかります。
また、合格率は例年5%〜7%と低い水準となっており、社労士試験は難易度の高い試験と言えます。
以下の記事では、社労士試験の難易度を大学の偏差値で例えて解説しているので、試験難易度について詳しく知りたい方はぜひあわせてご覧ください。

社労士試験の合格基準点の決め方は?条件がある
社労士試験の合格基準点は、受験者全体の得点状況や試験の難易度を考慮し、厚生労働省によって決定されます。具体的な決定要素には以下があります。
- 試験全体の難易度
試験問題が難しかった場合、合格基準点が低くなる傾向があります - 受験者全体の平均点
受験者全体の平均点が高ければ合格基準点も高くなる傾向があります - 各科目の難易度
著しく難易度の高い科目があった場合、その科目の基準点が低くなることがあります - 試験委員会の判断
最終的には、試験委員会の判断によって合格基準点が決定されます
試験委員会は、上記のような要素を総合的に考慮し、適切な合格基準点を決定します
また、平成12年度以降の社労士試験から、合格基準点は以下の条件が設定されました。
総得点 | 各科目 | |
---|---|---|
選択式試験 | 28点以上/40点中 ※満点の7割以上 | 3点以上/5点中 |
択一式試験 | 49点以上/70点中 ※満点の7割以上 | 4点以上/10点中 |
参照:社会保険労務士試験お合格基準の考え方について – 1 合格基準点|厚生労働省
各科目でも合格基準点が設定されているため、特定の科目だけを重点的に学習するのではなく、苦手科目を作らないようにバランスよく学習することが大切です。
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社労士試験の合格基準点の補正
社労士試験では合格基準点に補正が入る場合があります。補正は試験の公平性を保ち、受験者間の不公平感をなくすためです。
ここからは、総得点と科目最低点の補正について解説します。
総得点の補正
総得点の補正の計算方法は次のとおりです。
- 選択式試験と択一式試験の総得点を計算
- 前年平均点との差を小数点第一位まで計算
- その差を四捨五入して総得点を補正する
たとえば、総得点の平均が前年より1.2点低い場合は合格基準点を1点下げ、1.6点高い場合は合格基準点を2点上げるという計算です。
四捨五入によって切り捨て・切り上げされた端数は、翌年以降の合格基準点に繰り越されます。端数は累計で計算される方式となっており、累計点数が±1点以上に達すると合格基準点に反映されるため、あらかじめ確認しておきましょう。
ただし、上記の計算方法で平均合格率と大きく異なる場合は、別途調整が行われます。
また、前年に特別な補正が行われていた場合、前々年の平均点も考慮されます。
科目最低点の補正
科目最低点の補正の基準は次のとおりです。
各科目の合格基準点(選択式は3点、択一式は4点)に達する受験者数が5割未満の場合、科目最低点が引き下げられる
ただし、以下の場合は原則的に引き下げ補正が行われない
- 引き下げ後の基準点以上の受験者の割合が70%以上となる場合
- 引き下げ後の基準点が選択式で0点、択一式で2点以下となる場合。
そのため、各科目の合格基準点に達する割合が5割未満、なおかつ引き下げ後の合格基準に達する受験者数が3割未満の場合、科目最低点の引き下げが行われます。
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社労士試験に合格するための方法
①苦手科目を作らない
社労士試験は各科目に最低合格基準点が設けられているため、苦手科目があると合格が難しくなります。苦手科目がある場合は早めに克服するように努めましょう。
苦手な科目については、基本書や参考書を丁寧に読み返し理解を深めることが大切です。苦手な科目の問題を繰り返し解くことで記憶の定着を促し、徐々に克服することができます。
苦手科目を作らないために、得意な科目ばかりを 学習するのではなく、各科目をバランスよく学習しましょう。
②スキマ時間も無駄にしない
社労士試験は試験範囲が広いため、学習時間を確保することが重要です。そのため、まとまった学習時間を確保するだけでなく、スキマ時間も有効活用しましょう。
通勤時間や休憩時間など、ちょっとした時間にテキストを読んだり単語帳を見たりするだけでも学習効果があります。
また、スマートフォンやタブレットを使って、 過去問アプリや学習動画を利用することもおすすめです。
スキマ時間をうまく活用するかどうかで合格に関わるといっても過言ではないため、日々の生活の中でスキマ時間を見つけて少しずつ学習を進めていきましょう。
社労士試験の効果的な勉強法について、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひあわせてご覧ください。

③通信講座・予備校を利用する
独学での学習が難しい場合は、通信講座や予備校を利用することも検討しましょう。
通信講座や予備校では、効率的な学習カリキュラムや教材を提供しており、専門の講師から指導を受けることができます。ほかの受験生と一緒に学習することでモチベーションを維持しやすいのもメリットです。
独学と比べると学習にかかる費用が多くかかるものの、社労士試験に合格し社労士として働けば、元を取ることは十分可能です。
ただし、講座や予備校の費用は高額になるため、体験講座や無料相談などを活用し、自分の予算や学習スタイルに合った講座や予備校を見つけましょう。
以下の記事では、社労士の通信講座・予備校の料金やカリキュラムを比較しています。通信講座や予備校の選び方がわからない、おすすめの学校が知りたいという方はぜひあわせてご覧ください。

まとめ
社労士試験の合格基準点は、総得点だけでなく、各科目にも基準点が設けられています。合格するためにはすべての科目をバランスよく学習し、苦手科目を作らないようにすることが重要です。
過去の合格基準点や合格率の推移を参考に、常に最新の情報をもとに試験対策を進めましょう。
社労士試験は難易度の高い試験ですが適切な対策をすれば合格することは十分可能ですので、本記事が社労士試験の合格を目指す皆さんにとって少しでも役に立てれば幸いです。
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