経営者や個人事業主にとって、税理士は最も身近で信頼できるパートナーの一人です。
税務申告や会計処理はもちろん、資金繰りの改善、節税対策、融資や補助金の相談、経営計画の策定など、事業に直結する幅広い支援を行う存在だからです。
しかし、福岡市をはじめ多くの地域には数えきれないほどの税理士事務所があり、**「どの税理士を選べばよいのか」**迷う方も少なくありません。
そこで本記事では、福岡で税理士を探す経営者・個人事業主の方に向けて、選び方の基準・チェックポイント・税理士のタイプごとの特徴を徹底解説します。
税理士を選ぶ前に知っておきたいこと
まず押さえておきたいのは、「税理士選びは経営の将来に大きく影響する」ということです。
単に料金の安さや事務所の規模で決めるのではなく、自分の事業やライフスタイルに合う税理士かどうかを基準に選ぶことが大切です。
福岡には、地域に根差した個人事務所から大手の税理士法人まで幅広い事務所があります。大規模な事務所は体制が整っており安心感がありますが、担当者が頻繁に変わる可能性もあります。
一方、小規模事務所はきめ細やかな対応が期待できますが、提供できるサービス範囲が限られる場合もあります。
つまり、**「自分に合う税理士=経営のパートナーとして信頼できる存在」**を見極めることがポイントなのです。
福岡で税理士を選ぶ際のチェックポイント
1. 税理士資格を持っているか
当然のことながら、有資格者が対応する事務所を選ぶことは必須です。
税理士は国家資格であり、試験合格や大学院修了、税務署での実務経験を経て登録されます。
中には「無資格のスタッフが中心に対応している」という事務所もあるため、必ず確認しましょう。
信頼できる税理士は、名刺や事務所概要に所属する税理士会・登録番号を明記しています。
2. 地域に精通しているか
税制そのものは全国共通ですが、地域ごとの経済事情や商習慣に精通していることは大きな強みです。
例えば福岡市はスタートアップ支援が活発で、創業支援制度や地元金融機関の動きに詳しい税理士は心強い存在になります。
また、地元不動産に関する知識や、地域特有の業種(飲食・観光・ITなど)への理解も重要です。
**「福岡の企業が直面する課題を理解しているか」**は、実際に相談してみて見極めると良いでしょう。
3. 実績と信頼性
ホームページの情報、口コミ、顧問先の声を参考に、どのような実績を積み重ねているかを確認しましょう。
特に長年同じ顧客と顧問契約を続けている事務所は、信頼性が高いと言えます。
福岡には新しい事務所も増えていますが、創業間もない場合でも代表者のキャリアや実務経験を確認すると安心です。
4. 専門分野との適合性
税理士にはそれぞれ得意分野があります。
法人顧問を得意とする税理士もいれば、相続や事業承継、医療業界、不動産業界に強い税理士もいます。
自分のビジネスモデルや今後の事業展開を考えた上で、**「自分に必要な専門性を持っているか」**を確認しましょう。
5. コミュニケーション能力
いくら専門知識があっても、難しい言葉ばかりで説明されては意味がありません。
経営者に寄り添い、わかりやすく丁寧に説明してくれる税理士こそ信頼できるパートナーです。
また、相談しやすい雰囲気や人間性も大切な判断基準です。
税理士はお金に関する最も大事な情報を共有する相手ですから、信頼して話せるかどうかを面談で確認しましょう。
6. デジタル対応力
今の時代、クラウド会計や電子申告に対応できるかどうかは必須条件です。
freee、マネーフォワード、弥生会計など、主要なクラウド会計ソフトに対応できる税理士を選べば、日々の経理負担が軽減され、経営に専念できます。
特に福岡市のスタートアップやIT業界では、クラウド会計に強い税理士が求められています。
7. 料金の透明性
料金体系が不明瞭なまま契約してしまうと、後々トラブルにつながります。
顧問料の金額、業務範囲、追加料金の有無を事前に確認しましょう。
良心的な税理士事務所は、見積もりを明示し、わかりやすい説明をしてくれるはずです。
8. 口コミ・評判のチェック
最後に、実際の利用者の声を確認しましょう。
オンラインのレビューや、同業者からの紹介は信頼性が高い情報源です。
ただし口コミはあくまで参考にとどめ、最終的には自分自身で面談して判断することが重要です。
税理士のタイプ
一般的に税理士は大きく分けると三つのタイプに分けられます。

- 低価格型・・・必要最低限のサービスで低価格
- 付加価値型・・・定期訪問、資金繰り・節税などのアドバイスを実施
- 特化型・・・相続専門、医療系専門、不動産専門など特定業種に特化

それぞれのタイプの税理士ってどんな感じ?



自分に合った税理士はどのタイプの税理士?
低価格型
低価格型と呼ばれる税理士事務所は、サービスを必要最低限に絞ることでコストを抑え、リーズナブルな料金体系を実現している点が特徴です。主な業務内容は、会計ソフトへの入力サポート、メールや電話を通じた基本的な税務相談、確定申告や法人税申告などの申告書作成業務などに限定されます。顧問先を訪問する頻度は少なく、やり取りもオンラインや電話を中心とするケースが多いため、比較的簡易な形で依頼できるのがメリットです。
こうした低価格型のサービスは、売上規模が小さい個人事業主や従業員数の少ない法人、毎年の取引内容に大きな変化がない業種に向いています。例えば、フリーランスのクリエイターや小規模な飲食店、日常的に複雑な会計処理を必要としない小規模事業者にとっては、コストを抑えつつ最低限のサポートを受けられるため十分な選択肢となります。
福岡市内でも近年は低価格型の税理士法人や個人事務所が増えており、特に「コストを最優先したい」「まずは税理士に依頼する入口として利用したい」という方に選ばれています。ただし、サービス範囲が限られるため、事業の成長や経営上の課題が増えた際にはサポートが不足する可能性がある点も理解しておく必要があります。
付加価値型
付加価値型の税理士事務所は、単なる申告や記帳代行にとどまらず、経営全体を支えるアドバイザーとしての役割を果たします。定期的に経営者のもとを訪問したり、来所していただいたりしながら、現状のヒアリングや課題の分析を行い、今後の資金繰り、節税のタイミング、経営計画の立案など、幅広いサポートを提供します。
特に、事業規模が拡大している企業や新規事業の立ち上げを検討している経営者にとっては、この付加価値型のサービスが大きな助けとなります。黒字経営であっても資金繰りが悪化してしまうケースや、設備投資の時期を誤ることで資金ショートを起こすリスクは決して珍しくありません。こうした経営課題に対して、税理士が経営者の目線で資金計画や融資のアドバイスを行うことで、企業の安定した成長につながります。
福岡市でも中小企業の成長やスタートアップ支援に力を入れている背景から、付加価値型の税理士事務所は特に注目を集めています。**「長期的に経営のパートナーとなってくれる税理士を探している」**という経営者には、このタイプの事務所が最適です。
特化型
特化型の税理士事務所は、特定の業種や分野に絞って専門的なサービスを提供する点が最大の特徴です。一般的な税務顧問に加え、相続税申告、医療業界向けの経営支援、不動産投資や賃貸業に関する税務相談、飲食業に特化した会計処理など、それぞれの分野で深い知識と豊富な経験を持っています。
例えば、相続に強い税理士であれば、相続税の申告はもちろん、生前贈与や遺産分割のアドバイスまでトータルで対応可能です。医療業界専門であれば、クリニック開業や医療法人化に関する相談に強く、不動産専門であれば、不動産売買や資産管理に関する複雑な税務処理に精通しています。
福岡市内にも「相続専門」「医療専門」「不動産専門」などの特化型税理士が存在し、それぞれの業界で強い信頼を築いています。事業やライフステージに応じて、**「その分野に強い税理士を選ぶ」**ことは、将来的に大きな安心とメリットをもたらします。ただし、他分野には対応が弱い場合もあるため、自分のニーズと合致しているかどうかを事前に確認することが重要です。


野村税理士事務所代表 野村真一
税理士業界20年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。


