ファクタリングは売掛債権を専門業者へ買い取ってもらい、いち早く資金調達できる手段の一つです。
ファクタリングは請求書を用いられることが多く、商品やサービスを納品した後のキャッシュフローに用いられことが多いです。
一般的にファクタリングで請求書のみは難しいため、請求書ファクタリングとはいえ、請求書以外にも通帳のコピーやその他売掛債権の提出が必須となります。
一方、注文書ファクタリングなら注文書を利用して現金化ができます。注文書は契約締結直後に発行されるケースが多いため、請求書よりも早い段階で資金調達が可能です。
そこで本記事では、注文書ファクタリングの概要や利用するメリット・デメリットを解説。
注文書ファクタリングにおすすめのファクタリング会社やよくある質問も紹介するため、気になる人はぜひチェックしてください。
注文書ファクタリングとは注文書を売却して現金化すること


注文書ファクタリングとは、ファクタリング会社に対して注文書を売却して資金調達する方法です。
注文書は請求書と同様の売掛債権として扱われるため、ファクタリング会社によっては買い取ってもらえます。
注文書は請求書に比べて、比較的早い段階で発行します。請求書は成果物を納品したタイミング発行する売掛債権となるため、契約フローでは最も最後となります。
一方、注文書は見積書の発行後、契約を締結してすぐに発行するため、契約フローの中でも非常に早いタイミングで取得できます。注文書ファクタリングを利用すれば、納品物を提出する前に資金調達も可能です。
注文書ファクタリングと請求書ファクタリングの違いは、以下の通りです。
ファクタリングの種類 | 注文書ファクタリング | 請求書ファクタリング |
---|---|---|
買取対象 | 注文書(発注書) | 請求書 |
資金調達のタイミング | 案件の契約直後 | 商品・サービスを納品後の発行 |
支払いサイト | 平均30日〜180日 | 平均30日〜90日程度 |
手数料 | 5%〜20% | 3%〜15% |
取引先への通知 | 通知されない | 2社間ファクタリング:通知されない 3社間ファクタリング:通知される |
注文書ファクタリングと請求書ファクタリングの違いは、資金調達のタイミングと手数料です。
請求書よりも注文書の方が早い段階で発行されるため、案件対応中でも資金調達できる点が注文書ファクタリングの特徴です。
また、注文書ファクタリングは請求書ファクタリングに比べて、手数料が高い傾向にあります。
まだ注文書ファクタリングを取り扱っている会社は少なく、請求書ファクタリングよりも売掛債権が回収できなくなるリスクが高いため、手数料が高く設定されています。
注文書ファクタリングを利用する際は一定のコストがかかるものの、早い段階で資金調達ができるため、資金繰りに悩むことなく事業を進められるでしょう。
注文書ファクタリングのメリットは早い段階の資金調達


注文書ファクタリングのメリットは、以下の通りです。
それぞれ順に解説します。
取引において早い段階で資金調達ができる
注文書ファクタリングは取引において、早い段階で資金調達を進めらえるメリットがあります。
一般的な注文書ファクタリングで資金調達するまでの流れは、以下の通りです。
注文書は資金調達の重要な根拠となるため、取引条件や金額、納期などの情報を明確に記載されている必要があります。
得意先の信用情報や取引履歴なども併せて提出することで、スムーズな審査につながります。
提出した注文書や関連書類をもとに、得意先の信用力や取引内容の妥当性などが総合的に評価されます。
審査を通過すると、契約書の締結を経て、申込金額から手数料を差し引いた資金が送金されます。
入金された売掛金を事前の案内に従ってファクタリング会社の口座に支払い、取引が完了となります。
注文書ファクタリングは注文書があればファクタリングを利用できるため、契約フローの中でも早い段階で資金調達が可能です。
請求書ファクタリングの場合、受注案件の商品・サービスを納品してから請求書を発行し、売掛債権として買取を依頼します。売掛先から支払われるよりも早い段階で資金調達ができますが、運営中の資金繰りは改善されません。
一方、注文書ファクタリングなら契約してすぐに発行される注文書を売掛債権として活用できるため、納品前に資金調達が可能。早い段階で資金調達できることで、案件対応中に資金繰りに悩まされることなく、安心して業務を進められるでしょう。
支払いサイトが長い売掛債権でも現金化可能
注文書ファクタリングは支払いサイトが長い売掛債権、売掛金でも現金化が可能です。
ファクタリング業界における支払いサイトとは、取引期間の締め日から支払い期日までの期間を指します。例えば、4月30日に請求書を発行し、支払日が5月31日の場合は支払いサイトが31日の計算となります。
一般的に請求書ファクタリングが設けている支払いサイトは約30日〜90日程度です。90日以上の支払いサイトの請求書は審査に通過しづらかったり、追加書類の提出が必要だったりします。
しかし、注文書ファクタリングの支払サイトは約30日〜180日程度に設定されています。注文書ファクタリングの場合、商品・サービスを納品する前に資金調達するため、30日程度では支払いが完了しない可能性が高いです。
注文書を発行してから60日〜90日程度で振り込まれる傾向にあるため、注文書ファクタリングなら支払いサイトが長井売掛債権でも無理なく現金化できます。もちろん、注文書ファクタリング会社は注文書の特性を把握しているため、審査に通りづらいなどのリスクはなく、スムーズに利用が可能です。
売掛先(取引先)にバレずにファクタリング可能
注文書ファクタリングは、売掛先(取引先)にばれることなくファクタリングが可能です。
請求書ファクタリングの場合、2社間ファクタリングなら売掛先にファクタリングがバレることはありませんが、3社間ファクタリングだと利用通知が届きます。ファクタリング利用の通知が取引先に届いてしまうと、信用問題に発展し、最悪の場合は継続契約が取り消しになってしまう可能性もあるでしょう。
ファクタリングの仕組みについては「ファクタリングとは?仕組みを図解で解説」の記事を参考にして下さい。
一方、注文書ファクタリングは売掛先に関与しないファクタリング方法となるため、利用通知が届くことはありません。取引先へファクタリングの利用がバレないことで、信頼関係を保ったまま資金繰りの改善が可能です。
そのため、入金サイトを縮めながらも、取引先との関係を保ちたい場合は、注文書ファクタリングが最適と言えるでしょう。
デメリットは手数料が高く個人事業主対象が少ない


注文書ファクタリングのデメリットは、以下の通りです。
それぞれ順に解説します。
2社間ファクタリングなので手数料が比較的高い
注文書ファクタリングの利用形態は、基本的に2社間ファクタリングとなります。2社間ファクタリングは売掛先を通すことなく、利用者とファクタリング会社のみで完結しますが、その分3社間ファクタリングよりも手数料が高く設定されています。
2社間ファクタリングは売掛債権の与信に依存するため、万が一のリスクも踏まえて3社間ファクタリングよりも高い手数料設定と言えるでしょう。
また、注文書ファクタリングの手数料は請求書ファクタリングの2社間契約よりも、高く設定されている可能性が高いです。平均的に5%〜20%程度の手数料設定になるケースが多く、必要コストの割合が高くなる傾向にあります。
注文書ファクタリングを利用する際は、請求書ファクタリングよりも早い段階で資金調達できるメリットがある一方で、手数料を含めたコストがかかるデメリットも考慮しておきましょう。
個人事業主が使えるファクタリングが少ない
注文書ファクタリングは、まだまだ提供しているファクタリング会社が少ないのが現状です。特に個人事業主が使えるファクタリングは少ない傾向にあり、法人化していなければサービス自体が利用できないケースも少なくありません。
また、個人事業主に対して注文書ファクタリングを提供している場合でも、売掛先が個人事業主やフリーランスだと審査に通らないことも多いです。
注文書ファクタリングは請求書ファクタリング以上に売掛先と利用者の信頼性が重要になるため、個人事業主のファクタリングを利用する際は注意が必要でしょう。
注文書ファクタリング5選!審査通りやすいのはココ


注文書ファクタリングを提供している、おすすめのファクタリング会社は以下の通りです。
それぞれ順に解説します。
ビートレーディングは最大買取率98%の実績


審査通過率 | 非公開 |
---|---|
手数料 | 2社間ファクタリング:4%〜12% 3社間ファクタリング:2%〜9% |
契約方法 | 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング |
入金期間 | 最短2時間 |
対象事業者 | 個人事業主・中小企業 |
ビートレーディングは、2024年3月時点で累計買取額が1,300億円、取引実績は5.8万社にのぼるファクタリング会社です。
請求書ファクタリング以外にも、注文書ファクタリングを提供しており、個人事業主や中小企業に関わらずサービスを利用可能。注文書ファクタリングでは2社間ファクタリングを採用し、請求書買取と同様の2%〜9%の手数料で契約が可能です。
ファクタリングの申し込み時には請求書が必要ですが、請求書を発行できるのは、仕事を全て完了させてからです。そのため、本当に資金が必要なタイミングで資金調達ができないお客様もいらっしゃいました。
このような背景を受け、ビートレーディングではさらなる資金調達のスピードアップの観点から、請求書より手前の「注文書」を買取る「注文書ファクタリング」を始めました。
引用:注文書ファクタリング(注文書買取)株式会社ビートレーディング
また、ビートレーディングのファクタリングサービスは申し込みから最短2時間で資金調達が可能です。
契約時はクラウドサインを導入しているため、PC・スマホがあれば完全オンラインで契約締結まで進められます。審査書類は売掛先の入金が確認できる通帳のコピーと売掛債権の2種類だけです。他の書類は不要で契約手続きが可能です。
ビートレーディングの月間契約件数は2024年3月時点で1,000件以上。注文書ファクタリングも同様の審査体制で手続きしている点は、ビートレーディングの大きな特徴と言えるでしょう。
ファクタリングのトライは即日ファクタリングが可能


審査通過率 | 未公開 |
---|---|
手数料 | 3%〜 |
契約方法 | 2社間ファクタリング |
入金期間 | 最短即日 |
対象事業者 | 個人事業主・中小企業 |
ファクタリングのトライは、個人事業主や中小企業向けに請求書・発注書ファクタリングを提供している会社です。
提供する契約形態は2社間ファクタリングとなり、注文書ファクタリングも同様の対応となります。ファクタリングのトライは、顧客に寄り添った真摯な対応を強みとしており、ファクタリングによる資金調達だけではなく、経営パートナーとしてもサポートを提供しています。
また、ファクタリングのトライでは、申し込みからファクタリング即日で資金調達を実現します。請求書・注文書ファクタリングに関わらず、急ぎで資金が必要な場合の事業者に合わせて、スピーディーな対応を提供しています。
ファクタリングのトライが提供するサービスは2社間ファクタリングのみとなるため、売掛先にサービスの利用が知られることはありません。徹底した秘密厳守で資金調達を進められる点は、ファクタリングのトライの強みと言えるでしょう。
さらに、ファクタリングのトライが提供するファクタリングサービスの手数料は3%〜となります。もちろん注文書の金額によって手数料は変動するものの、2社間ファクタリングに関わらずコストを抑えて資金調達が可能です。
ファクタリングのトライは個人事業主・中小企業に関わらず注文書ファクタリングを利用でき、無駄を省いた手続きで契約を進められます。オンラインでも発注書ファクタリングの手続きを進められるため、どのような事業者にもおすすめのサービスと言えるでしょう。
BESTPAYは注文書・発注書に特化のファクタリング


審査通過率 | 未公開 |
---|---|
手数料 | 5%〜 |
契約方法 | 2社間ファクタリング |
入金期間 | 最短翌日 |
対象事業者 | 個人事業主・法人対応(発注書ファクタリングは法人のみ) |
BESTPAYは、注文書・発注書の買取に特化したファクタリング会社です。
注文書・発注書を売掛債権として扱えるため、着手前に現金化が可能です。外注や仕入れ費用に充てられるため、受注拡大に貢献できます。契約時は2社間ファクタリングを採用しているため、売掛先にファクタリング利用がばれることはありません。
また、BESTPAYの注文書ファクタリングはノンリコースで提供しています。買取した売掛債権が万が一、売掛先の倒産や経営不振で回収不可になった場合でも、BESTPAYから利用者に補償を求めることはありません。どのような状況でも、必要書類と条件が整っていれば安心して利用が可能です。
さらに、BESTPAYの注文書ファクタリングは、申し込みから最短翌日に振り込まれます。調達額も100万〜3億円程度まで対応しているため、案件規模に関わらず利用できます。審査に必要な書類は、注文書(発注書)・通帳3ヶ月分・本査定申込書(審査前に取得可能)の3つを提出するだけです。複雑な手続きなしで注文書ファクタリングを利用できる点は、BESTPAYのメリットと言えます。
ただし、BESTPAYの注文書ファクタリングは、法人のみのサービスとなります。個人事業主・フリーランスは注文書ファクタリングは利用できず、請求書ファクタリングのみとなるため、あらかじめ注意しましょう。
けんせつくんは支払いサイトが長い建設業に特化


審査通過率 | 未公開 |
---|---|
手数料 | 5%〜 |
契約方法 | 2社間ファクタリング |
入金期間 | 最短2時間 |
対象事業者 | 個人事業主・中小企業 |
けんせつくんは、建設業に特化した売掛債権の買取に対応している会社です。
建設業界は請求書発行から入金までの期間が長いことが多く、金融機関からの融資手続きには時間と手間がかかります。取引先の中には、過去に支払い遅延があり未回収リスクを不安に感じている事業者も多いでしょう。
けんせつくんなら、請求書・注文書のどちらでも資金調達に利用でき、申し込みから最短2時間で振り込まれます。注文書ファクタリング業界の中でも、トップクラスに入金スピードが早い特徴があります。
請求書も、注文書も、どちらでも調達可能!一般的な請求書だけでなく、発注時の注文書でもOK
引用:建設業界専門のファクタリングサービス | けんせつくん
また、けんせつくんはスマホだけで手続きを進められます。多くのファクタリング会社は対面やPCを利用した手続きしか対応していませんが、けんせつくんはスマホで写真を撮影したりフォームへ入力したりするだけで手続きが可能です。
さらに、けんせつくんは建設業界なら個人事業主・フリーランスに関わらずサービスを利用できます。業界経験者のスタッフがサポートに入るため、初めて利用する場合でも安心して利用できます。手数料も業界最安水準の5%〜から提供しています。建設業界で発注書ファクタリングを利用したい場合はおすすめの会社です。
トップ・マネジメントは法人専用のファクタリング


審査通過率 | 未公開 |
---|---|
手数料 | 3.5%~12.5% |
契約方法 | 2社間ファクタリング |
入金期間 | 最短即日 |
対象事業者 | 法人のみ(月照500万円以上、設立半年以上) |
トップ・マネジメントは、創業から13年以上資金調達に関連するサービスを提供している会社です。
請求書ファクタリングや業界に特化した買取サービス、専用のバーチャル口座による2.5社間ファクタリングなど、他のファクタリング会社にはないサービスを提供している点が特徴です。
トップ・マネジメントは見積書・受注書・発注書に対応してファクタリングサービスも提供しています。見積書・受注書・発注書ファクタリングでは、最低手数料3.5%〜で資金調達が可能です。買取対象は見積書・受注書・発注書のいずれか1点となり、全国どこからでもオンラインで手続きができます。
そんなニーズにお応えするためにトップ・マネジメントが新たなにリリースした「見積書・受注書・発注書ファクタリング」は、請求書が未発行でもファクタリングを実行できる画期的な金融サービスです。 買取対象となるのは「見積書」「受注書」「発注書」のいずれか1点のみ。
引用:トップ・マネジメント | 見積書・受注書・発注書ファクタリング
また、見積書・受注書・発注書ファクタリングは2社間ファクタリングとなるため、売掛先へ通知がいく心配はありません。一般的な発注書ファクタリングは対象の売掛債権が発注書となりますが、トップ・マネジメントは見積書・受注書も対応しています。資金繰りの状況や契約フローに合わせてファクタリングを利用できる点が特徴です。
さらに、見積書・受注書・発注書ファクタリングは最短30分で審査が完了します。審査時間によっては即日入金も可能となるため、すぐに資金が必要な場合でも安心です。ただし、見積書・受注書・発注書ファクタリングは取引実績と取引先の信用を最重視した契約となります。
利用時は月商500万円以上、設立半年以上の条件を満たした法人限定となるため、利用時は注意しましょう。
注文書ファクタリングに関するよくある質問
注文書ファクタリングで手数料が安いのは?
注文書ファクタリングの中で、手数料が安い会社は以下の通りです。
- ファクタリングのトライ
- トップ・マネジメント
上記ファクタリング会社の最低手数料は5%以下となり、注文書ファクタリングの中でもトップクラスに低い水準です。
ファクタリング利用時の手数料が安ければ、コストを抑えて資金調達を進められます。注文書ファクタリングは請求書に比べて高い水準に設定されていることが多いため、上記ファクタリング会社は最適なサービスと言えます。
ただし、利用金額が少なければ、契約時の手数料は高くなります。最低手数料を利用するには、一定の金額で注文書ファクタリングを申し込む必要があるため、あらかじめ注意しましょう。
個人事業主でも使える注文書ファクタリングは?
個人事業主でも利用できる注文書ファクタリングは、以下の通りです。
- ビートレーディング
- ファクタリングのトライ
- けんせつくん
注文書ファクタリングは売掛先だけではなく、利用者の信用も審査に関わりがあるため、法人のみ取り扱い可能としている会社が多いです。その中でも、上記ファクタリング会社は個人事業主でも利用できるため、小規模案件を中心に取り扱っている事業者に最適です。