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一時所得を確定申告しないとどうなるの?一時所得のチェックリストと計算方法を紹介

「生命保険の満期金を受け取ったけれど、確定申告は必要?」「競馬で大きく当たった。申告しないとどうなるの?」「懸賞で賞金をもらったけれど、これも税金がかかる?」

一時所得は、給与や事業のように毎年決まって入ってくる収入ではないため、確定申告が必要かどうか迷いやすい所得です。うっかり申告を忘れると、あとから加算税や延滞税がかかることもあります。

結論からお伝えすると、一時所得は「(収入-支出-特別控除50万円)×2分の1」で計算し、会社員ならこの金額がほかの副収入と合わせて20万円を超えると確定申告が必要です。申告が必要なのに放置すると、無申告加算税や延滞税がかかり、税務署に把握される仕組みもあるので、気づいた時点で早めに申告しましょう。

この記事では、一時所得に当たるもの・当たらないもののチェックリスト、計算方法と具体例、確定申告が必要になるケース、申告しない場合のリスクと対処法まで、福岡の税理士がわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 一時所得の意味と、雑所得・譲渡所得・贈与税との違い
  • 一時所得に当たるもの・当たらないもののチェックリスト
  • 一時所得の計算方法と、立場ごとの確定申告が必要な基準
  • 確定申告しない場合のリスクと、忘れたときの対処法

目次

一時所得とは?3つの条件で判断する

一時所得とは:継続的な営利行為から生じない、労働やモノを売った対価でない、懸賞・満期保険金・払戻金など

一時所得とは、懸賞の賞金や生命保険の満期保険金のように、偶然に、一時的に得たもうけのことです。所得税法では、次の3つの条件をすべて満たす所得を一時所得としています(国税庁 タックスアンサーNo.1490)。

  1. 営利を目的とする継続的な行為から生じた所得ではない(商売や副業として繰り返し行っているものではない)
  2. 労働や役務(サービス)の対価ではない(働いた報酬や仕事の謝礼ではない)
  3. 資産を売った対価ではない(土地や株式などを売ったお金ではない)

所得税では、所得を性質ごとに10種類(利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑)に分けて計算します。一時所得は、このうちの一つで、ほかのどの所得にも当てはまらない「一時的なもうけ」が該当します。

雑所得・譲渡所得との違い

同じように「副業以外の臨時収入」に見えても、仕事の対価なら雑所得(または事業所得)、資産を売って得たお金なら譲渡所得になります。たとえば、知人の仕事を手伝ってもらった謝礼は労務の対価なので、一時所得ではなく原則として雑所得です。不動産や車などを売ったもうけは譲渡所得です。

区分を間違えると、特別控除(50万円)や2分の1にする計算が使えるかどうかが変わり、税額が大きく違ってきます。迷ったときは税務署か税理士に確認しましょう。

贈与税との違い

個人から財産をもらったときは、所得税ではなく贈与税の対象になります。一方、会社などの法人から贈与された金品は、贈与税ではなく一時所得(業務に関するものは給与所得や事業所得など)として所得税の対象です。誰からもらったかで税金の種類が変わる点に注意しましょう。

一時所得に当たるもの・当たらないもの【チェックリスト】

受け取ったもの所得の区分ポイント
懸賞・福引き・クイズの賞金品一時所得品物は時価で収入に計上
競馬・競輪・競艇・オートレースの払戻金原則、一時所得営利目的で継続的に購入している場合などは雑所得になることも
生命保険の満期保険金・解約返戻金(一時金)一時所得保険料を負担した人と受取人が同じ場合
損害保険の満期返戻金一時所得保険料を負担した人と受取人が同じ場合
法人から贈与された金品一時所得業務に関するものや継続的なものは除く
借家人が受け取る立退料原則、一時所得事業の休業補償などの部分は事業所得
落とし物を届けたお礼(報労金)一時所得遺失物拾得者・埋蔵物発見者の報労金
ふるさと納税の返礼品一時所得返礼品の価額が対象。ほかの一時所得と合算して判断
宝くじの当せん金・toto非課税確定申告は不要
仕事を手伝った謝礼雑所得など労務の対価なので一時所得ではない
土地・建物・車などの売却益譲渡所得資産の譲渡の対価なので一時所得ではない
個人(親など)からもらったお金贈与税の対象年110万円の基礎控除あり

出典:国税庁 タックスアンサーNo.1490「一時所得」、e-Gov法令検索「所得税法」第34条をもとに作成

「一時的な売却益」や「謝礼金」も一時所得だと思われがちですが、上の表のとおり、資産の売却益は譲渡所得、仕事の謝礼は雑所得などになるのが原則です。一時所得かどうかは、受け取ったお金の性質で判断します。

生命保険の満期金は「誰が保険料を払ったか」で税金が変わる

生命保険の満期保険金は、保険料を払った人(契約者)と受取人が同じなら一時所得として所得税の対象です。一方、保険料を払ったのが夫で受取人が妻というように、保険料の負担者と受取人が違う場合は、贈与税の対象になります。被保険者が亡くなって受け取る死亡保険金は、契約の形によって相続税・所得税・贈与税のいずれかになります。

競馬の払戻金とはずれ馬券

競馬の払戻金は原則として一時所得です。このとき、収入から差し引けるのは「その当たり馬券の購入代金」だけで、はずれ馬券の購入代金は差し引けません。ただし、馬券を自動的・機械的に継続して購入し、多額の利益を上げているような場合には、はずれ馬券を含めて経費にできる雑所得とされた裁判例もあります。個別の判断が必要なので、大きな払戻金を受けたときは税理士に相談しましょう。

一時所得の計算方法と具体例

一時所得の計算の流れ

STEP 01
総収入金額
賞金・満期保険金・払戻金などの合計
STEP 02
支出した金額を引く
その収入を得るために直接かかったお金
STEP 03
特別控除を引く
最高50万円(年間で1回)
STEP 04
2分の1にする
この金額をほかの所得と合計

一時所得の金額は、次の式で計算します(国税庁 タックスアンサーNo.1490)。

一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

課税の対象になる金額(総所得金額に合算する金額)=一時所得の金額×2分の1

ポイントは、特別控除の50万円を差し引いた後、さらに2分の1にしてから、給与所得などのほかの所得と合計して税額を計算することです。特別控除はその年の一時所得全体で最高50万円なので、1年間に一時所得が複数ある場合は、すべて合計してから50万円を差し引きます。

差し引ける「支出した金額」は、その収入を得るために直接かかったお金だけです。生命保険の満期保険金なら払い込んだ保険料の総額、懸賞なら応募のために直接かかった費用などが該当します。

計算例①:生命保険の満期保険金を受け取った会社員

項目金額
満期保険金(総収入金額)600万円
払い込んだ保険料の総額480万円
特別控除50万円
一時所得の金額(600万-480万-50万)70万円
総所得金額に合算する金額(70万円×1/2)35万円

この場合、給与以外の所得が35万円となり、20万円を超えるため確定申告が必要です。所得税率が10%の人なら、所得税は約3.5万円(別途、復興特別所得税)、住民税は約3.5万円が目安です。

税理士のひとこと:満期保険金は払い込んだ保険料を差し引けるので、思ったより所得が小さくなることもあります

計算例②:懸賞で80万円の賞金を受け取った場合

応募のために直接かかった費用がないとすると、一時所得の金額は80万円-50万円=30万円、総所得金額に合算する金額は30万円×2分の1=15万円です。会社員で、ほかに副収入がなければ20万円以下なので、所得税の確定申告は不要です(住民税の申告は必要です)。

なお、広告宣伝のための賞金で50万円を超えるものは、支払う側が(賞金額-50万円)×10.21%を源泉徴収することになっています。源泉徴収された分は、確定申告をすると精算できます。

よくある計算の間違い

たとえば一時所得の収入が100万円、支出した金額が10万円の場合、「100万-10万-50万=40万円が課税対象」と考えてしまいがちですが、実際に総所得金額に合算するのは(100万-10万-50万)×2分の1=20万円です。2分の1にするのを忘れると、申告が必要かどうかの判断も税額も変わってしまいます。

一時所得で確定申告が必要になるケース

あなたの立場確定申告が必要になる目安
会社員(給与1か所・年末調整済み)一時所得の2分の1の金額と、ほかの副収入(給与・退職所得以外の所得)の合計が20万円を超える
給与の年間収入が2,000万円を超える人一時所得の金額にかかわらず確定申告が必要
2か所以上から給与を受けている人年末調整されなかった給与とほかの所得の合計が20万円を超える
公的年金を受け取っている人公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら所得税の申告は不要
個人事業主・無職の人など一時所得を含めた所得の合計から所得控除を差し引いて、所得税がかかる場合

出典:国税庁 タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」ほか

よく「一時所得が20万円を超えると確定申告が必要」といわれますが、これは主に会社員(給与所得者)に当てはまるルールです。20万円の判定は、特別控除と2分の1を適用した後の金額で行い、一時所得だけでなく副業の雑所得などほかの所得と合計して判断します。

個人事業主や専業主婦(主夫)の場合

会社員以外の人は、20万円の基準ではなく、1年間の所得の合計から基礎控除などの所得控除を差し引いて所得税がかかるかどうかで判断します。2026年分(令和8年分)は、令和8年度税制改正で基礎控除が引き上げられ、合計所得金額489万円以下の人は104万円になります(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。

たとえば、ほかに所得のない専業主婦が満期保険金を受け取り、合算する金額が35万円だった場合、基礎控除の範囲内なので所得税はかからず、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税は所得税とは基準が違うため、市区町村への申告が必要になることがあります。

配偶者控除・扶養の判定に影響することも

一時所得は、配偶者控除や扶養控除の所得要件の判定にも含まれます。2026年分から、配偶者控除・扶養控除の対象になる所得要件は合計所得金額58万円以下から62万円以下に引き上げられましたが、一時所得の2分の1の金額を加えた結果これを超えると、世帯主が配偶者控除を受けられなくなる場合があります(配偶者特別控除の対象になる場合もあります)。満期保険金を受け取った年は、年末調整の申告内容も見直しましょう。

▶ あわせて読みたい:【2026年度税制改正】扶養の所得要件が62万円に|配偶者・学生・ひとり親

一時所得を確定申告しないとどうなる?4つのリスク

無申告加算税などの割合のグラフ:調査の通知前の自主申告は5%、調査の通知後は10%、決定は15%、重加算税は40%

確定申告が必要なのに申告しないまま放置すると、本来の税金に加えて、次のようなペナルティがかかる可能性があります。

リスク①無申告加算税がかかる

期限までに申告しなかった場合は、無申告加算税がかかります。割合は、いつ申告したかによって変わります(国税庁 タックスアンサーNo.2024)。

  • 税務署の調査の通知前に自主的に申告した場合:5%
  • 調査の通知後、調査による決定の前に申告した場合:10%(50万円超300万円以下の部分は15%、300万円超の部分は25%)
  • 税務署の調査により決定を受けた場合:15%(50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%)

「50万円までは15%、50万円を超える部分は20%」という説明を見かけることがありますが、これは調査で決定を受けた場合の割合です。2024年(令和6年)1月1日以後に申告期限が来るものからは、300万円を超える部分に30%の区分も設けられています。一方、自主的に期限後申告をした場合は5%に軽減され、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告するなど一定の要件を満たせば、無申告加算税がかからないこともあります。

リスク②延滞税がかかる

納付が遅れると、法定納期限の翌日から納付した日までの日数に応じて延滞税がかかります。期限後申告の場合は、申告書を提出した日が納期限になるため、申告と同時に納付するのが基本です。延滞税の計算は、国税庁の「延滞税の計算方法」のページで確認できます。

リスク③悪質な場合は重加算税

収入を隠したり、書類を偽造したりして申告しなかった場合は、無申告加算税に代えて税額の40%の重加算税がかかります(申告はしたが内容を仮装・隠ぺいした場合は35%)。過去5年以内に同じような加算税を受けている場合は、さらに10%加重されます。

リスク④刑事罰の対象になることも

偽りその他不正の行為によって税金を免れた場合や、故意に申告書を提出しなかった場合は、脱税として刑事罰(懲役や罰金)の対象になることもあります。うっかり忘れと意図的な隠ぺいでは扱いがまったく違うので、気づいた時点で正直に申告することが大切です。

一時所得は申告しなくてもバレる?税務署が把握する仕組み

申告しなくても税務署は把握できる:保険会社などから支払調書、銀行口座の入金記録、申告漏れは5年さかのぼる

「一時所得は一度きりだから、税務署にはわからないだろう」と考える方もいますが、そうとは限りません。税務署は、さまざまな資料から個人の収入を把握しています。

保険会社から税務署へ支払調書が出される

生命保険会社は、1回の支払金額が100万円を超える満期保険金などの一時金を支払ったとき、「生命保険契約等の一時金の支払調書」を税務署に提出しています。損害保険の満期返戻金などにも同じような支払調書の制度があります。税務署はこれらの資料と確定申告の内容を照らし合わせることができます。

預金口座の入金や高額な買い物から判明することも

大きな払戻金や賞金が口座に入金されたり、その資金で不動産や車などの高額な資産を買ったりすると、税務調査の際にお金の出どころを確認されることがあります。競馬の払戻金も、大きな金額を受け取った場合は例外ではありません。

申告漏れは、原則として法定申告期限から5年間(偽りや不正がある場合は7年間)さかのぼって課税されることがあります。何年も前の一時所得でも、時効が来るまでは安心できません。

▶ あわせて読みたい:確定申告の申告漏れは少額でもバレる?バレる理由とペナルティ、修正申告の流れを解説

一時所得の申告を忘れた・間違えたときの対処法

申告を忘れた・間違えたときの対処:状況を確認、期限後申告、修正申告、更正の請求、すぐに納付

一時所得の申告を忘れていた、または申告内容が間違っていたと気づいたときは、状況に応じて次の手続きを行います。

状況手続きポイント
確定申告書を出していなかった期限後申告調査の通知前なら無申告加算税は5%に軽減
申告したが一時所得を入れ忘れた(税金が少なかった)修正申告調査の通知前に自主的に行えば過少申告加算税はかからない
申告した税金が多すぎた更正の請求原則、法定申告期限から5年以内

「修正申告をすれば払いすぎた税金が戻る」「修正申告をすれば延滞税もかからない」と誤解されることがありますが、税金を多く納めすぎていた場合に還付を受ける手続きは「更正の請求」です。修正申告は、税金が少なかった場合に正しい税額に直す手続きで、自主的に行えば過少申告加算税はかかりませんが、延滞税は納付が遅れた期間に応じてかかります(国税庁 タックスアンサーNo.2026)。

申告に必要な書類

  • 一時所得の収入がわかる書類(保険会社の支払通知書、賞金の支払明細など)
  • 収入を得るために支出した金額がわかる書類(払込保険料の証明、購入記録など)
  • 源泉徴収票(会社員の場合)、各種控除の証明書
  • マイナンバーカード(e-Taxで申告する場合)

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、一時所得の欄に収入金額と支出した金額を入力すると、特別控除と2分の1の計算が自動で行われます。マイナンバーカードがあれば、スマホからe-Taxで送信できます。

税理士のひとこと:申告を忘れていたと気づいたら、税務署から連絡が来る前に自分から申告するのがいちばんです

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まとめ

まとめ:50万円控除後の2分の1で判定、会社員は20万円超で申告、気づいたら早めに自主申告

一時所得は、懸賞の賞金や生命保険の満期保険金、競馬の払戻金など、偶然に得た一時的なもうけです。(収入-支出-特別控除50万円)×2分の1の金額をほかの所得と合計して税額を計算します。

会社員なら、この金額とほかの副収入の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。会社員以外の人は、所得の合計から基礎控除(2026年分は合計所得489万円以下なら104万円)などを差し引いて所得税がかかるかどうかで判断します。

申告が必要なのに放置すると、無申告加算税や延滞税がかかり、悪質な場合は重加算税や刑事罰の対象にもなります。気づいた時点で、税務署から連絡が来る前に自主的に申告しましょう。

一時所得の申告で迷ったら

福岡の野村税理士事務所では、満期保険金や払戻金などの一時所得を含む確定申告から、申告漏れに気づいたときの期限後申告・修正申告までサポートしています。個人事業主の方には、freee認定アドバイザーとしてクラウド会計の導入をお手伝いし、毎月の数字をAIで分析する「AI月次分析レポート」で、税金の見通しを早めにお伝えします。

参考資料:国税庁 タックスアンサーNo.1490「一時所得」/国税庁 タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」/国税庁 タックスアンサーNo.2024「確定申告を忘れたとき」/国税庁 タックスアンサーNo.2026「確定申告を間違えたとき」/国税庁「延滞税の計算方法」/e-Gov法令検索「所得税法」/財務省「令和8年度税制改正の大綱(個人所得課税)」

※本記事は2026年9月時点の公表情報をもとに作成しています。税額の計算例は目安であり、個別の状況によって結果は異なります。具体的な判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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執筆者
野村税理士事務所 代表 野村真一
野村 真一

野村税理士事務所代表 野村真一

税理士業界23年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。

YouTube・TikTokでは「税理士のむさん」として、税金・会計のポイントを短い動画で解説しています。
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