開業支援とは
開業支援とは、新たな事業を立ち上げる際に、開業に必要な知識やスキル、資金調達、法律や税務に関するアドバイスなどを提供するサービスのことです。開業支援は、起業家が成功しやすい環境を整えるために重要な役割を果たします。
開業支援の種類5つ
以下に、開業支援の主な形態をいくつか紹介します。
- 起業支援機関やビジネスインキュベーター
地方自治体や経済団体が運営する起業支援機関やビジネスインキュベーターは、開業に関する相談やセミナー、ネットワーキングイベントなどを提供しています。また、オフィススペースや共有施設の提供も行っていることがあります。 - 税理士・会計士・弁護士などの専門家
開業に関する法律や税務、会計の知識やアドバイスが必要な場合、専門家に相談することができます。これらの専門家は、開業に関する手続きや法律遵守、税務対策などをサポートします。 - 銀行や信用金庫などの金融機関
開業資金を調達するために、金融機関から融資を受けることができます。また、金融機関は、開業に関する相談や事業計画の作成支援なども提供しています。 - 助成金や補助金
国や地方自治体が提供する助成金や補助金を活用することで、開業に必要な資金調達や費用負担を軽減することができます。助成金や補助金の対象となる事業や条件を確認し、申請手続きを行いましょう。 - メンター制度
経験豊富な起業家や専門家がメンターとなり、開業に関するアドバイスや指導を行う制度です。メンター制度を利用することで、実践的な知識やスキルを身につけることができます。
開業・会社設立のポイント
開業・会社設立をするためには、いくつかのポイントを押さえておかなければいけません。
福岡の野村税理士事務所では、開業・会社設立にかかわる税務関係の手続きの代行を行っていますので、ご気軽にご相談ください。
特に、青色申告を行うための「青色申告承認申請書」のように申請期限が定められているものがありますので、お早めにご注意ください。
事業目的を明確に
開業・会社設立のポイントの1つは、まず「事業目的が明確」であることです。
とりあえず会社を作りたいという相談をよく受けますが、漠然とお金儲けをしたいから会社を作るのではなく、やりたいことがあるから会社を作るような状態でないと会社はなりたっていきません。
つまり、事業目的を明確にすることが会社経営をする上で重要な第一歩になります。
自分のニーズに合った支援を選ぶ
開業支援は様々な形態がありますので、自分の事業やニーズに合った支援を選ぶことが重要です。例えば、資金調達が最も重要な課題であれば、金融機関や助成金・補助金の活用を検討しましょう。
早期から支援を受ける
開業準備は時間がかかることが多いため、早期から開業支援を受けることが望ましいです。早期に支援を受けることで、開業に向けた計画を立てやすくなります。
必要経費を検討
事業目的がはっきりしている場合は、どれぐらいお金がかかるかを考えなければなりません。
会社経営をする場合にはお金はかかるものの、1人で経営することを考えるならばそこまで大きなお金を必要としない場合もあります。
例えば、地代家賃を節約するために自宅を事務所にしても問題ありません。ただし、マンションなどは事業用としての利用が禁止されている場合がありますので、事前に確認が必要ですし、家族と話し合いを良くしておくことが重要です。無断で自宅を会社の住所にすると、後でトラブルになりかねませんので注意しましょう。
固定費の検討
資金に関しては、ある程度必要になるものの、外部に事務所やテナント代を必要とせず、1人で経営する場合はほとんど固定費は必要としません。
しかし、地代家賃を支払う場合は、売上が入るまでの固定費を捻出できる資金が事前に必要です。
人件費を検討
地代家賃がない場合でも、人を雇う場合にはそれなりのお金はかかります。売上が入るまでの数か月の人件費等のことも考えておかなければいけません。
設備・備品の検討
設備や備品なども検討しましょう。
これらを導入する場合には、新品・中古品の検討のほか、購入・リースの検討が必要です。
初期費用は新品より中古品、購入よりリースの方が安く済ませることができるものの、長期的に考えれば損をするケースもあります。
この点をよく計算せずに人からリースを勧められたかと言ってそれをそのまま信じてしまうのは危険です。周りに経営者等がいれば様々な人から話を聞いた後に判断しましょう。
変動費の検討
サービス業のように仕入れがない場合もありますが、卸売業、小売業、製造業、建設業などのように仕入れを必要とする業種も多くあります。
卸売業や小売業のように在庫を抱える必要がある場合や、製造業や建設業のように売上が経つまでに時間を要する場合は仕入代金の支払いから売上代金の入金まで数か月~数年要する場合もあります。
その場合には、金融機関からの資金融資が必要となります。
運転資金、設備投資資金のほか開業・会社設立時のみ優遇される創業融資制度などがありますので、福岡の野村税理士事務所にお早めにご相談ください。
情報収集を怠らない
開業支援に関する情報は多岐にわたりますので、定期的に情報収集を行い、最新の情報を把握しましょう。インターネットや専門書籍、セミナーなどを活用して情報収集を行いましょう。
ネットワーキングを大切にする
開業支援機関やビジネスインキュベーターなどで開催されるネットワーキングイベントに積極的に参加し、他の起業家や専門家と交流しましょう。ネットワーキングを通じて、有益な情報やアドバイスを得ることができます。
会社設立の手続き
個人事業者のように法務局に設立の登記を必要としない場合もありますが、法人を設立する場合には、登記をしなければいけません。法人設立登記は専門的な知識が必要となりますので、司法書士に依頼するのが良いでしょう。
株式会社の場合、250,000~300,000円程度かかるため、その分のお金は事前に用意しておきましょう。
事業の形態によっては、株式会社とせず、登記費用が少なく済む法人設立もできますので、検討が必要です。例えば合同会社などは100,000円前後で設立が可能です。
法人設立支援の種類5つ
以下に、法人設立支援の主な形態とサービス内容を紹介します。
- 法律・税務に関する支援
弁護士や税理士、司法書士などの専門家が、会社設立に関する法律や税務のアドバイスを提供します。これには、会社の種類や設立要件、必要書類の作成、登記手続きなどが含まれます。 - 資金調達支援
銀行や信用金庫、ベンチャーキャピタルなどの金融機関や投資家からの資金調達をサポートします。これには、事業計画書の作成やプレゼンテーションの準備、融資交渉などが含まれます。 - 会計・経営コンサルティング
会計士や経営コンサルタントが、経営戦略や財務管理、人事労務などの面でのアドバイスを提供します。これには、財務計画や予算策定、組織運営の指導などが含まれます。 - 助成金・補助金の活用支援
国や地方自治体が提供する助成金や補助金を活用するためのサポートを行います。これには、適切な助成金・補助金の選定、申請書類の作成、申請手続きのサポートなどが含まれます。 - ビジネスプランニング支援
事業計画書の作成やマーケット調査、競合分析などの支援を行います。これには、事業アイデアの検討やマーケティング戦略の策定などが含まれます。
法人設立支援を利用する際には、自分のニーズや課題に合ったサービスを選ぶことが重要です。また、専門家や支援機関と密にコミュニケーションを取り、適切なアドバイスやサポートを受けることが重要です。
福岡市の特定創業支援等事業
内容 | 詳細 |
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概要 | 福岡市では、国の認定を受けて、創業支援セミナーや個別創業面談を受けられる制度があります。 創業に必要な4つの知識(経営・財務・販路拡大・人材育成)が身につきます。 福岡市が発行する受講の証明書を活用して、国などが提供する様々なメリットを受けることができます。 |
証明書の発行対象者 | 特定創業支援等事業の受講を修了した方で、下記のいずれかに当てはまる方が対象となります。 (1)これから初めて事業を営む個人(現在、事業を営んでいない個人) (2)個人事業開始から5年を経過してない個人事業主 |
メリット | 1.設立する会社が株式会社又は合同会社の場合 資本金の0.7%の登録免許税が0.35%に軽減されます (最低税額の場合、株式会社設立は15万円が7.5万円に軽減)。 2.設立する会社が合名会社又は合資会社の場合 1件につき6万円の登録免許税が3万円に軽減されます。 (注)会社設立前に証明書を取得し、法人登記時に法務局へ提出する必要があります。 3.その他複数のメリットがあります。 |
公式サイト | 上記は、概要ですので、福岡市の特定創業支援等事業の公式サイトをご確認ください。 |
法人設立支援を活用する5つのポイント
以下に、法人設立支援を上手に活用するためのポイントをいくつか紹介します。
- 自分のニーズを明確にする
会社設立にあたって、何が最も重要な課題であるかを明確にしましょう。法律や税務、資金調達、経営戦略など、どの分野での支援が必要かを把握することが重要です。 - 専門家や支援機関をリサーチする
会社設立支援の提供者は多岐にわたりますので、自分のニーズに合った専門家や支援機関を見つけることが重要です。インターネットや口コミ、業界団体などで情報収集を行いましょう。 - 複数の提供者から見積もりを取得する
複数の専門家や支援機関から見積もりを取得し、サービス内容や料金を比較検討しましょう。これにより、コストパフォーマンスの高い支援を受けることができます。 - 信頼できる専門家との関係を築く
会社設立支援は、長期的なパートナーシップを築くことが望ましいです。信頼できる専門家との良好な関係を築くことで、継続的なサポートを受けることができます。 - 適切なタイミングで支援を受ける
会社設立のプロセスは時間がかかることが多いため、早期から支援を受けることが望ましいです。計画段階から専門家や支援機関と連携することで、効果的な支援を受けることができます。
会社設立支援を上手に活用することで、新規事業の立ち上げや運営におけるリスクを軽減し、成功確率を高めることができます。適切な支援を受けることで、スムーズな会社設立を実現しましょう。
会社設立前の注意点
会社設立をする前には、会社において基本的な事柄である、目的、会社名、資本金額などを決めて定款作成及び登記を行います。
余裕があるうちに予め決めておかなければならない点について明瞭にしつつ、会社用の印鑑も実際に登記する前段階に作らなければなりません。
会社名は商号という呼び名で扱われる事例が多く自由に名付ける事ができるものの、大切なのは同一の住所に対して同じ商号が存在しない方がベストです。
そのため、予め本店所在地の対象になっている法務局にて類似商号が存在していない事を確かめておくのが大切なのですが、同様に商号を取り扱う時には合わせて気を配る事があります。
不正競争防止法が関係しており、不正競争防止法では業種が異なるのにも関わらず、他の業種の印象が強く持たれる名称を用いる事はできないと決められています。
また、会社設立における登記の手続きを進めていく段階では提出をする書類に対して代表印を押印する必要があるので、書類を手がけて提出する段階では既に代表者印を作っておく必要があります。
今日では迅速性に長けた方法で印鑑を作る事もできますが、これから長い年月にわたって事業を進めていく事を考えれば、当初からしっかりとした印鑑を作って所有しておいた方が良いです。
納得いく印鑑は作成を依頼して完成するまでに時間を要することもあるので、書類を手がけて提出する時までに間に合うように余裕を持って印鑑を早めに作っておきましょう。
さらに、社外からのイメージにも関わる資本金も会社設立の時に考える事であり、資金が大きい方が体力があると捉えられますが、長い目で経営面を見て現実的に考えていきましょう。
登記申請書や印鑑届書、定款などの書類を準備する事ができたら資本金を払い込んでから2週間を超えないうちに法務局に対して登記申請を行いますが、登記申請は司法書士に依頼するのが一般的です。資格を持たない者が引き受けている場合もありますので、「にせ司法書士」に注意しましょう。
会社設立後の注意点
会社設立後も様々なことを行う必要があります。
税理士に関するものであれば、税務関係の届出書、申請書の提出です。何れも期限があるため、開業・会社設立が終わっている場合は早急にご相談ください。
また、個人事業者と違って、経営者自らも給料という形で報酬を受け取りますが、法人役員は届出はいらないものの、事前に役員報酬を定めておく必要があります。そうでない場合は損金として取り扱う事ができません。
会社設立をして間もない企業において役員報酬は、あらゆる費用の中で突出して金額が大きい事例も稀有ではないことから入念に考える必要がありますし、決めた役員報酬の金額によって会社が支払う税金や社長が支払う税金が大きく変化します。
野村税理士事務所代表 野村真一
税理士業界20年、野村税理士事務所代表でfreee認定アドバイザー。日本税理士会連合会、九州北部税理士会所属。認定経営革新等支援機関の認定事業者として事業再構築補助金の申請支援を行う。