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事業承継にかかる費用はいくら?手数料や課税される税金について解説

事業承継にかかる費用はいくら?手数料や課税される税金について解説

「事業承継にかかる費用っていくらくらいかかるの?」「事業承継の際に発生する手数料や税金について知りたい」

そう思う方もいるのではないでしょうか。

事業承継の費用は、事業規模や承継方法によって大きく異なりますが、適切な対策を行うことで費用を最小限に抑えることが可能です。

今回は、事業承継にかかる主な費用である相続税、贈与税、専門家への相談料などについて詳しく解説するとともに、費用を抑えるための対策についてもご紹介します。

目次

事業承継の主な費用

事業承継にかかる主な費用とその税率は次のとおりです。 

課税対象税率
相続税人が亡くなったときに相続した財産累進課税
贈与税人から譲り受けた資産累進課税
法人税法人が得た利益23.4%
※中小企業は利益の800万円まで15%
消費税商品やサービスの販売10%
※軽減税率が適用のものは8%
登録免許税
不動産所得税
会社や不動産の登記変更時にかかる費用
および取得した不動産
・合併の手続き:0.2%
・会社分割の手続き:0.4%
・その他の手続き:1.6%
・土地や建物の取得:2.5%
・住宅以外の家屋の取得:3.3%
※事業承継税制が適用される場合

これらの費用は事業規模や承継方法、承継者の状況などによって大きく変動するため、事前に綿密な計画を立て、費用を把握しておくことが重要です。

相続税

相続税は、相続された資産に対して課せられる税金です。

親族による事業承継の際、後継者は会社の資産に対する相続税を納めなければなりません。相続税は累進課税制度が適用され、相続額が多いほど税率が高くなります。

現金のみで納付できるため、後継者が資金不足に陥らないよう経営者は対策を立てることが重要です。

相続税の速算表

以下は、相続税の速算表です。

法定相続分に応じた取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

相続税の基礎控除額は、法定相続人の人数によって変動します。基礎控除の計算式は次のとおりです。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数 = 基礎控除額

基礎控除額は法定相続人が何人いるかによって変動しますが、以下のように算出されます。

速算表は相続財産の総額と法定相続人の数から、おおよその相続税額を算出するツールですので、税額の目安としてぜひ参考にしてください。

また、正確な相続税額を把握するためには、税理士などの専門家に相談し詳細な計算を行う必要があります。速算表を活用しつつ、専門家のアドバイスを受けながら相続税の負担を適切に管理しましょう。

相続時精算課税制度とは

経営者が死亡した場合など、事業承継を円滑に行えない場合は相続時精算課税制度を利用するのも選択肢のひとつです。

相続時精算課税制度は、生前に贈与した財産を相続時に相続財産と合算して相続税を計算する制度です。

60歳以上の親から20歳以上の子や孫への生前贈与に適用される制度で、2,500万円までは贈与税が控除され、超過分は一律20%の贈与税が課されます。

贈与者が亡くなった際には相続税から控除されます。この制度により以前より贈与が行いやすくなりましたが、親族外事業承継には適用されません。

また、通常の贈与税には110万円の控除しかなく、超過分は累進課税制度が適用され贈与額が大きくなるほど納税額が増加します。

そのため、贈与に消極的になる人が多くみられましたが、相続時精算課税制度の導入により生前贈与が行いやすくなりました。ただし、一定の要件を満たす必要があるため制度の適用には注意が必要です。

事業承継税制による納税猶予の割合が100%になった

事業承継税制は、事業承継を円滑に進めるための税制上の優遇措置(2018~2028年の10年間)です。

事業承継税制を利用することで、相続税の納税を猶予したり税率を軽減したりすることができます。

2023年4月からは、事業承継税制による納税猶予の割合が100%になりました。これにより、事業承継に伴う相続税の負担が大幅に軽減され、事業の継続がより容易になりました。

贈与税

贈与税は、生前に財産を贈与する場合に発生する税金です。

事業承継においては、事業の所有権を段階的に移転するために贈与税が発生することがあります。贈与税の税率は、贈与財産の価額に応じて異なりますが、最高税率は55%と相続税とほぼ同等の税率です。

贈与税の負担を軽減するためには、贈与税の非課税枠を活用したり贈与税の税率が低い時期に贈与を行うなどの対策を検討する必要があります。

「一般贈与財産」(一般税率)の速算表

以下は贈与税「一般贈与財産」(一般税率)の速算表です。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

速算表はあくまでも目安であり、実際の贈与税額は贈与財産の構成や贈与者の状況によって異なります。

「特例贈与財産」(特例税率)の速算表

以下は贈与税「特例贈与財産」(特例税率)の速算表です。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

特例贈与財産とは、一定の条件を満たす財産に対して一般税率よりも低い税率が適用される制度です。

特例贈与財産には、住宅取得等資金の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与などがあります。特例贈与財産の適用を受けるためには一定の手続きが必要です。

例えば、贈与税の申告書に特例の適用を受ける旨を記載することや、一定の書類を添付することなどです。

特例贈与財産を活用する際は、税理士などの専門家に相談し、適用条件を満たしているか確認することが重要です。

事業承継税制で贈与者・受贈者の対象者が拡充された

事業承継税制は、贈与税の負担を軽減し、事業の安定的な承継を促進するための制度です。

近年、事業承継税制の対象者が拡充されより多くの企業が利用できるようになりました。

例えば、贈与者の対象者が親族だけでなく、従業員や取引先にも拡大されました。そのため、幅広い事業承継の選択肢が可能になりました。

また、受贈者の対象者も従来の親族に加えて、従業員持株会や従業員向けの信託なども認められるようになりました。

この拡充により事業承継の方法がより柔軟になり、企業の実情に合わせた事業承継が可能になりました。事業承継税制の活用を検討する際は、最新の情報を確認し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

法人税

事業承継において、会社を承継する際には法人税の申告が必要となる場合があります。

法人税は、会社の所得に対して課税される税金です。

事業承継によって会社の資産や負債が移転する場合、法人税の課税関係が変わることがあります。また、事業承継の方法によっては、みなし配当課税や譲渡所得課税などの特別な税務処理が必要となる場合もあります。

法人税の税率は、会社の規模や業種によって異なります。事業承継によって会社の規模や業種が変わる場合は、法人税の税率も変わる可能性があります。

法人税の申告は複雑なため、税理士などの専門家に相談し適切な申告を行うことが重要です。

消費税

事業承継において、会社が商品やサービスを販売する場合、消費税の申告が必要となる場合があります。

消費税は、商品やサービスの販売に対して課税される税金です。事業承継によって、会社の事業内容が変わる場合、消費税の申告方法も変わることがあります。

例えば、事業承継前は免税事業者であったが事業承継後は課税事業者になる場合などです。

また、事業承継の方法によっては資産の譲渡に対する消費税の取扱いが異なることがあります。

消費税の税率は現在10%ですが、軽減税率(8%)の適用を受ける場合もあります。消費税の申告は税理士などの専門家に相談し、適切な申告を行うことが重要です。

登録免許税・不動産取得税

事業承継において、会社の登記や不動産の取得が発生する場合、登録免許税や不動産取得税が課税されることがあります。

登録免許税は、会社の設立や増資、役員の変更などの登記に対して課税される税金です。不動産取得税は不動産を取得した際に課税される税金です。

事業承継によって、会社の登記内容や不動産の所有者が変わる場合、登録免許税や不動産取得税の申告が必要となります。

登録免許税や不動産取得税の税率は、登記の内容や不動産の種類、価格などによって異なります。

また、事業承継の方法によっては税制上の優遇措置を受けられる場合もあります。登録免許税や不動産取得税の申告は、税理士などの専門家に相談し適切な申告を行うことが重要です。

M&Aにかかる税金以外の費用

M&Aアドバイザーの相談料

M&Aを活用した事業承継では、M&Aアドバイザーの支援が不可欠です。

M&Aアドバイザーは、企業価値の評価、買収候補先の選定、交渉、契約締結などM&Aのプロセス全般をサポートします。

M&Aアドバイザーの相談料はM&Aの規模や複雑性によって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度が相場です。

M&Aアドバイザーの報酬体系は固定報酬と成功報酬に分かれることが多く、成功報酬はM&Aの成立を条件に支払われます。

M&Aアドバイザーを選ぶ際は実績や専門性、報酬体系などを総合的に評価し、自社に合ったアドバイザーを選ぶことが重要です。

弁護士報酬の相談料

M&Aを活用した事業承継では、法的な問題をクリアにするために弁護士の支援も必要です。

弁護士はM&A契約書の作成や審査、デューデリジェンス、クロージングなど、M&Aの法的側面をサポートします。弁護士報酬は、案件の複雑性や担当する弁護士の経験・専門性によって異なりますが、通常は時間単位で計算されます。

大手法律事務所の弁護士の場合、1時間あたり数万円から数十万円の報酬となることもあります。弁護士を選ぶ際は、M&Aや企業法務の経験が豊富で、信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。

税理士や会計士の相談料

事業承継では、税務や会計の専門知識が必要不可欠です。税理士や会計士は、事業承継の税務面や会計面のサポートを行います。

具体的には株式評価、財産評価、税務デューデリジェンス、税務処理、会計処理などを担当します。

税理士や会計士の報酬は、案件の規模や複雑性によって異なりますが、通常は時間単位で計算されます。

報酬の目安は1時間あたり数万円程度が相場です。税理士や会計士を選ぶ際は、事業承継の経験が豊富で信頼できる専門家を選ぶことが重要です。

事業承継が親族内かどうかで費用は変わる

親族内事業承継の費用

親族内で事業承継を行う場合、税理士や弁護士などの専門家の支援が必要になることがあります。

親族内事業承継では相続税や贈与税の対策が重要なポイントとなります。税理士は相続税や贈与税の試算、節税対策、申告手続きなどを行い、弁護士は遺言書の作成、家族間の調整、紛争防止などを行います。

親族内事業承継の費用は、案件の規模や複雑性によって異なりますが、税理士や弁護士の報酬が主な費用となります。

また、親族内の感情的な問題にも配慮しながら、専門家と連携して進めることが重要です。

親族外事業承継の費用

親族外への事業承継では、M&Aを活用することが一般的です。M&Aを活用した親族外事業承継では、M&Aアドバイザー、弁護士、税理士、会計士などの専門家の支援が必要になります。

M&Aアドバイザーは、買収候補先の選定、企業価値の評価、交渉、契約締結などを行います。弁護士は、M&A契約書の作成や審査、デューデリジェンスなどを行います。

一方、税理士や会計士は、税務デューデリジェンス、税務処理、会計処理などを行います。

親族外事業承継の費用はM&Aの規模や複雑性によって大きく異なりますが、数千万円から数億円規模になることもあります。

専門家の報酬が主な費用となりますが、株式の譲渡価格なども含めて総合的に判断することが重要です。

補助金や制度を活用したコスト削減

事業承継税制を使ったコスト軽減方法

事業承継税制は、事業用資産の相続税・贈与税の納税猶予や免除などの優遇措置を受けられる制度です。

事業承継税制を活用することで、相続税や贈与税の負担を大幅に軽減することができます。事業承継税制の適用を受けるためには一定の要件を満たす必要があります。

例えば、事業継続要件、雇用確保要件、報告要件などです。事業承継税制の適用を受けるためには、税理士などの専門家の支援が不可欠です。

事業承継税制の活用は事業承継のコストを大幅に削減できる有効な方法です。

政府補助金の利用法

政府は中小企業の事業承継を支援するために、様々な補助金制度を設けています。

例えば、事業承継・引継ぎ補助金、事業承継補助金、事業承継税制予定適用申請費用補助金などがあります。

これらの補助金は事業承継に関する費用の一部を補助するもので、事業承継のコストを削減することができます。補助金の申請には一定の要件があり、申請書類の作成や提出など手続きが必要です。

補助金の活用には専門家の支援が役立ちます。政府補助金を有効に活用することで、事業承継のコストを削減し、円滑な事業承継を実現することができます。

専門家のアドバイスを受ける利点

事業承継は、法律、税務、会計、金融など、多岐にわたる専門知識が必要とされる複雑なプロセスです。

専門家のアドバイスを受けることで事業承継を円滑に進めることができます。専門家は、事業承継の方法や手続き、税務対策、資金調達など、様々な面からアドバイスを行います。

また、専門家は事業承継の計画づくりや実行支援など、全般的なサポートも行います。専門家のアドバイスを受けることで、事業承継のリスクを最小限に抑え、コストを適切に管理することができます。

さらに、専門家との連携により事業承継に関する最新の情報や制度の活用も可能になります。事業承継を成功させるためには専門家のアドバイスを積極的に取り入れることが重要です。

事業承継計画を成功に導くためのヒント

費用対効果を高める戦略

事業承継には多額の費用がかかるため、費用対効果を高める戦略が重要です。

事業承継の方法や時期、承継先の選定など、様々な要因を総合的に検討し、最適な事業承継計画を立てることが必要です。

また、事業承継税制や補助金制度など活用できる制度を最大限に利用することで、費用負担を軽減することができます。

さらに、専門家との連携により適切な税務対策や資金調達を行うことで、費用対効果を高めることができます。事業承継計画は長期的な視点で検討し、柔軟に見直していくことが重要です。

長期的視点での財務計画

事業承継は長期的な視点で検討する必要があります。

事業承継後の経営計画や資金計画を綿密に立て、将来的な財務状況を予測することが重要です。事業承継に必要な資金を確保するために自社の財務状況を正確に把握し、必要な資金調達方法を検討する必要があります。

また、事業承継後の経営を安定させるために、事業承継前から後継者の育成や組織体制の整備に取り組むことが重要です。

長期的な視点での財務計画は、事業承継の成功に欠かせない要素です。

専門家ネットワークの活用

事業承継を円滑に進めるためには、専門家との連携が不可欠です。

税理士、弁護士、司法書士、金融機関、M&Aアドバイザーなど、様々な専門家とのネットワークを活用することで、事業承継の課題を効果的に解決することができます。

専門家との連携により最新の情報や制度の活用、適切な税務対策、資金調達などが可能になります。また、専門家との定期的な情報交換や相談を行うことで事業承継計画の進捗状況を確認し、必要な修正を行うことができます。

専門家ネットワークの活用は事業承継の成功のカギを握る重要な要素です。

事業承継の費用に関する総まとめ

事業承継は、企業の存続と発展を担う重要なプロセスであり、同時に多岐にわたる費用が発生するものです。

事業承継にかかる費用は事業規模、承継方法、承継者の状況などによって大きく変動するため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

事業承継にかかる費用を適切に管理し、事業の安定的な承継を促進するためには以下のポイントを意識することが重要です。

  • 事業承継計画を早期に策定する
  • 専門家のアドバイスを受ける
  • 補助金や制度を活用する
  • 費用対効果の高い方法を選択する
  • 長期的視点で考える

事業承継は、企業の存続と発展を担う重要なプロセスです。事業承継にかかる費用を適切に管理し、事業の安定的な承継を促進することで、企業の未来を明るくすることができます。

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